1. はじめに
VMware vSAN ESA (Express Storage Architecture) とは、最新バージョンであるVMware vSAN 8で利用可能となった新しいストレージアーキテクチャです。
vSAN ESA
の登場によって今までのvSANのアーキテクチャはvSAN OSA
(Original Storage Architecture)と呼称され、区別されるようになりました。
VMware Cloud on AWS でも2023年11月14日より、Tech Preview (Initial Availability)として先行利用できるようになったので、私もデプロイして試してみましたので書き留めておきます。今回はvSAN ESAで利用可能なストレージ容量の拡大に着目しています。
上図はVMware社のブログ「Announcing vSAN 8」から抜粋。
vSAN OSAは高性能なストレージが高価だった時代に対応したキャッシュ層-キャパシティ層の2層アークテクチャであったのに対して、vSAN ESAは現在では以前より格段と安価になったオールフラッシュ(NVMe)ストレージに最適化されたシンプルな1層アーキテクチャとなっています。容量効率の向上に加えて、パフォーマンス向上、管理性の向上などさまざまなメリットがあります。
さらに詳細なvSAN ESAとvSAN OSAの比較、vSAN ESAによるストレージ機能向上については、@mtoyodaさんの記事が詳細でわかりやすいので是非ご参考ください。
2. vSAN ESA デプロイしてみた
まずはお馴染みのVMware Cloud on AWS SDDCデプロイ画面です。
vSAN ESAを有効にしたVMware Cloud Organizations (VMC Org)環境では、下図赤枠のようにvSAN ESAの有効/無効
を選択できます。(有効にしない場合、旧来のvSAN OSAでSDDCがデプロイされます。)
本環境では、i4i.metal x3ホスト
構成でSDDCをデプロイします。
本記事の投稿時点ではVMware Cloud on AWS環境におけるvSAN ESA実装はTech Previewであり、i4i.metal x3ホスト以上の構成のみvSAN ESAを有効にできます。
こちらも見慣れたデプロイ後のSDDCですが、Storage Capacityが81.85TiB
となっているのが確認できます。
vCenterからみた構成は通常と変化ありませんが、Storageの表示は81.85TB
となり、75.62TB
が未使用(free)となっています。
より詳細にvSAN構成を見てみる、vSANDataStoreがvSAN ESA Default Policy - RAID5
と表記されていて、vSAN ESAで構成されていると確認できます。
vSAN ESA vs vSAN OSA ディスク容量まとめ
比較対象として、vSAN OSA
(ESA無効)でi4i.metal x3ホスト構成としてみました。
このStorage Capacityは59.94TiB
となり、約22TiB
ほどの差があります。vCeteterやNSXなど管理系VMもストレージ容量を消費すると考えると、この差は大きいです。
正味利用できるディスク容量はvCenter、NSX、選択するRAID構成、およびオーバーヘッドを考慮する必要がありますが、デフォルト値のStorage Capacityとして割り当てられる値をまとめると次表のようになります。
i4i.metal ホスト台数 | vSAN OSA (TiB) | vSAN ESA (TiB) | 増分(TiB) | 増加率(%) |
---|---|---|---|---|
3 | 59.94 | 81.85 | 21.91 | 36.6% |
3. さいごに
今回はvSAN ESAを有効にしたVMware Cloud on AWS i4i.metal x3ホストのディスク容量について実機で確認してみました。
まだTech Previewですので、詳細な情報などは正式リリース(GA)後にでてくるかと思います。それまでにも情報収集されたい方はぜひ次の参考資料もご参照ください。
4. 参考資料
5. おまけ (失敗談)
後処理が面倒なので、真似しないでください。。
Tech Previewの現在vSAN ESAがサポートされていないi4i.metal x2ホスト
の構成で、vSAN ESAのチェックボックスを有効にしたまま(うっかり)デプロイするとどうなるか試してみました。
作成失敗したSDDCの「箱」だけが存在する状態となり、ユーザー側から「消せない」SDDCとなってしまいました。
下図のとおり削除など何らかのアクションが一切できず、ただただ邪魔な箱が残り続けてしまう結果に。。
他のSDDCへの影響などは一切ないのは良いのですが触れもしないSDDCの「箱」だけが残り続けるのも目障りなので、VMwareサポートにSRチケットを起票してサポートの方に依頼して削除いただきました。
わざとミスオペした後始末をサポートの方に依頼するのも非常に心苦しく、このブログを読んだ方は真似しないようにいただければと思います。