はじめに
この記事はクラウドワークスAdvent Calendar 2023 シリーズ1の17日目の記事です。
クラウドワークスで技術的負債解消チームのジャンヌに所属している@san_youです。
突然ですがエンジニアであればキーボードはほぼ毎日使いますよね?
どんなキーボードを使っているでしょうか?
そのキーボード、もっとかっこよくこだわれるかもしれません。
見た目がいいと気分(と多分効率も)爆上がりするのでキーボードをこだわるのは是非おすすめします。
でもなにからしていいかわからない…
そんな方向けにキーボード沼に片足つっこみ始めた自分が色々教えられればとおもいます。
自分のおすすめも記載しておくのでぜひ見てってください。
購入前のこだわり編
キーボードを購入する前にこだわれるポイントを解説します。
キーボードの種類
まずはキーボードの種類をこだわりましょう。
ラップトップ付属のキーボードだったり格安のキーボードを使ってる方はぜひメカニカルキーボードに乗り換えましょう。
最近のメカニカルであれば大体キーボードの見た目をガラッと変えられたり、色々こだわれるようになってます。
自分がメカニカルキーボードかどうかわからないって方は
- 外付け
- キーキャップ(キーが印字されているキャップ)が取れる
- キーキャップを取った時に見える軸が十字
かどうかで判断してもらえればと思います。
さらにそのキーボードにホットスワップという機能がついているとさらに打鍵感(キーボードを打った際の感触とか重さ)もこだわれるようになります。
配列
キーボードの配列はできればUS配列(ANSI配列)だと後述するキーキャップが色々選べてハッピーですがJIS配列でも全然大丈夫です。
Enterキーがこんな↓感じになってたらJIS配列
なってなかったらUS配列だと思ってもらっていいです。
(他にもあるんですが日本国内で流通してるのはほぼこの二つなので気にせずOK)
引用元:
オススメ
US配列がオススメです。
選べるキーキャップの選択肢の数が段違いなので好みのものを見つけやすいです。
windowsの印字と入力されるキーが違って使いづらい問題はwindowsの設定で変えられます。
購入後のこだわり編
メカニカルキーボードを入手したあとにこだわれるポイントです。
キーキャップ
無事メカニカルキーボードに乗り換えた or 持っていた皆さんはおそらくキーキャップというキーボードのキーについてるキャップみたいな部分を交換できるようになっているはずです。
好みのキーキャップをつけるだけで大分愛着が湧くのでぜひ交換して見てください。
ただ、いろんなバリエーションがありすぎるので解説します。
購入前の注意
配列編
違う配列のものを買ってしまうと入力した記号と違う文字が入力されたりするので、自分のキーボードの配列とあったキーキャップを探す必要があります。
US配列の方は数が多いのでほぼ気にせず探して貰えばいいですが、JIS配列の方はかなり気を使って探さないといけないです。
よくあるのがEnterキーはJIS配列の形のものだが記号の印字(レジェンド)はUS配列になっている問題です。
それを防ぐためにキーキャップの「2」のサブレジェンド(2の横とかにしてある刻印)を見て
JIS配列なら「”」
US配列なら「@」
が記載されていることを確認をすれば大体の買い間違いは防げるはずです。
よく確認して自分のキーボードにあったキーキャップを購入しましょう。
在庫編
Amazonとかで買える安いキーキャップは在庫が補充されたりしますが、海外のメーカーが作ってるキーキャップは基本再販しません。
なのでキーキャップとの出会いは一期一会だと思ってください。
あとから買おうとすると自分のタイミングでは手に入らず、フリマサイトとかで出品されてるプレ値のものを買う羽目になるので買える時に買うことをおすすめします。(1敗)
素材
大体ABS or PBTという素材でできているのですがざっくり以下の認識で大丈夫です。
ABS: 安い、すぐテカる
PBT: 高い、サラサラ、テカリにくい
これだけ見ると予算が許せばPBT最強と思うかもしれないですが、もちろん品質の高いABSのキーキャップもありますし逆も然りです。
例えばGMKという超人気メーカーのキーキャップはABSなのでGMKを使いたかったらABSなのを許容しないといけません。
ただ、テカってる状態が好きな人もいるので一概にPBT最強とは言えません。好みです。
引用元:
また他にもセラミックでできた陶磁器のキーキャップだったり金属でできたキーキャップ、表面がゴムでできていて滑りにくいゲーム用のキーキャップなど色々あるので調べてみてください。
オススメ
基本PBTがおすすめ。
ただ、好みのキーキャップがABSだったとかもあるのでその場合は許容した方が幸せ。
プロファイル
プロファイルはキーキャップの形になります。
実は結構大事でなんか打ちづらいなって思う人は違うプロファイルのキーキャップにすると急に打ちやすくなったりします(体験談)
かなり種類があるので全ては列挙できませんが比較的有名な(買いやすい)プロファイルだけまとめました。
引用元:
高さだったり上面の形状だったり行ごとの形だったりこだわりやすいのでいろんな会社や個人がいろんなプロファイルを作っててかなり混迷を極めてます。
オススメ
OEM or Cherryプロファイルがおすすめ
OEMは普通のキーボードによく採用されているプロファイルで、CherryプロファイルはOEMを少し低くした感じなのでこちらの二つがおすすめです。
OEM、Cherryプロファイルのキーキャップは比較的数が多いので好みのものを探しやすいのもおすすめポイント。
また背の低いキーボードが好みであればXDAやDSA、最近の流行りでAmazonでも購入しやすいXVXプロファイルを使ってみると幸せになれるかもしれません。
印刷方法
キーキャップの印字をどうやって表現しているかです。
これもかなり色々あるんですけど最初は
- ダブルショット、昇華印刷
- その他
という認識でいいかと思います。
ダブルショット
2種類の樹脂を使って印字を表現する手法です。
物理的に印字と下地の樹脂が違うので擦れなどでは印字が消えないのが特徴です。
個人的に構造的に昇華印刷よりダブルショットのほうが信頼できるので好きです。
昇華印刷
熱と圧力で印刷する手法です。
インクを素材に深く浸透させるので通常利用であれば印刷が消えない。
その他の印刷方法
まだまだ色々あるのですが、こだわってないで買うキーボードについてくるキーキャップは大体は消える印刷手法で印刷されているので気にしなくていいです。
印刷方法がちゃんと記載されていないキーキャップは印字が消える印刷手法で作られているという認識でいいと思います。
オススメ
せっかく買ったキーキャップは長く使いたいと思うので印字が消えないダブルショットか昇華印刷をおすすめします。
アルチザンキーキャップ
個人が自作してるキーキャップのことです。
大体セットではなく1キーごとの販売が多いです。
個人が制作しているので数が少ないのにめちゃめちゃ可愛い一品もののキーキャップがあります。
日本だとBoothとかが比較的購入しやすいかも。
個人的にここで売ってるGopherのキーキャップが可愛いのでいつか買おうかなと思ってます。
引用元:
https://kochikeyboard.stores.jp/items/5f9f7085da019c63eb1eddd3
キースイッチ
キースイッチは以下のような見た目のスイッチでキーボードのキー一つ一つにこういったスイッチが設置されていて、このスイッチがある一定のポイントまで押されることで文字が入力される仕組みです。
引用元:
押し心地に直結します。
キーボードの部品の中で一番こだわれるかも。
キーボードの種類という項目で**ホットスワップ**という機能がついているとさらにこだわれるようになります。
と記載したんですが、ホットスワップというのはこのキースイッチを自由に付け替えることができる機能です。
以下のように基盤の裏にキースイッチ用のソケットが付いていて、キースイッチをソケットの穴に差し込むだけで交換できるようになるという仕組みです。
引用元:
このホットスワップに対応していないキーボードは、キースイッチがはんだ付けされてしまっているので気軽に交換できません。
なのでホットスワップ対応のものを購入をおすすめしてたわけですね。
また、キースイッチも種類がありまくるのでおすすめと共に解説します。
購入前の注意
メカニカルキーボードに利用できるスイッチには2種類あります。
ソケットが違うので互換性はありません。
なのでちゃんと購入前に一応確認しましょう。
Cherry MX(互換)スイッチ
普通のスイッチです。
大体のキーボードに使われているスイッチはこれです。
引用元:
Kailh Chocスイッチ
背が低い(ロープロファイル)スイッチです。
引用元:
バージョンが色々ある上、バージョン間の互換性もないのでよく確認してください。
ちなみにv1は軸の形もCherryスイッチと違うので専用のキーキャップを購入する必要があります。
感触
スイッチを押し込んだときの感触によって3種類に分けられます。
ただ同じタクタイルでもスイッチによって感触は全然変わってきたりするので実際に触ってみないとわからないですね。
種類が音とかにも関わってくるので色々触って自分の好みを見つけましょう。
クリッキー
ゲーミングキーボードにカッチャンカッチャンうるさいイメージをお持ちかもですが、このタイプのスイッチの音がそのイメージの音です。
オフィスで使うには気になるくらいうるさいです。
特徴がある打鍵感をしてるので愛好家もいます。
画像引用元:
タクタイル
途中で軽いクリック感があるタイプ。
リニアとクリッキーの中間くらい。
最初だったらなんだかんだ無難な選択肢かも。
画像引用元:
リニア
スイッチを押し込む時に底までまっすぐ押し込めるタイプです。
静音タイプのリニアは愛好者が結構いるイメージ。
画像引用元:
オススメ
最初ならタクタイルがおすすめ。
タクタイルでもっとカチカチなってほしいならクリッキー、スムーズに押したいならリニアを試してみるといいかも。
押下圧とストローク
押下圧はスイッチを押し込んだときの重さなのですが、アクチュエーションフォースとボトムアウトフォースの2種類があるのでどちらについて記載されているのか注意が必要です。
アクチュエーションフォース: 後述するアクチュエーションポイントまで押し込んだときの重さ
ボトムアウトフォース: 底まで押し込んだときの重さ
記載がなければ大体はアクチュエーションフォースと思ってもらっていいです。
普通のキーボードは55〜45gぐらいが多いんじゃないでしょうか。
ここも好みですが、ものすごいざっくりとしたイメージとしてはこんな感じ ↓
軽い: 疲れにくい、素早く打ちやすい、タイポが増える
重い: 疲れやすい、素早く打ちづらい、タイポが減る
なので自分の好みの重さを見つけるといいと思います。
ちなみにたまにcNという表記がされたりするんですがgと同じと思ってもらっていいです。
オススメ
最初は普通の55gくらいがおすすめです。
そこから徐々に軽くしたり重くしたり変えていった方がいいと思います。
ストローク
キースイッチを押し込める長さ。
普通は大体4mmですね。
それとは別にアクチュエーションポイント(動作点)というここまで押し込んだらスイッチが反応して文字を入力しますよっていうポイントがあるんですが、それは大体2mmくらいが多いですね。
なのでストロークが浅いと少しの押し込みで入力されます。
ここもざっくり以下のようなイメージなのでトレードオフですね。
短い: 素早く打ちやすい、タイポが増える
長い: 素早く打ちづらい、タイポが減る
オススメ
自分は素早く打ちやすいのが好きなのでなるべく短い方がおすすめですがそこまでこだわらなくてもいいです。
(ストロークにこだわりすぎるとスイッチが見つからないかも)
感触、押下圧、音とかで選んでからさらに選択肢があればストロークが短いのを選ぶって感じです。
音
キースイッチを押し込んだときの音です。
もう完全に好みだし文章にもしづらいのですが低めのコトコトといった音の方が人気があるイメージですね。
購入前にyoutubeとかで気になってるスイッチの音を聴くといいとおもいます。
キーキャップとかキーボードのケースの素材の音とかにもよっても違うんですが大体はわかります。
あとは静音タイプが好きって方も多いです。
そういう方はmodといってキーボードの中にフォームを貼ったりスプレー拭いたりゴムのリング仕込んだり色々できるので静音タイプが好きって方はぜひご自身で調べてみてください。
オススメ
自分はかちゃかちゃキーボードを叩いてる音が鳴るのが心地いいので静音タイプ以外をおすすめします。
静音タイプのスイッチはカサカサって感じのこすれる音がなることが多かったのであんまり好みじゃないんですよね。
ただ、自分は自宅でしか作業しないのでそれでいいですが、オフィスで働いている方とかだといい音とか打鍵感を犠牲にしてでも静音がいいって方もいるので環境にもよりますかね。
色
正直色にこだわり出したらもうかなりこだわりレベル高いです。
キースイッチは見えないことが多いのですがたまに見えるケースのキーボードがあります。
そんなときにつけてるキーキャップとスイッチの色があってるとかわいいです。
そんだけ。
打鍵感などには一切影響はないので細部までこだわりたい方だけ色まで好みのスイッチを探しましょう。
オススメ
クリアとかモノトーンだと悪目立ちしにくいのでおすすめ。
でも大体見えないので見えなかったらなんでもいいです。
打鍵感とか押下圧を優先しましょう。
さらにこだわりたい方に
ルブ
キースイッチに潤滑剤を塗ることです。
元からルブされているスイッチもありますが、大体はされてません。
ルブすると打鍵感と音が変わります。
大体は向上しますがたまに打鍵感が大きく変わるなど塗らない方がいいスイッチもあります。
ルブはやってる方も多く、作業自体は簡単なのでぜひやってみてください。
ただ一つだけデメリットがあって、それはキースイッチ一つ一つをバラして各部品ごとに潤滑剤を塗るのでとにかく本当にめんどくさいことです。
根気がある方はぜひ。
フランケンスイッチ(キメラスイッチ)
違うスイッチのパーツを組み合わせて作成されたスイッチのことです。
これやってる方は結構変態かもです。
一つのスイッチを作るのに複数のスイッチを必要とするので当然ですがコストも跳ね上がります。
最初の方は市販のスイッチを試していくだけで全然満足なので、沼にどっぷり浸かって自分好みのキースイッチが市販されていないと気付いたら検討してみてもいいかもしれません。
ただ熱狂的なファンがいるHoly Panda Switchも元はフランケンスイッチだったらしいので試行錯誤は大事かもですね。
自分はまだこの領域にはいけていません。
より高みを目指したい方へ
紹介したのはキーキャップとスイッチだけでしたがかなりのボリュームだったと思います。
キーキャップとスイッチを変えるだけでもだいぶ愛着が湧くとおもいます。
ただ、キーボード沼の前では全然序の口です。
普通のキーボードじゃ満足できない方向けにキーボード沼には自作キーボードという文化があります。
先人たちが文字通り自分の手でオリジナルキーボードを作成してそれを販売してくださってます。
自分で作成しているので配列、スイッチ、追加機能など様々なキーボードが存在します。
例えば私が利用している自作キーボードはKeyball61というキーボードになります。
自作キーボードの中では比較的有名かと思うのですが改めてこのキーボードの特徴をまとめると
- 分割式
- トラックボール付き
- カラムスタッガード
- 61キー
- ホットスワップ対応
- OLED搭載
- QMK/VIA対応
というものになってます。
市販品ではなかなかないスペックですよね。
他にもHHKB配列で分割式のキーボードだったり、トラックパッド付きのキーボードなんかもあったりします。
普通のキーボードじゃ物足りなくなってきたら是非沼を覗いてみることをおすすめします。
「自作」キーボードなので大抵のキットは自分で作成する必要があるのですが、専門時代に少しだけケーブルのハンダをしたことがあるくらいの経験しかない自分でも組み上げられました。
もちろん苦労はしましたが苦労のかいもあってかなり愛着が湧きます。
あとがき
めちゃくちゃ長い記事になってしまいましたが、正直まだまだ沼の深さを伝えきれていません。
ケーブルとかもオーダーしたりする人もいますしアルミケースのかっこよさとかも伝えたかったです。
ただ、まずは自分が使ってるキーボードを見直してみると楽しいよということを伝えられればと思ってこの記事を書きました。
自分もRealforce R3の30gで満足していて他のキーボードなんて全然気にしてなかったのですが、ゲーム用のメカニカルキーボードを購入してから色々調べるようになっていつのまにかキーボード沼にハマっていました…
いつか自分も理想の自作キーボードを設計して作ってみたいですね。