エネがえるEV・V2H APIを使用した経済効果シミュレーションの実装
この記事では、エネがえるEV・V2H (Vehicle to Home) APIを使って経済効果シミュレーションを実装する方法について解説します。この記事は、自動車業界やエネルギー事業者向けに、APIを活用したシミュレーションシステムを実装したいエンジニア向けに書かれています。
エネがえるEV・V2H APIの概要
エネがえるAPIは、電気自動車(EV)やV2Hシステムに関連する経済的な効果を詳細にシミュレーションできるAPIです。太陽光発電、蓄電池、電力料金の最適化など、様々な条件下でのシミュレーションが可能で、再生可能エネルギーやEV充電インフラ、V2H導入を考えている企業にとって非常に有用です。
仕様書
EV・V2H経済効果診断API - エネがえる EV 一般用 API https://www-v4.enegaeru.com/apidocSense/api-ev.html
電気料金API 太陽光・蓄電池経済効果診断API - エネがえる V4 一般用 API https://www-v4.enegaeru.com/apidoc/api-general.html
産業用自家消費型太陽光・蓄電池経済効果診断API - エネがえる biz 公開用 API https://www-biz.enegaeru.com/apidoc/api-general.html
主な特徴と機能
- 経済効果のシミュレーション:EVやV2Hの経済効果を、太陽光発電や蓄電池と組み合わせてシミュレーションします。
- 最適な電気料金プランの提案:ユーザーのデータを基に、電気代削減のための最適な料金プランをシミュレーションします。
- データセットの提供:100社以上、3,000の電気料金プランが含まれたデータベースや、EVや蓄電池の製品データを利用可能です。
想定されるユースケース
- EV充電の経済効果シミュレーション:平日と休日の走行パターンに基づいたEVの電力使用量を計算し、電力コストを最適化します。
- V2Hの経済効果:V2Hシステムが家庭の電力消費を削減し、どの程度の経済効果があるかを評価します。
- 再生可能エネルギーとの連携:太陽光発電や蓄電池、EV、V2Hを組み合わせたシミュレーションで、家庭のエネルギー自給率を高める効果を計算します。
- 既存の太陽光発電システムへの追加効果シミュレーション:既存の太陽光発電システムにEVやV2Hを導入した際の経済効果をシミュレーションします。
APIエンドポイント
エネがえるAPIの主要なエンドポイントについて解説します。
1. EV電力使用量シミュレーションエンドポイント
エンドポイント: /evpowercalc/
このエンドポイントは、ユーザーの年間走行距離や平日・休日の運転パターン、電力料金に基づいて、EVの電力使用量を推計します。
リクエスト例:
{
"mileage_year": 13000,
"mileage_rate_weekday": 1,
"mileage_rate_holiday": 3,
"optime_weekday_from": 15,
"optime_weekday_to": 18,
"optime_holiday_from": 9,
"optime_holiday_to": 20,
"electricity_cost": 5.5
}
レスポンス例:
{
"day_EVpower_weekday": [
[0.564516]
],
"day_EVpower_holiday": [
[0.564516]
]
}
使い方:
- EVの運転パターンに基づき、電気使用量を時間帯別に計算し、最適な電力料金プランを選定するために利用します。
- 家庭用または業務用のEV運用における電力コストの正確なシミュレーションが可能です。
2. V2H・太陽光シミュレーションエンドポイント
エンドポイント: /v2hsimulations/
このエンドポイントでは、EV、V2H、太陽光、蓄電池を組み合わせた家庭の電力使用量のシミュレーションを行います。
リクエスト例:
{
"day_EVpower": [
["day_EVpower_weekday", 0.504123],
["day_EVpower_holiday", 0.504123]
],
"pvcellsimulation": {
"cell_id": 3,
"pcs_conversion": 90,
"day_purchase": [[0]],
"day_usepower": [[0]],
"day_pvpower": [[0]],
"day_pv2self": [[0]],
"day_pv2sell": [[0]],
"day_pv2cell": [[0]],
"day_cell2self": [[0]],
"day_ep2cell": [[0]],
"day_ep2self": [[0]],
"day_cellrest": [[0]]
},
"EV_V2Hinfo": {
"EV_capacity": 60,
"EV_output": 0,
"mode": 23,
"V2H_conversion": 98,
"V2H_output": 6,
"charging_equipment": 0,
"charge_limit": 100,
"discharge_limit": 50,
"charge_from": 1,
"charge_to": 3,
"discharge_from": 7,
"discharge_to": 23
}
}
ユースケース:
- V2Hを使って電力料金の高い時間帯に家庭をEVで賄うことによる節約効果をシミュレーションします。
- 太陽光発電を使ってEVを充電し、その電力を家庭で消費する際の経済的メリットを計算します。
3. 電気料金シミュレーションエンドポイント
エンドポイント: /epchargecalc/
このエンドポイントは、複数の電力料金プランを比較し、最適なプランを選ぶためのシミュレーションを行います。EV使用量、太陽光発電量、蓄電池のデータをもとに計算します。
リクエスト例:
{
"epcorp_cd": 64,
"plan_cd": 56,
"ampare": 50,
"capacity": 5,
"basemonth": "2018-01",
"weekday": {
"day_purchase": [[0.564516]]
},
"holiday": {
"day_purchase": [[0.564516]]
},
"detail": 1
}
使い方:
- 現在の電力消費パターンに基づいて、ユーザーが最も経済的な電力プランを選択できるようサポートします。
- 家庭や企業が電力コストを削減できるシミュレーション結果を提供し、最適な料金プランを提案します。
エネがえるAPIのビジネス導入のメリット
1. 開発コストの削減
APIを利用することで、複雑なシミュレーションシステムをゼロから開発する必要がなくなります。事前に構築されたエンドポイントを使うことで、開発時間とコストを大幅に削減できます。
2. 最新の電力データベースを活用
100社3,000プラン以上の電力料金データベースやEV、蓄電池のデータベースを活用することで、ユーザーは最新の料金プランに基づいたシミュレーションを行うことができます。
3. 顧客満足度の向上
エネルギーコストの削減提案や最適なEV運用シミュレーションを提供することで、エンドユーザーの満足度を高めることができます。特に、電力料金の最適化や再生可能エネルギーの有効利用を提案することで、環境への配慮をアピールすることも可能です。
Webベースのシミュレーションツールの実装例
ここでは、エネがえるAPIを使用して、家庭向けの経済効果シミュレーションツールを実装する方法を説明します。このツールは、EVやV2H、太陽光発電を組み合わせた家庭のエネルギー使用量をシミュレーションし、経済的なメリットを計算します。
実装手順
-
ユーザー入力の取得:
- ユーザーから年間走行距離、平日・休日の運転スケジュール、電気料金、太陽光発電システムの情報を収集します。
-
APIリクエスト:
-
/evpowercalc/
エンドポイントを使用して、ユーザーの運転習慣に基づいた電力使用量を計算します。 -
/v2hsimulations/
エンドポイントを呼び出して、V2Hや太陽光発電との連携によるエネルギーコスト削減効果をシミュレーションします。 -
/epchargecalc/
エンドポイントを使用して、最適な電気料金プランを提案します。
-
-
結果の表示:
- ガソリン代削減、電気料金の削減、太陽光発電による売電収入など、ユーザーにとっての経済的なメリットを詳しく表示します。
まとめ
エネがえるAPIは、自動車業界やエネルギー業界において、EVやV2Hの経済効果をシミュレーションするための強力なツールです。再生可能エネルギーやEVインフラが普及する中で、APIを活用してユーザーに最適なエネルギー管理とコスト削減を提供することは、競争優位性を確保するために重要です。
今後、V2Hシステムは家庭のエネルギー管理においてますます重要な役割を果たすと期待されています。