はじめに
2023年10月31日に開催されたAWS Jam体験会に、弊社から2名(@ogataro、@sasadai10)が参加してまいりました。本記事はその概要や感想について記したものになります。
※@ogataro、@sasadai10 による合同執筆作です。
AWS Jamとは
AWS Jamとは、AWSが提供するトレーニング教材のひとつです。同社の教材として「AWS Builder Labs」のようなハンズオン形式のものもありますが、AWS Jamは実践的なスキルの向上を狙った作りになっています。
AWS Jamでは「チャレンジ」と呼ばれる課題解決型の問題が提供されます。まずシチュエーションのみが問題文として提示され、そこで起きているトラブルや課題の原因を探り出し、課題解決の手順を組み立てていきます。単なるハンズオンとは異なり、課題解決への手順を自ら考え抜くことで、実際の現場でも活かせるようなスキルを見込めるというわけです。
また、実際にAWSコンソール上のソリューションを操作できることからも、より実践的と言えます。
AWS Jamの特徴
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400種類以上のチャレンジが存在する
ネットワークやセキュリティなど特定のジャンルに特化したもの、簡単なものから発展的なものまで様々なチャレンジが提供されています。AWSコンソールで触れられるサービスも多種多様で、たとえばEC2やS3、Lambdaなどがあります。 -
競技性の高い作りになっている
各チャレンジには難易度の概念があり、「EASY」「MEDIUM」「HARD」の3種類があります。「EASY」は易しいがスコアは低く、反対に「HARD」は難しい分、正解時に得られるスコアも高くなります。
また、各チャレンジにはいくつかの「手がかり」も用意されています。これは正解までの手順が段階的に記されたもので、行き詰まってしまったときの救済措置です。手がかりを使うことで、確実に正解へ近づくことができるというわけです。ただし、手がかりを開放するごとに、正解時に得られるスコアは下がっていきます。そのため、高得点を狙うのであればなるべく手がかりを使わずに解く必要があります。なお、これを逆手に取った戦術もあり、ここに競技性が生まれてきます。 -
自らAWS Jamを主催することができる(※AWS Skill Builderのチームサブスクリプションが必要)
AWS Jamは、チャレンジを解く側として参加するだけでなく、チャレンジセットを提供する側としてイベントを主催することができるのです。たとえば、社内向けのイベントとしてAWS Jamを開催することも可能です。
体験会の概要
今回の体験会では、参加者を4人ずつのグループに分け、グループ同士でスコアを競い合う形式が採られました。
また、進行はモブプログラミングの形式に沿って行うことになっていました。これは、グループ内で一人ひとりが別々のチャレンジに取り組むのではなく、グループのメンバー全員がひとつのチャレンジに取り組むものです。これにより、チームワークやチーム全体でのスキル向上を狙えるとのことです。
AWS Jamの活用例
その1:社内向けのイベントとして
社内でAWSに興味がある人を募り、チームを組んで互いにスコアを競い合うファンイベントを開くことができます。その際、メンバー間のスキル差がなるべく均等になるようにチームを組むと、より面白く、かつ学習効果としても高いものが見込まれます。
その2:部署内の技術継承の場として
部署やプロジェクトチームでグループを作り、AWSに詳しい上司や先輩がJamを主催することで、部下や後輩のスキル育成を図ることができます。まずは部下同士でチャレンジに取り組ませ、それに対して上司が解説やフィードバックなどを行えば、チーム全体のスキルアップが期待できます。
その3:資格取得支援の場として
AWSの資格は持っているが実際のプロジェクト経験が乏しい人にとって、AWS Jamは実践的な経験を得る絶好の場となります。頭だけでなく手を動かしてAWSソリューションに触れることで、ソリューションに対する更なる理解や、よりレベルの高い資格取得の勉強に役立てることが可能です。
感想、今後について
体験中の出来事
@ogataro
私はAWS使用経験が約1年で、AWS SAAとCLFの資格を取得している状態でAWS Jamイベントに参加しました。イベントでは、運用保守、AWSの社内教育担当者など、様々なスキルを持つチームメンバーと共に課題に取り組んだのですが、全員の得意の分野がそれぞれ違うこともあり、それぞれが活躍する機会がありました。イベントの問題を解決していく中で、それぞれの作業の進め方に違いがありました。例えば、手を動かしながら作業をする方がいれば、問題をよく読んで何を解決しなければならないのか精査する方など、普段の業務では気にしないような点に気づくことができました。また、イベントでは初めてその場で出会った方ばかりだということもあり、コミュニケーションの取り方の違いから、細かなミスが発生したりとイベントの問題解決以外で気に掛ける必要があることが多くありました。
@sasadai10
AWS SAAを取得してはいたものの、その後の実務では軽く触れる程度の経験しかありませんでした。同じグループとなった方々の実務経験が豊富であったことから、私はその方々から方針・手順などを教わり、実際にコンソールを操作する役割となりました。問題文を読んですぐに原因の切り分けや解決策の構築を行う姿を見て、レベルの高さや自身の至らなさを実感しました。
作業にあたっては、手を動かす担当である私のPCの周りにメンバー全員が集まって作業をしていました。これは普段の業務ではなかなか機会が少なく、新鮮な気持ちになりました。対面ならではのリアルタイム性の高いコミュニケーションを取りながら、効率的に進められたと感じます。
体験してみて感じたこと
@ogataro
このイベントを通じて、新たな知識を吸収し、チームメンバー間での知識共有の重要性を実感しました。実戦に近い状況だったこともあり、違うバックグラウンドを持つメンバーとのコミュニケーションは、自分自身の理解を深める貴重な機会となりました。また、チームとしての共同作業は、個々の強みを活かし合う重要性を知ることができました。最終的な順位は高くなかったものの、学びの多い充実したイベントとして、大きな満足を得ることができました。
@sasadai10
本イベントを通じ、本だけで得た知識が頭に入っていることと、自らの力で手順を組み立てて手を動かせることには大きな差があることを実感しました。実務レベルでAWSを扱えるようになるためには、やはり実際のコンソールに触れる機会を多くすることが必要と感じます。また、外部の方と同じ時間、同じ空間で共同作業をすることは、社内のOJT以来では初めてで、新鮮な気持ちで取り組むことができたと同時に良い刺激となりました。
今後の活用方法
@ogataro
AWS Jamイベントのような実践的な学習機会は、社内でのAWSスキル向上に非常に有効と感じました。社内で同様のイベントを定期的に開催することで、社員全体のAWSに関する知識とスキルの底上げが期待できるかと思います。
また、異なる部署やプロジェクトから集まるメンバーとのチーム編成をすることで、社内でも大きな気付きを得ることや意外な相乗効果をもたらすのではないかと感じます。このようなイベントを積極的に取り入れ、実践的な学習を通じて、チームとしても個人としても成長する機会を創出していきたいと思いました。
@sasadai10
本イベントはAWSコンソールに触れる良い機会となっただけでなく、社内育成用の教材としてもとても魅力的に感じました。AWS SAAの取得で止まってしまっている人のためにファンイベントを開く、部署やプロジェクトチームでの技術継承の場として使う、自身の実力を測るためにチャレンジに取り組むなど、いずれの用途においても高い効果が期待できると感じます。
また、進行にはメンバー間で密にコミュニケーションを取る必要があることから、部署やチーム内の交流のきっかけにもなると思いました。