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大学で演劇を学んでいた新入社員がUiPathのハンズオン講師をした話

Last updated at Posted at 2020-01-16

はじめに

はじめまして。
19卒、ぎりぎり新入社員のさくももです。

表題の通り文系出身の私が、なぜIT業界に就職したのかはまたの機会に。
RPAのチームに配属されて一から勉強していたところ、初めてのお仕事がハンズオンの講師だった話をまとめてみました。
(お仕事、と言っていいのかわかりませんが、初めて任せて頂けたこと)
大学で学んできた演劇の知識や技術が生かせる場面が多かったことに自分でも驚きました。
稚拙ながら文章に残してみようと思います。

依頼は突然に

あ~の~日、あ~の~時、あ~の場所で、き~み~に会えてなかったら~♪

いきなりIT業界に飛び込んだ私が配属されたのはRPAのチームでした。
RPAという言葉も知らなかったし、ロボ、と聞けばガションガション動くものを想像しちゃいます。
一から勉強で、とにかく作って慣れる、そんな毎日が始まりました。
ひたすらUiPathの勉強、ロボを作ってみる、新人課題に挑戦する、RPAを中心に色んなIT業界のイベントに参加するなど、プロジェクトに関わることはまだなくても色んなことに何だかんだ挑戦しながら半年が過ぎました。

そんな折、上司から一通のメールがあったのです。
なんだろう、と開いてみると「内定者向けのハンズオン講師のお願い」という言葉。
——なんと!
案件にアサインされることもなく淡々と勉強に勤しんでいた私に急に舞い込んだ初仕事、ハンズオン講師。
できるかしら、と少し不安も覚えましたが正直やっと自分に任せてもらえることが出来たのでわくわくしていました。

概要

ざっと以下のような依頼内容でした。

 テーマ:RPAハンズオン
  対象:内定者(RPA未経験/IT未経験者たち)
 ツール:UiPath
所要時間:2時間程
  目的:DX領域におけるRPAを体験してもらい、自社の重点事業を知ってもらう

特に今回大事にしたいのは「体験」というところでした。
新入社員として最も内定者に近い感覚を生かし、内容や説明を考えて講師をしてほしいという話でした。
確かに内定者の時の研修もよく覚えていたので、その記憶をもとにハンズオンを考えることになったのです。

注意したこと

ハンズオンをやるに当たって話し方や立ち居振る舞いに関しては特に注意しました。
私の専攻していた「演出」の仕事の半分は「人にものを伝える」ことだと言っても過言ではありません。
戯曲から得た解釈やイメージを役者やスタッフに伝える、作りたいものを実現させていく…とにかく言葉を必要とされます。
そんな中で、話す内容だけではなく「伝え方」も非常に大事なことを学びました。
以下、演劇を通して学んだこと、加えてこの1年で感じたことをもとにハンズオンで注意してみた内容です。
ご参考までに!

①鏡の法則

「話し手が緊張していれば聞き手にもその緊張が伝わる。
緊張していても息をつめず、吐くことが出来ていれば聞き手も息を抜くことが出来る。」

緊張状態の人間は息が浅く、詰めてしまいます。それを見ている人間は不思議なことに同じような状態に陥るのです。
和やかな空気を作りたい、笑わせたいときには緊張状態とは逆で息を吐かせることが大事になります。
そのためには話し手である自分もリラックスして息を吐いていなければいけません。
「緊張している」と素直に伝えてしまうのもいいかもしれないです。

②話をさせる

「人が楽しいと感じるのは聞いているときより話しているとき。」

これは演劇というよりビジネスシーンでもよく聞く話かもしれませんが、人間の心理を利用する演劇でもいえることでした。
ハンズオンという場では受講者は話を聞く立場です。
そのため「眠くなる」「つまらなくなる」、ましてや初めて聞く難しい言葉だらけなら尚更、
「楽しい」とはかけ離れていることを前提にしなければいけないでしょう。
面接などでも応用できるのですが、一方的に話すより、コミュニケーションをとる対話のつもりでいる方が相手に好印象を残せます。
特に面接官は一日の間に何十人と見なければいけなかったりするので、疲労もたまります。
「話す」という行為にも「息を抜く」効果があります。
ハンズオンという場で受講者たちに話をさせるのも難しいと思いますが、似たことが出来ればいいのかもしれません。
・隣同士で確認し合うことをOKとする
・フォローの先輩方や講師に聞きやすい場を作る
・たまに話を振ってみる
などが考えられるでしょうか。

③基本の話し方

立ち居振る舞い、気持ちが整っていても内容が伝わらなかったら本末転倒になってしまいます。
プロの役者ほど発声練習は怠らないものです。そこまでする必要はありませんが、心がけは大事にしたいところです。

・活舌
 内容を伝えるために何より大事なことかもしれません。
 「あ」「い」「う」「え」「お」、母音はそれぞれ発声するときの口や喉の開き方、形が違います。
 子音と母音で成り立っている日本語では主にこの母音の意識をしながら話すと伝わりやすいです。

・話すスピード
 早すぎず遅すぎず。
 早すぎれば聞き取れない可能性がありますが、長く話す必要のない内容は気持ち早めていいかもしれません。
 遅すぎれば眠くなってしまったり飽きてしまう可能性がありますが、普段喋っているときより気持ち遅い方がちょうどいいかもしれません。

・声の大きさ
 声の大きさは部屋の大きさに合わせて調整します。
 個人的には自分から最も遠い人に話しかけるくらいの声の大きさを意識すると話しやすいです。

・声のトーン、身振り手振り
 これは上記の3つに対してプラスαになります。
 トーンを使い分けることで「ポイント」を抑えたり、眠くならないように面白く話せたりします。
 身振り手振りは声のトーンに対して視覚的な補助になります。

・目線
 身振り手振りの延長になりますが、目線にも注意が必要です。
 前に立つ以上、人の視線からは逃れられません。むしろ、見られていることを意識する方がいいかもしれません。
 見られていることから逃げるのではなく、
 ちゃんとコミュニケーションをとる意思があることを示すためにも相手を見て話すことは重要です。

④資料作成

「必要最低限に、しかし丁寧に」

個人的に、内定者から新入社員にかけて特に苦労したのがITの専門用語。
使っている人によっては略語を使っていたり、IT関係者同士のニュアンスの専門用語だったりが掴めず話を聞くのが難しかったのです。
そのため、なるべく専門用語は使わず、「説明」は最小限に「手順」をしっかり丁寧に書くことを心がけました。
同じ作業を繰り返すシーンでも「慣れるだろう」と思わずになるべく省略して書かないように、
ぱっと見てわかるように文字よりも画像を多用しました。

いざ、本番!

さて、ITの知識面では内定者とあまり変わらない、RPAに特化した新入社員がハンズオン講師をすることになりました。
内定者の中には私のようなIT初心者もいれば、専門的にプログラミングをしてきた人もいます。
―――大丈夫か、私!?
元来、石橋を叩きすぎるような性格なので準備は徹底していました。
それこそ台本を書く如く、話したい内容を何度も想定して書き込み、声を出してちょっと話す練習もしたり。
メイン講師として「話す」私だけではなく、詰まった受講生を「サポート」してくれる先輩方がついてくれることが何より心強い事でした。
私はとにかく全体の流れを考えて滞りなく進めるのみ!いざ行かん。

当日の内容

1.RPAとは(15分座学)
2.自社のRPA事業(15分座学)
3.ハンズオン(2時間半程)←担当
4.その他人事系の話(30分)

ハンズオンの内容

今回、内定者向けに考えた内容は以下の通り!
1.UiPathいろいろ(Studio、Robot、Orchestrator、Academy等)
2.UiPath Studio 基本操作(画面の説明、作成する、保存する等)
3.演習①【webサイトからのデータスクレイピング】
4.演習②【アプリケーションへのデータ登録】
演習①では基本をおさえるために地道に手作り、データスクレイピングなどの機能を使ってみる。
演習②では①とは違いこんな方法もあるよと示す、レコーディングや繰り返しなどの機能を活用。

リハーサルで先輩方に試していただいた際は演習①に約1時間、演習②に約30分かかり、
30分程の余裕をもってこのくらいのボリュームでいこうと決めました。

よーいドン

昨年自分が内定者だった時のことを思い出すと最初に緊張をほぐせるかどうかが大事だと感じていました。
「内定者」という立場的に、正直かなり猫も被るし真面目な姿勢をとります。
同時に普段から授業を受けている「学生」でもあるのです。
学生時代、周りを見ていても非常にわかりやすかったのですが、大抵の人は「どんな姿勢で受ける授業か」を使い分けています。
この先生は、この授業は、と各々が判断しています。
しん、としている授業もあれば、にぎやかな授業もありますよね。
先生の雰囲気や話し方が、その授業での生徒の姿勢を決めている気がします。

今回はハンズオンなので遅れないように「集中しつつ」体験重視のため「リラックスしてほしい」と考えていました。
そのため自分も同じように「集中しつつリラックスする」態度で臨むことが大事です。
――が、緊張した!
どんなに準備しても、意気込んで臨んでも緊張するものは緊張するのです!
ちょっと変なことを口走ってしまったり、準備したにもかかわらず説明をとばしてしまったり。

天の声

そんなとき、本当に有難かった救いの手。
フォローに入って下さったり、自らハンズオンに参加してくれていた先輩方。
変なことを口走れば笑ってくれる、ツッコミをいれてくれる、説明の補助をしてくれる、、、
そんなリラックスした雰囲気が内定者のみんなにもいい影響を与えてくれました。

大きな失敗もなく受講者の全員がロボを無事に完成、きちんと時間内に演習①②共に成功させることが出来たのです。

振り返り

兎にも角にも初めてのハンズオン講師を完遂しました。
後日、フォローで入って下さった先輩方と反省会も行い、下記のような振り返りに至りました。

環境

・UiPathのインストール
 :色々あって手作業で一台一台行ったためちょっと大変でした。
  多方面とのホウレンソウ大事。
・資料
 :今回は資料を印刷して内定者に配りたいと依頼されていました。
  カラー印刷のつもりで作っていましたが、当日白黒印刷だったことが判明。
  ホウレンソウ大事。
・受講者の名簿
 :人事の方が講師用に用意してくださっていたもの。
  特に面識はあるけど名前覚えてない人も多かったので非常に助かりました。
  途中、指名して確認したりコミュニケーションがとれました。
・ホワイトボード
 :口頭では説明が難しいけど資料にも書いてないようなことを説明するのに重宝しました。
  先輩が補足してくださった図に書き加えたり、便利でした!

内容

・スキル感の確認
 :今回いきなりハンズオンに入ってしまったので前置きがあった方がよかったことが反省点。
  例えば「RPA知ってる?聞いたことはある?」や「触ったことがある人」のようにスキル感の確認をしてもいいかもしれません。
  これにより、フォロー側も講師側も気を配らなきゃいけない人がわかります。
・「アクティビティ」は肝
 :すぐに作り始めてしまいましたが、その前に「アクティビティ」の概念をわかってもらうのが大事でした。
  「一つ一つの命令だよ」「これを組み立てていくんだよ」等。
・受講者に合わせたストーリー
 :「RPAはホワイトカラーなどの仕事を効率化できるよ」なんて言っても大学生にはピンときません。
  大学生が普段触れそうな実感のある例え話「申込書って書いたことあるはず、そのあとどうなると思う?」など。
・前後しない作り
 :最後に余分なシーケンスを整理する手順を入れていましたが、これに混乱して大事なアクティビティを消してしまう人がいました。
  「業務ではこのままにしないけどハンズオンはここまででいいかな」などの判断があってもいいかもしれません。
  作業が前後しない作りを心がける必要があります。
・アンケート
 :最後に簡単な感想を聞いてみること。
  RPAどうだったか、楽しかったか、大変だったか等。

おわり

しっかり準備した甲斐もあり有難いことにとても好評価を頂きました。
このあと、自分の所属するグループの勉強会に振り返りを含めてハンズオンを再度展開しました。
内定者ではなく現役バリバリエンジニアの皆様だったので、質問や進み方もまた全く違ったのが面白かったです。

2回のハンズオンを通して感じたのは、勉強を続けた先のハンズオン講師というこの「体験」は私にとっても非常に大切なものになりました。
演劇の知識から入っているのは特殊かもしれませんが、半年かけて身につけた知識を展開する場として最適だと感じました。
インプットし続けた先のアウトプット、大事。
人に伝えるために、今まで得た知識を噛み砕き、改めて成形しなおすと自分にとっても復習になります。さらに自信にも繋がります。
先輩方を見ているとエンジニアにも「ヒアリングする」「伝える」コミュニケーション力が大事なんだなと日々感じます。
技術面の勉強だけでなく、社会人としてのコミュニケーション能力も身につけていきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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