はじめに
9/3に受験したPAS-C01の合格を以てAWS試験を12個取得し,AWS ALL Certificated Engineersの取得資格をゲットしました.大手企業の新入社員2年目で,AWSはメインではないものの触れる環境が多く,取っておいて損はないだろうという意図から12冠しました.技術的な興味と経歴に箔を付けるために受験しており,業務において全てを利用するわけではないので,前半は学習ファーストでじっくりと,後半は合格ファーストで知識を詰め込む形で受験しています. 約半年の受験当初はクラウドに疎く,「EC2,S3はなんとなく分かる.でもAuroraって何?」というレベルからスタートしています.
12冠したばかりなので,その恩恵はまだ実感がありません.後々に記事にしたいと考えています.
今回は受験録として,本記事を投稿しようと思います.皆様のご参考になれば幸いです.
各試験のスケジュール
AWSの試験はテストセンター会場で自由に受験できる形式のため,柔軟にスケジュールを組むことができます.オンラインで自宅で受験もできますが,環境を用意できなかったため,そちらは利用しませんでした.
受験日 | 資格名(*旧版) | スコア | 合否 |
---|---|---|---|
2023年3月11日 | SAA-C03 | 768 | 合格 |
2023年4月29日 | SAP-C02 | 850 | 合格 |
2023年5月20日 | MLS-C01 | 809 | 合格 |
2023年6月10日 | DAS-C01 | 861 | 合格 |
2023年7月1日 | DBS-C01 | 810 | 合格 |
2023年7月10日 | *SCS-C01 | 845 | 合格 |
2023年7月17日 | *CLF-C01 | 889 | 合格 |
2023年7月22日 | ANS-C01 | 700 | 不合格 |
2023年7月29日 | DVA-C02 | 770 | 合格 |
2023年7月31日 | SOA-C02 | 816 | 合格 |
2023年8月11日 | DOP-C02 | 860 | 合格 |
2023年8月20日 | ANS-C01 | 764 | 合格 |
2023年9月3日 | PAS-C01 | 932 | 合格 |
※2023年9月現在,CLF-C01とSCS-C01は旧版となります.
各試験のレベル感
主観ですが,難易度を載せておきます.一部の試験は範囲が重なっており,受験順によって難易度の感覚は大きく変わると思います.
また,私はヒューマンコンピュータインタラクションを専門とする情報系の修士を出ているため,機械学習やDocker環境等は知識がありました.一方でネットワーク系は学部の授業で軽く触れた程度で,あまり知見がなかったため,改めて教科書を読み直したりしました.
学習期間は1day = 2h ほどで読み替えていただければ必要時間が割り出せるかと思います.
順位 | 資格名 | 正式名称 | 難易度 | 学習期間(目安) |
---|---|---|---|---|
1 | ANS | Advanced Networking - Specialty | ★★★★★ | 2週間+2週間 |
2 | DAS | Data Analytics - Specialty | ★★★★☆ | 3週間 |
3 | SAP | Solutions Architect - Professional | ★★★☆☆ | 4週間 |
4 | SAA | Solutions Architect - Associate | ★★★☆☆ | 4週間 |
5 | DOP | DevOps Engineer - Professional | ★★★☆☆ | 2週間 |
6 | *SCS | Security - Specialty | ★★★☆☆ | 2週間 |
7 | DVA | Developer - Associate | ★★☆☆☆ | 3日間 |
8 | SOA | SysOps Administrator - Assosiate | ★★☆☆☆ | 3日間 |
9 | MLS | Machine Learning - Specialty | ★★☆☆☆ | 3週間 |
10 | DBS | Database – Specialty | ★★☆☆☆ | 3週間 |
11 | PAS | SAP on AWS - Specialty | ★★☆☆☆ | 2週間 |
12 | *CLF | Cloud Practitioner | ★☆☆☆☆ | 3日間 |
オフライン受験で会場を押さえる都合上,3~4週間前に受験登録する必要があります.基本的に土曜日,日曜日の受験になるため,見込みがずれると1週間ほど余ってしまい非常に効率が悪いです.そのため合格までに必要な日数の見込みは慎重に行う必要があります.前もってAWSが出している無料の公式問題集を10問程度解いて,どの程度自身の知らない分野が入っているかを推測し,受験までの期間を決めるのが良いと思います.後述と同じ学習方法で履修する場合は最長でも1試験当たり4週間あれば問題ないと思います.
私の場合は,DBS,MLSは2週間で良かったです.
学習方法について
学習リソースは下記のUdemyとweb問題集のみで乗り切りました.一番最初に受験したSAAはUdemyの教材を利用して全体を網羅した後に,web問題集で学習しました.それ以外の試験は,web問題集を解きつつ,初見の単語はchatgptに概要を聞き,社内のAWS環境の設定項目や各種webサイトで,chatgptの裏どりを取っていました.chatgptの傾向として,AWSマネージドの設定などのできる/できないの回答がかなり危ういので,裏どりは必須です.
1. Udemy :【SAA-C03版】これだけでOK! AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験突破講座
2. web問題集 : AWS WEB問題集で学習しよう
AWS全体をなんとなく網羅,12冠する分にはこの程度で大丈夫だと思います.12冠する頃には他人の話を聞いて,「そのアーキテクト問題あるんじゃない?」や「それセキュリティ上やばいよ!」といったことには気づけるようになり,加えて簡単な要件であれば,自分でアーキテクチャは描けるようになっているはずです.
各試験について
以下は試験を受けてみた所見です.今後の傾向に関しては,想像も含まれるため,参考程度にご参照願います.公式の各試験の出題範囲の解説以上の情報は載せられないため,本当に参考程度でご確認ください.
ANS
ネットワーク系の話がメインです.ルーティングの知識が必要となります.単一VPCだけでなく,オンプレを含めた複数アカウント間,リージョン間の接続が出てきます.VPCやサブネットの話を理解していないと難しいため,後半での受験をお勧めします.AWS試験の中で,私が唯一不合格となった試験です.2回目の試験もギリギリの点数で合格でした.先述した勉強法では明らかに足りないので,この試験に関しては他の学習リソースを探したほうが良いかもしれません.
DAS
データ分析処理系の話がメインとなります.データサイエンティスト,データエンジニアあたりの業務のイメージが掴めないと何をしているのかイマイチイメージを掴みきれないかもしれません.データを収集、保管、処理、視覚化するための最小管理のフロー設計が主な目的になります.Apacheのデータ分析系のミドルウェアを多くサポートしているため,併せて知識を入れていくとより汎用的な知識を取得可能かと思います.データ分析はAWSでもかなり力を入れている分野で,AWSマネージドサービスで完結する分野もかなり広く,学習していて面白かったです.
SAP
最難関と名高い試験ですが,SAA-C03を合格できていればそれほど苦労しない印象です.「なんだこの問題難しいな...」と思った問題はたいてい他スペシャリティ試験の出題範囲に含まれているので,12冠を目指す上では,根気強くしっかり進めた方が後々に楽になると思います.
SAA
クラウド入門生としてはかなりの難易度に感じました.サーバやネットワーク系の設定の知識よりも,AWSのベストプラクティスに沿った設計の実現に向けたアーキテクチャ設計がメインとなります.基本的なAWSのサービスは出てくるので,toC向けの製品に関する社内での会話はこの資格のみでなんとなくわかるようになるかと思います.同期のエンジニアと話している印象ですが,SAA-C02とSAA-C03では大きく傾向が変わり,SAA-C03はSAPに近くなったと噂が上がっています.(私はSAA-C02は受験していないので,あくまで噂です)
DOP
後半に受験したため,あまり難易度は高くない印象でした.AWSマネジメントサービスの使い方がメインです.アーキテクチャというよりもアカウント管理やモニタリングが中心となり,分類としては,SCSやDVA,SOAが近い印象でした.色々な種類のAWSサービスの知識が必要となるため,序盤に受験する場合は難易度は高めです.
*SCS
AWSのセキュリティ関係のサービスがメインです.VPN等の暗号化ネットワークの範囲に加えて,各セキュリティサービスのできる/できないの話が多いので,詰め込み式な学習になるかと思います.セキュリティはAWSを利用する上で,何をするにしても避けられない話なので,汎用性は比較的高い試験です.どのサービスが,何をモニタリングしているのか押さえていくのがコツです.ただし,私が受験したものは旧版のSCS-C01で,2023年7月にSCS-C02の最新試験に更新されました.クラウド利用に関するセキュリティもホットなトピックで,同時期の「re:Inforce」イベントでたくさんのサービスを発表しており,かなり内容も変わっているかもしれません.
DVA
CI/CD,ライフサイクル周りがメインです.序盤に受験する場合,CI/CDってなんだ?という話から調べてみるとイメージが付きやすいかもしれません.SAPに合格している場合,重なる範囲も多いため,それほど学習に時間をかける必要はないかと思います.
SOA
AWSがサポートする,運用に関するサービスがメインです.メンテナンスの容易性のためのAWSの各サービスの便利機能の習得といったポジションかと思います.こちらもSAPと重なる範囲が多いです.
MLS
SageMakerと機械学習の基礎がメインとなります.他の試験との関連性は低いですが,データの保存方法やフローという意味では,DBS,DASは少し重なる部分があるかもしれません.最近話題の生成AIもAWSが言及することが増えているので,試験も今後内容変更が発生するかもしれません.
DBS
AWSがサポートする各DBに関する話がメインです.DASと範囲が重なる部分が多く,SAPやDASを所有していれば,それほど苦労しません.
PAS
受験録や情報が少ないため,かえって出題範囲が特定しやすいです.概要をさらっと追って,問題集を解く形で良いと思います.SAPのサポートページはSAPを利用していない場合は閲覧することができません.ただし,書いてある内容は推測することができるので,環境によっては「SAP Support xxxにはxxxについての事項が書いてある」という詰め込み式の学習方法になるかと思います.
また,ほとんどのSAP製品はEC2上で管理するため,学習スタート時はかなり違和感があります.
*CLF
AWSの基礎を問う問題がメインです.他のAWS資格を所有していても,「どこかで聞いたけど,これってどうなんだっけ?」というCLF独自の問題もあるので,見直し程度はしたほうが良いです.
最後に
AWS資格について解説していきました.2023年時点では,全試験を通して選択式の試験のため,高度情報処理技術者試験と比較して難易度は易しいと思います.本来であれば,試験ラボというAWSの操作試験(?)があるそうなのですが,某流行り病の影響で一時免除という状態です.
取得難易度は格段に下がっているはずなので,この機会にAWS12冠を目指してみてはいかがでしょうか?