自分用メモです
1.はじめに
Oracle Cloud Infrastructure(OCI)では、ブロックストレージ、オブジェクトストレージ、ファイルストレージ、アーカイブストレージなど、複数のストレージサービスを提供しています。それぞれのストレージには、レプリケーション、バックアップ、クローン作成などのデータ保護・運用管理機能が備わっています。
本記事では、OCI公式ドキュメントや実際の運用知見をもとに、各ストレージの機能を比較し、それぞれの特性や制約、運用時の注意点について記載します
2. OCIの各ストレージサービス概要
🔹 ブロックボリューム
📌 概要
OCIのブロックボリュームは、高速なブロックレベルのストレージであり、コンピュートインスタンス向けに最適化されています。デフォルトで256ビットAES暗号化を使用し、複数のアベイラビリティドメイン(AD)にまたがるレプリケーション機能を備えています。
🔄 レプリケーション機能
- 非同期レプリケーションが可能
- ボリュームグループ単位で最大3つのADまたはクロスリージョンでの冗長化が可能
- ディザスタリカバリ(DR)や移行に活用可能
📋 クローン機能
- 同一AD内またはクロスリージョンでのクローン作成が可能
- 最大32TB(ソースボリュームのサイズによる)
- ハイドレーション処理により、最大30分程度の影響あり
🔹 オブジェクトストレージ
📌 概要
オブジェクトストレージは、REST API経由で大容量データを管理できるサービスです。年間耐久性99.999999999%(11ナイン)を誇り、冗長性の高い設計がされています。
🔄 レプリケーション機能
- クロスリージョンレプリケーションが可能
- バージョニングが有効な場合、宛先バケットは読み取り専用となる
📋 クローン機能
- オブジェクトのコピー(クローン的な操作)は全リージョンで可能
- バージョニングや保持ルールの影響を受けるため、運用には注意が必要
🔹 ファイルストレージ
📌 概要
OCIのファイルストレージは、NFSv3プロトコルに対応した共有ストレージであり、高い可用性を提供します。フォルトドメインをまたいだ5方向のレプリケーションによる冗長性を持ちます。
🔄 レプリケーション機能
- 同一リージョン内でフォルトドメイン間の5方向レプリケーションが可能
📋 クローン機能
- スナップショットベースのクローン作成が可能
- 同一リージョン内のみクローン作成が可能
- クローン作成直後はIOPSが最大30%低下する可能性あり
🔹 アーカイブストレージ
📌 概要
アーカイブストレージは、長期間保存向けの低コストなコールドストレージです。頻繁にアクセスしないデータの保存に最適ですが、復元には時間がかかります。
🔄 レプリケーション機能
- 明示的なレプリケーション機能はなし
- 最低90日間の保持が必須
📋 クローン機能
- 直接のクローン作成は不可
- 利用時は標準ストレージへ復元する必要がある
- 復元時間は公式SLAで最大4時間、実運用では1時間程度の場合もある
3. 各ストレージサービスの機能比較表
ストレージ種別 | レプリケーション機能 | クローン作成範囲 | マルチリージョン対応 | その他の注意点 |
---|---|---|---|---|
ブロックボリューム | 最大3ADまたはクロスリージョンに対応 | 同一ADまたはクロスリージョン | 可能 | ハイドレーション中のパフォーマンス低下 |
オブジェクトストレージ | クロスリージョンレプリケーションが可能 | 全リージョンへコピー可能 | 可能 | バージョニングが影響を与える |
ファイルストレージ | 同一リージョン内の5方向レプリケーション対応 | スナップショットベース | 不可 | クローン作成直後はIOPS低下 |
アーカイブストレージ | レプリケーション機能なし | クローン作成不可 | 復元後可能 | 復元に時間がかかる |
4. 運用時の具体的な制約と注意点
✅ ブロックボリュームの制約
- レプリケーションはボリュームグループ単位で設定
- クローン作成中はパフォーマンス低下に注意
✅ オブジェクトストレージの制約
- バージョニングが有効な場合、クロスリージョンレプリケーション時に宛先バケットが読み取り専用になる
- 保持ルールによるデータ削除制限がある
✅ ファイルストレージの制約
- クローン作成はスナップショットベース
- クローン作成後にIOPSが低下する事例あり
✅ アーカイブストレージの制約
- 直接のクローン作成は不可
- 復元に最大4時間かかる可能性がある
5. まとめ
OCIはさまざまなストレージオプションを提供し、各ストレージには最適なデータ保護機能が用意されています。それぞれの特性と制約を理解し、適切なストレージ戦略を立てることが重要です。
- ブロックボリューム:高速なクローン作成とクロスリージョンレプリケーションが可能
- オブジェクトストレージ:高耐久性を誇り、広域レプリケーションが可能
- ファイルストレージ:スナップショットベースのクローン作成に特化
- アーカイブストレージ:低コストだが復元に時間がかかる