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n段Fat Treeネットワークには、何台入る?何台のスイッチが必要?

Last updated at Posted at 2018-12-23

日本語での需要ないかもですし、超一部のSIerにしか興味ある人はいないかも。

背景

HPCでは、ノード(ここではコンピュータ1台とします)間の通信速度を確保しないと、大規模になればなるほど所要のパフォーマンスが出せません。
スーパーコンピュータともなれば、どの計算機間にも同等の通信帯域が求められます。

InfiniBandでは、36ポートのスイッチが標準的に使われます。
36台間であれば、1台のスイッチを用意するだけで、同等の帯域がすべてのノード間で確保できます。
これ以上のノードを相互接続するにはどうしたらよいでしょうか。

ツリーネットワークであれば、遠いノード間では、集約される分、帯域が確保されなくなります。
そこで考えられたのがFatTreeネットワークです。

上に行くほど太くして相互接続して、上流と下流を同等の帯域を確保する方法です。
(ここでは、そのスイッチにつながるノードを下流、別のスイッチにつながるものを上流と呼びます。)

InfiniBand

低レイテンシ、広帯域なインターコネクトです。(雑)

1段ファットツリー

一般化するために、ツリーでもないが、一応1から考えておきましょう。
36ポートが標準と書きましたが、一般化して$p$とおきます。以下は明らかです。

  • スイッチのポート数 $p$
  • 収容可能ノード数 $N_1 = p$
  • 必要スイッチ数 $S_1 = 1$
  • 必要ケーブル数 $C_1 = p$
  • 最大収容時ノード数 $N_1^{max} = p$
  • 最大収容時スイッチ台数 $S_1^{max} = 1$
  • 最大収容時ケーブル数 $C_1^{max} = p $
  • 最大収容時効率 $E_1 = N_1/S_1 = p$
$p$ $N_1^{max}$ $S_1^{max}$ $C_1^{max}$ $E_1^{max}$
36 36 1 36 36

2段ファットツリー

  • 上段スイッチ(=1段ファットツリー)の数 $T_1$
    とします。

二段ファットツリーでは、2段スイッチは1段スイッチの半分だけの数を用意します。
その間をケーブル接続する必要があるので、自然数であるべきです。

$\frac{p}{2T_1} \in \mathbb{N}$

そのため、場合によっては、36ポート全部活かせないこともありえます。

収容可能なノード数は、1段スイッチの下流数、2段スイッチの下流数と同じとなります。1段スイッチは2段スイッチの半分の個数であるため、$pT_1$となります。

  • 収容可能ノード数 $N_2 = pT_1$

また、1段スイッチの数が$T_1$で、2段スイッチは$2T_1$となりますので、必要なスイッチ数は、$3T_1$となります。

  • 必要スイッチ数 $S_2 = 3T_1$

さらに、ケーブルは上流・下流それぞれにノード数の2倍必要なので、$2N_2$必要となります。

  • 必要ケーブル数 $C_2 = 2pT_1$

たくさんノードを、少ないスイッチで実現できればよいわけです。全体で1台のスイッチあたりに、何台つなげるかを収容効率と考えることができそうです。

  • 収容効率 $E_2 = N_2/S_2 = p/3$
ポート数$p$ 上段スイッチ$T_1$ ノード数$N_2$ スイッチ数$S_2$ ケーブル数$C_2$ 効率$E_2$
36 1 36 3 72 12.0
36 2 72 6 144 12.0
36 3 108 9 216 12.0
32 4 128 12 256 10.7
30 5 150 15 300 10.0
36 6 216 18 432 12.0
32 8 256 24 512 10.7
36 9 324 27 648 12.0
36 18 648 54 1296 12.0

※$T_1=1$のときは、1段で良いので合理的には$T_1\geq2$となる。

  • 最大収容時ノード数、$N_2^{max} = \frac{1}{2} p^2$
  • 最大収容時スイッチ台数、$S_2^{max} = \frac{3}{2} p$
  • 最大収容時ケーブル数、$C_2^{max} = p^2$
  • 最大収容時効率、$E_2^{max} = \frac{p}{3}$

3段ファットツリー

2段ファットツリーを上流スイッチとみなします。

  • スイッチのポート数 $p$
  • 2段FTの上段スイッチの数 $T_1$
  • 2段FT数 $T_2$

2段FTの上段スイッチに対して、$N_2=pT_1$であり、その数が$T_2$あるので

  • 収容可能ノード数 $N_3 = pT_1T_2$

となり、1つの2段FT数で、$S_2=3T_1$であり、2段FTが$T_2$あるので、$3T_1T_2$。さらに、もう一段ある分が$2/3$倍にあたるので、

  • 必要スイッチ数 $S_3 = 5T_1T_2$

となり、1つの2段FT数で、$C_2=2pT_1$であり、2段FTが$T_2$あるので、$2pT_1T_2$。さらに、もう一段ある分で$pT_1T_2$分必要なので、

  • 必要ケーブル数 $C_3 = 3pT_1T_2$

となります。

ポート数$p$ 二段FTの上段$T_1$ 二段FT数$T_2$ ノード数$N_3$ スイッチ数$S_3$ ケーブル数$C_3$ 効率$E_3$
36 18 2 1296 180 3888 7.2
36 18 18 11664 1620 34992 7.2

$T_1$,$T_2$は$p/2$が最大なので、以下のようになります。

  • 最大収容時ノード数、$N_3^{max} = \frac{1}{4} p^3$
  • 最大収容時スイッチ台数、$S_3^{max} = \frac{5}{4}p^2$
  • 最大収容時ケーブル数、$C_3^{max} = \frac{3}{4}p^3$

n段ファットツリー

$n-1$段ファットツリーを上流スイッチとみなすことで、多段を考えることができます。

3段のときにおける、2段スイッチの上段スイッチ数(=$T_1$)、2段FT数(=$T_2$)のように考えることで、
総乗で書くことができそうです。

$\forall T \leq \frac{p}{2} \cap \forall \frac{T}{2p} \in \mathbb{N}$

  • スイッチのポート数 $p$
  • 収容可能ノード数 $N_n = p\prod_{1}^{n-1}{T_k}$
  • 必要スイッチ数 $S_n = (2n-1)\prod_{1}^{n-1}{T_k}$
  • 必要ケーブル数 $C_n = np\prod_{1}^{n-1}{T_k}$

$\forall T \leq \frac{p}{2}$であることから、

  • 最大収容時ノード数 $N_{n}^{max} = \frac{1}{2^{n-1}} p^n$
  • 最大収容時スイッチ台数 $S_{n}^{max} = \frac{2n-1}{2^{n-1}}p^{n-1}$
  • 最大収容時ケーブル数 $C_{n}^{max} = \frac{n}{2^{n-1}}p^n$
  • 最大収容時利用効率 $E_{n}^{max} = \frac{p}{2n-1}$

となる。

36ポートスイッチ利用したとき、それぞれの段数での最大収容数であるとき、以下の表の通りとなる。

段数$n$ ポート数$p$ ノード数$N_n$ スイッチ数$S_n$ ケーブル数$C_n$ 効率$E_n$
1 36 36 1 36 $\frac{36}{1}$
2 36 648 54 1296 $\frac{36}{3}$
3 36 11664 1620 34992 $\frac{36}{5}$
4 36 209952 40824 839808 $\frac{36}{7}$
5 36 3779316 944784 18895680 $\frac{36}{9}$
6 36 68024448 20785248 408146688 $\frac{36}{11}$
7 36 1224440064 442158912 8571080448 $\frac{36}{13}$
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