PLATEAU は、国土交通省が主導する全国の都市3Dモデル整備プロジェクトです。ユーザとしては実際にどんなデータが使えるのかなというのが気になるところですので、そのあたりを中心に自分なりにメモをまとめてみました。
このメモは PLATEAU 公式サイトの Learning コンテンツのうち、「TOPIC 1 【3D都市モデルでできること】」から「TOPIC 3 【3D都市モデルデータの基本】」までを自分なりに整理したものです。より正確な話は公式サイトの方をご覧ください。
早見リンク集
PLATEAU 公式サイト
公式ウェブGIS
データダウンロードはG空間情報センターから
TOPIC 1 【3D都市モデルでできること】
- GIS(地理情報システム)で扱える。GIS では様々なデータを重ね合わせることが可能。
- ベースマップは一番下に表示する地図。OSMとかGoogleマップを使う。
- 地物は「建物」「道路」「地形」など、地図上に表示されるもの。物理的なものとは限らず、境界線や用途地域とかも地物。
- 地物にはIDが付与されている。
- 地物にはさらに属性が付与されている。建物名、高さ、用途などなど。
- 地理情報を付加された人口情報やハザードマップなども GIS を使えば重ねられる。
- データは航空写真以外はすべてラスター。
- 3D都市モデルはジオメトリとセマンティクスの統合モデル。地物にも意味情報としてのセマンティクスが付与されるが、ポリゴンごとに付与されることもある(このポリゴンは外壁、こちらは屋根など)。
- 地物の詳細度として LOD が 0 から 4 で定義されている。
- LOD0 は高さなし。PLATEAU ではすべてのエリアで存在する。
- LOD1 は高さを付与。地物は直方体となる。現時点ではすべてのエリアで存在する。
- LOD2 は外観の凸凹あり。屋根や壁などポリゴンごとの情報も付与。航空写真をもちいたテクスチャも提供される。
- LOD3 はドアや窓などの開口部、道路の立体交差なども表現。
- LOG4 は建物内部も表現。
- 一つの地物に複数の LOD を内包したデータ構造になっていて、より低レベルの LOD は必ず提供されている。例:LOD2 がある -> LOD0 と LOD1 も存在する。
- LOD は形状だけではなく、属性の違いもある。LOD2 なら建物のポリゴンは壁・屋根などの区別がつけられているなど。
- データはCityGML(XML)で記述されている。GML(Geography Markup Language)の拡張。
TOPIC 2 【PLATEAU VIEWで体験する】
PLATEAU VIEW はブラウザで利用できるWebGIS。
アクセスした直後の状態。ベースマップだけが表示されている。立体的に見える気がするが、これは航空写真だから。
新宿区の建築物モデルを取り込む。
ビューの左上に新宿区の建物モデルが表示された。
新宿駅前付近を、テクスチャあり LOD2 で表示したところ。PC の性能が低いと表示に時間かかる。
Myデータとして任意の地理空間情報を読み込んで重ね合わせることも出来る。
歩行者モードやストーリー機能などもあり、PLATEAU VIEW だけでかなりのことが出来る。
TOPIC 3 【3D都市モデルデータの基本】
- 商用も含めて無料で使用可能。ライセンスはサイトポリシーに書いてある。
- データ自体の提供は PLATEAU 公式サイトではなく G空間情報センターで行われている。
- モデルデータ自体は各自治体によって整備されているため、LOD レベルや含まれている属性などデータごとに違いがありえる。
- どの都市でどのようなデータが整備されているかの概略は属性リストにまとまっている。
- CityGMLで提供されるのが基本だが、予め別の形式(FBX、OBJ、3D Tiles、GeoJSON、GeoTiff など)にもコンバートされたものが提供されることもある。
- 地形や建物に貼るテクスチャとして使用できるオルソ画像も提供される。オルソ画像とは航空写真、衛星写真を真上から撮影した状態に補正したもの。
- 各都市ごとにデータ目録が用意されていて、どのようなデータが提供されてるかが記載されてる。
- CityGML 自体については https://www.ogc.org/standard/citygml/ に、PLATEAU 固有の仕様は https://www.mlit.go.jp/plateau/file/libraries/doc/plateau_doc_0001_ver02.pdf にある。
- さらに都市ごとの拡張製品仕様書も CityGML ファイル一式に同梱されている。
- 都市ごとに図郭マップが用意されていて、どのエリアがどのメッシュに格納されているかを地図上で確認することが出来る。
- CityGML ファイルは都市ごとに一つの巨大な zip ファイルにまとめて提供されている。
- zip ファイルには *_indexmap_op.pdf というファイルがあり、これは図郭マップ。
- 地物データは udx というフォルダ以下に地物種別ごとに分類されて格納されている。都市ごとに提供される地物の種類は違うので、udx フォルダ以下の構成も違う。
- 地物種別ごとに接頭辞が決められていて、例えば建築物等は bldg となる。udx 以下のフォルダ名も接頭辞である。
- 各フォルダに (メッシュコード)_(地物接頭辞)_(CRS)_(オプション_op.gml という命名規則のファイルが格納されている。
- メッシュコードは図郭マップで確認できるコード。
- 地物接頭辞は bldg などのこと。
- CRS は空間座標系の EPSG コード。高さを含む 6697 か、高さを含まない 6668 のどちらか。
- オプションはさらに分割する際に使用。
- メッシュは国が統計用に定めている「標準地域メッシュ」が使用されている。
- メッシュは第1次メッシュ、第2次メッシュ、第3次メッシュ、2分の1地域メッシュ、4分の1地域メッシュに階層分けされている。
- PLATEAU では、建物など一部の地物は第3次メッシュで、そのほかの地物は第2次メッシュで分割されている
- 統計局の「地図で見る統計(jSTAT MAP)」でメッシュを調べることも出来る。
- メッシュをまたぐ地物は専有面積が広い側のメッシュに収録される。同じ地物が複数のメッシュに重複して収録されることはない。
- CityGMLファイルは1GBを超えない。超える場合はメッシュが再分割される。
- CityGML ファイルに対応した *_appearance というフォルダがあることがある。この中にはテクスチャに使用するオルソ画像が格納されている。
- PLATEAU では緯度経度座標系でデータが作成されているが、実際に使用する際には平面直角座標系に変換した方が扱いやすい。
- 平面直角座標系への変換には系を使用する。変換誤差を少なくするため基準点が複数用意されていて、系は19種類定義されている。この系にも EPSG コードが割り当てられている。
- 緯度経度座標系から平面直角座標系への変換計算式を自力で実装してもよいが、ライブラリやAPIも複数存在するのでそちらを利用してもよい。
- PLATEAU における高さは東京湾平均海面を基準とする標高である。平均海面のことをジオイド面とも呼ぶ。
- 高さの基準が違う空間座標系とは当然ながら高さが合わない。GPS で使用されている WGS84 は楕円体高であるため、東京湾平均海面高とは一致しない。
- 実際の地形は起伏があるため、PLATEAU の地物の高さは起伏の標高を含んでいる。この状態で地物だけを表示すると空間に浮かんでしまう。地形の起伏として dem データが提供されている。dem 分を減算することで、地物を同じ高さに揃えて表示することが出来る。
- LOD1 では建物を直方体で表現する。高さは測量した点群の中央値を採用するため、高層部と低層部が組み合わさったよな建物の場合、実際の形状とはかけ離れてしまうことがある。
- CityGMLから各種データ形式へのコンバートにはSafe Software社の「FME Desktop」が使用できる。有償ソフトウェアだが、非商業利用なら申請することで無料で利用可能。