エクサウィザーズプログラミングコンテスト2021 A~D問題の解説記事です。
(ABC222(AtCoder Beginner Contest 222))
灰色~茶色コーダーの方向けに解説しています。
その他のABC解説、動画などは以下です。
株式会社エクサウィザーズ様について
AIを使った社会課題解決をされている企業様です。
興味のある方は上記採用情報を御覧ください。
A - Four Digits
入力を受け取り、桁数を確認して必要な分"0"を追加して出力します。
コツは数値ではなく文字列として受け取ることです。
文字列として受け取ることで
len(N)
として文字数=桁数が確認できます。
入力の受け取り、出力がわからない方は以下の記事を参考にしてください。
【提出】
# 入力の受け取り(文字列)
N=input()
# 桁数
disit=len(N)
# 桁数が1なら
if disit==1:
# 先頭に"000"をつけて出力
print("000"+N)
# 桁数が2なら
if disit==2:
# 先頭に"00"をつけて出力
print("00"+N)
# 桁数が3なら
if disit==3:
# 先頭に"0"をつけて出力
print("0"+N)
# 桁数が4なら
if disit==4:
# そのまま出力
print(N)
B - Failing Grade
aの各要素についてP未満かを順に確認します。
P未満の人数を数えて出力すれば終わりです。
【提出】
# 入力の受け取り
N,P=map(int, input().split())
a=list(map(int, input().split()))
# 答えを格納する変数
ans=0
# i=0~N-1まで
for i in range(N):
# a[i]がP未満なら
if a[i]<P:
# 答えにプラス1
ans+=1
# 答えを出力
print(ans)
C - Swiss-System Tournament
制約が小さいので全ての試合をシュミレーションすればよいです。
やることがそれなりに多いので、実装するのは大変ですが頑張りましょう。
以下の手順で実装します、
(1)手の入力を0インデックスで記録する(hand)
※0インデックスなので
選手1の1ラウンドの目の手=hand[0][0]
選手1の2ラウンドの目の手=hand[0][1]
選手1の3ラウンドの目の手=hand[0][2]
...
選手2の1ラウンドの目の手=hand[1][0]
...
と選手番号とラウンドの番号が1つずつずれることに注意してください。
(2)選手の勝数と番号を記録するリストを用意(wins)
※コツは[選手の勝数,選手番号]の順に記録することです。
後に勝数順にソートするため、勝数がリストの1番目の要素としてあったほうが楽に実装できます。
(3)Aの手,Bの手を引数→Aの追加勝数,Bの追加勝数を返す関数を作る
勝ったら+1、引き分け、負けたら+0
(4)Mラウンドの試合を行う
順位:2k→選手A
順位:2k+1→選手B
として選手Aと選手Bの試合結果を確認する
※問題文では「2k-1」と「2k」が試合となっていますが0インデックスにしたため、番号がずれています。
(5)追加勝数をwinsにマイナスで記録する
例:選手0が2勝していたら[-2,0]となる
※マイナスで記録するのは後のソートを楽にするためです。
(6)winsを勝数,選手番号順にソートする
※wins.sort()とすることで 「1番目の要素」=「勝数」昇順→「2番目の要素」=「選手番号」昇順 に並び替えができます。
この時並び替えを「1番目の要素」「2番目の要素」ともに昇順で並び替えるため、勝数をマイナスで記録しています。
(勝数をプラスで記録すると 「1番目の要素」=「勝数」降順→「2番目の要素」=「選手番号」昇順 に並び替えが必要となり、実装が非常にめんどくさいことになります)
(7)答え(winsの2番目の要素)を出力する
【提出】
# 入力の受け取り
N,M=map(int, input().split())
# 手の記録用
hand=[]
# 2N回受け取り
for i in range(2*N):
# 受け取り
A=input()
# 記録
hand.append(A)
# [勝数,選手番号]を格納するリスト
# 選手番号は0インデックス(選手1は0,選手2は1,...)
wins=[]
# 全員0で初期化
for i in range(2*N):
wins.append([0,i])
# 試合の結果判定
# 引数;選手Aの手,選手Bの手→選手Aの追加勝数,選手Bの追加勝数を返す
def match(A_hand,B_hand):
if A_hand=="G" and B_hand=="G":
return 0,0
elif A_hand=="G" and B_hand=="C":
return 1,0
elif A_hand=="G" and B_hand=="P":
return 0,1
if A_hand=="C" and B_hand=="G":
return 0,1
elif A_hand=="C" and B_hand=="C":
return 0,0
elif A_hand=="C" and B_hand=="P":
return 1,0
if A_hand=="P" and B_hand=="G":
return 1,0
elif A_hand=="P" and B_hand=="C":
return 0,1
elif A_hand=="P" and B_hand=="P":
return 0,0
# Mラウンド(0インデックス,i=0~M-1まで)
for i in range(M):
# k=0~N-1まで
for k in range(N):
# 順位2kと(2k+1)の試合
# 選手Aの番号(0インデックス)
playerA=wins[2*k][1]
# 選手Bの番号(0インデックス)
playerB=wins[2*k+1][1]
# 選手Aの出す手
A_hand=hand[playerA][i]
# 選手Bの出す手
B_hand=hand[playerB][i]
# A,Bに追加される勝数
A_point,B_point=match(A_hand, B_hand)
# Aの勝数を計算(勝ったらマイナス1)
wins[2*k][0]-=A_point
# Bの勝数を計算(勝ったらマイナス1)
wins[2*k+1][0]-=B_point
# 勝数,番号順にソート
wins.sort()
# i=0~2Nまで
for i in range(2*N):
# 答えの出力
# 選手番号は0インデックスなのでプラス1して戻す
print(wins[i][1]+1)
D - Between Two Arrays
DPを使います。
DPとは「ある状態までの答えがわかっていれば→その次の状態の答えも出せる」という手続きを何度も行って最終的な答えを出す方法です。
具体的な手順は以下です。
(1)表を作る
(2)すぐにわかるところを埋める
(3)表の小さい方から答えにたどり着くまで埋める
(4)答えを出力する
例えば以下の入力を例として考えます。
N:4
A:1 2 3 4
B:5 6 7 8
(1)表を作る
今回作る表は
『Cのi番目まででC[i]がxであるような数列の個数』
とします。
表の名前はdpとします。
本当はx=3000(B[i]の最大値)まで必要ですが見やすいようにx=10までで作ります。
dp[2][3]であれば
『Cの2番目まででC[2]が3であるような数列の個数』
を表します。考えられるのは以下です。
C=(1,3),(2,3),(3,3)
ゆえにdp[2][3]=3となります。
(2)すぐにわかるところを埋める
すぐにわかるのは1行目(i=1)です。
i=1は
『Cの1番目まででC[1]がxであるような数列の個数』
を表します。
dp[1][1]=1(作れる数列C:(1))
dp[1][2]=1(作れる数列C:(2))
dp[1][3]=1(作れる数列C:(3))
dp[1][4]=1(作れる数列C:(4))
dp[1][5]=1(作れる数列C:(5))
となります。
それ以外の箇所はA[1]≦x≦B[1]でなく、「C[1]がxである」が満たせないので数列が作れません。ゆえに0です。
一般に考えるとx=A[1]~B[1]について
dp[1][x]=1
となります。
(3)表の小さい方から答えにたどり着くまで埋める
2行目を考えましょう。2行目は
『Cの2番目まででC[2]がxであるような数列の個数』
を表します。
A[2]~B[2]=2~6ですから、xが2~6以外の箇所は数列Cが作れません。つまり0が埋まります。
・x=2
dp[1][0]=0
dp[1][1]=1
dp[1][2]=1
であることがわかっています。
例えばdp[1][1]は『Cの1番目まででC[1]が1であるような数列の個数』を表しています。
であればdp[1][1]で作れるCの2番目に「2」をくっつけることで2番目までの数列を作れます。
dp[1][2]も同様に『Cの1番目まででC[1]が2であるような数列の個数』を表していますから、作られた数列Cの2番目に「2」をくっつけることで数列が作れます。
具体的には
dp[1][1]:C=(1)
dp[1][2]:C=(2)
となっているわけですから、それぞれに「2」をくっつけて
dp[2][2]:C=(1,2),(2,2)
とできるわけです。
ゆえにdp[2][2]=2であることがわかります。
・x=3
dp[1][0]=0
dp[1][1]=1
dp[1][2]=1
dp[1][3]=1
です。
x=2のときと同様に、dp[1][1]~dp[1][3]で作れるCの2番目に「3」をくっつければよいことがわかります。
具体的には
dp[1][1]:C=(1)
dp[1][2]:C=(2)
dp[1][3]:C=(3)
となっているわけですから、それぞれに「3」をくっつけて
dp[2][2]:C=(1,3),(2,3),(3,3)
とできるわけです。
ゆえにdp[2][3]=3であることがわかります。
・x=4~6
同じように考えれば
dp[2][4]=dp[1][0]~dp[1][4]の和
dp[2][5]=dp[1][0]~dp[1][5]の和
dp[2][6]=dp[1][0]~dp[1][6]の和
となります。
2行目を埋めると以下のようになります。
例えばdp[2][5](青丸部分)はdp[1][0]~dp[1][5](赤枠部分)の和であることがわかります。
一般には以下の式で計算できます。
A[i]≦x≦B[i]の場合
dp[i][x]=dp[i-1][0]~dp[i-1][x]の和
ここまでわかれば表は埋まるのですが、和を取る部分をそのままsum等で実装するとTLEします。
そのため累積和(Cumulative sum)を使います。累積和は数列のある箇所までの値を全て足したものです。
dpのi行目を埋める前にi-1行目の累積和を確認しておくわけです。
例えば次にi=3の行を埋める時は先にi=2の行について累積和を計算しておきます。
2行目:0 0 2 3 4 5 5 0 0 0 0
例えば4番目までの累積和=0+0+2+3+4=9となります。
i-1行目の累積和をcum_sumとして、以下の式で計算できます。
・cum_sum[0]=dp[i-1][0]
・cum_sum[k]=cum_sum[k-1]+dp[i-1][k]
k-1番目までの累積和がわかっていればそれにdp[i-1][k]を足すことでk番目までの累積和も計算できるというわけです。
4番目までの累積和で言えばcum_sum[4]=cum_sum[3]+dp[i-1][4]=5+4=9と計算できます。
事前に累積和を計算しておくことで(dp[i-1][0]~dp[i-1][x]の和)=cum_sum[x]と計算できます。
(4)答えを出力する
表をすべて埋めると以下のようになります。
最後の行(i=4)は『Cの4番目まででC[4]がxであるような数列の個数』を表していますから、これらを全部足したものが答えです。
ゆえに最後の行の値をすべて足し、余りを取って出力すればOKです。
0+0+0+0+14+28+47+66+66+0+0=221
よって221が答えとなります。
pythonだとTLEするのでpypyで提出します。
【提出】
# pypyで提出
# 入力の受け取り
N=int(input())
# 0番を埋めるために[0]を先頭へ追加
A=[0]+list(map(int, input().split()))
B=[0]+list(map(int, input().split()))
# あまりの定義
mod=998244353
# 表の作成
# 『Cのi番目まででC[i]がxであるような数列の個数』
dp=[[0]*3001 for i in range(N+1)]
# x=A[i]~B[i]
for x in range(A[1],B[1]+1):
# dp[1][x]に1を埋める
dp[1][x]=1
# i=2~Nまで
for i in range(2,N+1):
# 累積和
# 累積和リストを作成
cum_sum=[0]*(3001)
# 0番目:cum_sum[0]=dp[i-1][0]
cum_sum[0]=dp[i-1][0]
# k=1~3000まで
for k in range(1,3001):
# 累積和の計算
cum_sum[k]=cum_sum[k-1]+dp[i-1][k]
# 余りを取る
cum_sum[k]%=mod
# x=0~3001まで
for x in range(3001):
# A[i]<=x<=B[i]ならば
if A[i]<=x<=B[i]:
# dp[i][x]=(dp[i-1][0]~dp[i-1][x]の和)=cum_sum[x]
dp[i][x]=cum_sum[x]
# 表のN行目を全て足す
ans=sum(dp[N])
# 余りを取る
ans%=mod
# 答えの出力
print(ans)
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