この10年近く、IT業界の界隈で比較的に経営に近い立場で仕事をしてきた。
その間、何人ものエンジニアと仕事やプライベートを通じて交流してきたし、非エンジニアの僕がなぜか技術部隊のマネジメントをやらされたりもした。
そんな過去、現在のエンジニア諸氏との交わりの中でも、やはり何人か強く印象に残っている方々がいる。
そうしたエンジニアについて回顧録よろしく紹介してみたい。
今回は記念すべきその一回目であり、一人目のエンジニア(二回目を書く機会があるかどうか分からんが)。
Aさんのこと
Aさんは、、、年いくつくらいだろう。たぶん30代の半ばくらい。
webサービスやスマホアプリのフロントもサーバーサイドも一通りマルチにこなす。
キャラクターとしてはアニメやゲーム好きの、明るい感じのオタク。
そんなAさんとメシ食ったときの話。
当時の状況
当時の周辺状況を話しておかねばなるまい。 当時、僕とAさんは同じ会社に属していて、僕は技術部隊をマネジメントする立場として、「エンジニアの評価」がどうあるべきか、みたいな課題に向き合っていた。 多くのエンジニアが、 ・技術スピードが速い中、キャッチアップが難しく、今はいいかもしれないけど10年20年先、自分の「旬」が過ぎたときに果たしてエンジニアとしてやっていけるのか ・さりとて「得意不得意」を考えたときにプロマネやSEといった上流エンジニアリングに自分が適しているか分からない 結果、自分のキャリアパスに自信と確信を得られずにいる、といった悩みを持っていたように思う。 Aさんとメシ食ったのはそんな時期のことで、僕としてはいろんなエンジニアにヒアリングをしたいという思いがあった。ヨボヨボのじーさんになっても
なんていうのか、爽快な裏切りだった。 まあAさんも他の皆と同じように悩んでるんだろう、と思って話を聞いていたところ、Aさん曰く。 「そりゃ、いつか技術に置いて行かれるでしょうね。でも僕は使い物にならないかもしれないけど、それでもヨボヨボのじーさんになってもプログラムを書き続けていたいんです」 と。 なんの気負いもなくそう言うAさんと話しながら僕は自分が恥ずかしくなった。ただ好きなだけ
Aさんはただただプログラムを書くことが好きなのだ。 好きなことを一生やっていたい。ただそれだけ。 多くのエンジニアが悩むような、「技術についていけなくなるかも」、「エンジニアとして食っていけなくなるかも」といったことは二の次なのだ。 そんな悩みよりも自分の好きなことをやっていた方が幸せだという、純粋にして最強の哲学!翻って自分はどうであろうか考えさせられた。
「好きなこと」、、、できてねーなぁ。
まあ、それは人それぞれ。良い悪いの話じゃないけど、Aさんとのこの会話は今もずっと僕の中に強い印象を残している。