はじめに
2023年4月に北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)に入学したサトピンです。
国立大学の法学部を卒業し、JAISTでは情報科学専攻として自然言語処理の研究をしています。本稿では、JAISTで履修した講義の感想について書きます。
講義について
JAISTでは卒業までに修論、必修の講義、副テーマ(or2週間以上のインターン)、10講義(20単位)を履修する必要があります。
JAISTでは
100番台:導入科目(他分野出身者及び入門者向け科目)
200番台:基盤科目(大学院としての基礎科目)
400番台:展開科目(高度な専門科目)
とナンバリングされており、100番台は4単位まで卒業単位にカウントすることができ、200番台は最低でも6単位を獲得する必要があります。
情報科学系の講義は、大半の科目で中間試験と期末試験が課されます。JAISTはクオーター制(1クオーター:2ヶ月弱)で、3週間に1度のペースで試験を受けることになるため想像より遥かにハードです。
私は
春学期(1-1)
アルゴリズムとデータ構造
ゲーム情報学特論
デジタル論理と計算機構成
必修講義(人間力イノオベーション論・創造力イノベーション論)
夏学期(1-2)
自然言語処理論
機械学習
集中講義
技術経営改革実践論(知識)
秋学期(2-1)
計算論
サービス経営論(知識)
冬学期(2-2)
高機能オペレーティングシステム
を履修し、単位をとりました。
※知識と書いてあるのは知識科学の講義です。JAISTでは、他学系の講義を4単位(2科目)まで卒業単位に含めることができます。
以下、講義の感想について簡単にコメントします。講義の難易度は人によって異なるので、ここでは言及しません(TwitterのDMで質問してくれれば回答します。)
春学期(1-1)
アルゴリズムとデータ構造
僕は競プロをやっていたので復習のつもりで履修しました。AtCoderで茶色以上を取っている人にとっては簡単な講義だと思います。しかし、競プロでは細かいソートやハッシュについて取り扱うことが少ないので、その点は苦戦するポイントになりうるかも。講義はかなり分かりやすいので、非情報系の人なら履修しても損はしないと思う。
ゲーム情報学得論
前半部分は機械学習や人間らしいゲームAIについて学びます。前半の先生の講義はかなり分かりやすく、補講の時間でテスト対策の時間も設けてくれる方なので非常に満足度が高かったです。
一方、後半部分は内容がかなり抽象的でした。その上、難易度の高いレポートを短期間で7枚課してくるのでかなりハードです。単位を落とす人も一定数いるので要注意
デジタル論理と計算機構成
論理回路とパタヘネ本の上巻で扱う内容が範囲となっている講義です。100番台の科目となっていますが、扱う内容がかなり多いのでハードです。私は、大学院入学前に関連分野を軽く勉強していたのでなんとか単位は取れましたが、全く知識がないとしんどいです。
必修講義(人間力イノオベーション論・創造力イノベーション論)
前半は、JAISTの先生方の研究内容を聞いて、課題を解くという形式でした。知識科学・情報科学・マテリアルサイエンス系の先生から研究内容を聞けるため、「へーこういうことやってるのか」という感想になりました。
後半は、正直、「この講義やる意味あるの?」と思いました。グループワークで一つの問題に対して知識・情報・マテリアルサイエンスの3つの観点から解決策を見出すという課題を提示されました。しかし、やってることは高校のグループワークの延長線上でしかなく、「これで創造力なんて身につくのか?」と思いました。
さらに、最終日は一日中拘束されるため(しかも2日間テストした後)、体力的にもかなりしんどいです。私は、ゲーム情報の課題に追われていたため、1時間睡眠でこの講義の最終日に臨みました。
夏学期(1-2)
機械学習
毎年かなりの人数が履修してます。
レポートや補講で実装する機会はありますが、講義ではひたすら理論を追います。機械学習系の研究をやる方は履修した方がいいかもしれません。
自然言語処理論
自然言語処理(NLP)の研究室に配属されたので履修しました。NLPの研究おいては、深層学習、もっと言うと大規模言語モデルを用いたものが多くなっています。しかし、深層学習以降のNLPを扱うのは最後の1回のみでそれまでは古典的なNLPを扱う講義です。実装をする機会はなく、ひたすら理論を追う講義なので、実装をしたい人にとっては少し物足りないかもしれません。
集中講義
技術経営改革実践論(知識)
四画面思考というものについて学ぶ講義です。詳しくはググってみてください。社会人の方が講師として色んなお話が聞けます。経営に興味がある人なら楽しめるかもしれません。
秋学期(2-1)
計算論
計算可能性について扱う講義です。NP困難だったりNP完全というワードが出てきます。レポートとテストの良い方を点数として採用するという形式なので、レポートだけで100点を取ることもできます。しかし、内容はかなり難しいので舐めてかかると痛い目に遭います。
サービス経営論
経営に関する講義です。レポート2回と、グループでの最終発表、講義での発言回数を元に点数が付けられます。
冬学期(2-2)
高機能オペレーティングシステム
JAISTで受けた講義の中で、最も満足度の高い講義でした。履修条件に「オペレーティングシステムの講義を前提とする」と書いてありますが、OSの知識が乏しくてもなんとかなります。私はOSの知識がそんなになかったのですが、優を取ることができました。この講義を機に、OSに対する興味が湧いたのでOSのことも勉強してみようと思いました。
終わりに
M1が終わる段階で、あと1科目を取れば研究に集中できる段階まできたので、早く単位を取り切れるように頑張ります。M1では全く論文が書けなかったので、M2ではとにかく論文を書くことを目標に頑張りたいと思います。