前置き
電子工作素人の私ですが、ドローン(正確にはクアッドコプター)を自作しようと思って色々調べています。
今回はドローンで使うLiPo(リチウムポリマー)バッテリーの充電についてです。
なぜLiPoバッテリーを使うのか
ドローンではほぼ必ずLiPoバッテリーが使われています。
その理由としては以下が挙げられます。
- 高いエネルギー密度と軽量
- 大きな出力(放電能力)
- 安全性
高いエネルギー密度と軽量
空を飛ぶドローンでは機体の軽量化は常につきまとう問題です。
飛行時間を伸ばそうとバッテリー容量を大きくしようとすると重くなり、余計にエネルギーが必要になってしまいます。
比較的エネルギー密度が高く軽量なバッテリーとしてLiPoバッテリーが選ばれるようです。
大きな出力(放電能力)
ドローンは空を飛ぶために複数のモーターを高速回転させるために相応量の電力を消費します。
容量は大きくても単位時間あたりに取り出せる電力が小さいとこの要件を満たせないのですが、LiPoバッテリーは数十アンペアの出力能力があります。
安全性
LiPoバッテリーも扱いによっては発火や爆発の可能性があるのですが、揮発性・引火性のある電解液をもちいたリチウムイオン電池に比べて、ゲル状の電解質を使っているなどにより幾ばくか安全性が高いようです。
補足:Capacity Rateについて
LiPoバッテリーには「C」という単位で放電性能が記されています。
これはCapacity Rateという電池容量に対する放電電流値の相対的な比率を言います。
そのバッテリーを1時間で使い切る放電能力がある場合1Cで、
10分で使いきれる場合は60/10 = 6Cとなります。
LiPoバッテリーは小さいもので20C、大きいものだと100Cぐらいあるようです。
その最大電流量はバッテリーの「電気容量」により、600mAhのバッテリーで70Cの場合、600*70 = 42Aとなります。
バッテリー"容量"とCapacity Rateについて
このCapacityを単純に日本語翻訳すると「容量」となってしまうんですが、「Capacity」と「バッテリーが蓄えられる電気量(mAh, Ah)」とは別物です。ややこしいですね。。。
なお、ドローン関連部品が多く販売されているECサイトのBanggoodではLiPoバッテリーの放電性能の検索フィルタを「Battery Coulomb(クーロン)」としていますが、これは誤りだと思います。
Banggood

Lipoバッテリーの充電
Lipoバッテリーは複数のセルが層状になっているのですが、その層毎の充電状態がずれてしまうと、充電時に一部が過充電になったり、放電時に一部が過放電になったりして、性能劣化や発火などにつながってしまいます。
これを抑えるためにバランス充電という、セルの充電状態のバランスを取りながら充電する必要があります。
Lipoバッテリーの充電デバイス
このバランス充電には専用の充電器が必要です。
このバランス充電のためには専用の充電器が市販されていて、その代表的なものに
SKYRC社のiMAXシリーズがあります。
(中国メーカーっぽいですね。ドローン関連機器やパーツは(も?)欧米系製品を見ることはほとんどなく、圧倒的に中国一強といった感じ。)
Banggoodで購入したiMAX B6ACを使って、Lipoバッテリー(2S、600mAh)を充電しようとしたのですが、最初少しつまづいたので記録しておきます。
ただし、大抵のことはYoutubeのあったので、
同じようにハマった人は、このQiitaを読まず、Youtubeを直接見た方が手っ取り早いと思います。
参考動画:
ドローンバッテリーの充電・放電のやり方
IMAX B6 の 使い方説明(基本編)
偽物??
ネット上を探すと、同じ名称のiMAX充電器でも似たようなものが幾つもあります。物によってコピー品だったりするのかも?ですが詳細分からず。。。
とりあえず私が入手したものは問題なく動作しましたw。
充電の事前準備
バッテリーと充電器を繋げばすぐ充電、とはいかず事前準備が必要です。
付属のコネクタとバッテリーのコネクタが合わない→工作
LiPoバッテリーには電力の取り出し口(XT60)と充電用の口(JSTバランスコネクタ)の2つがあるのですが、バランス充電を行う際充電器とは両方を接続する必要があります。
しかしiMAX B6AC付属のケーブルにはJSTバランスコネクタの口はあるもののバナナプラグの口だけでXT60の口が無く、あとは「バナナプラグとディーンズT変換コネクタ」や「ディーンズTとJSTの変換コネクタ」があるだけです。
そのためバナナプラグ口とXT60を接続できるようにケーブルを用意する必要があります。
私は「ディーンズTとJSTの変換コネクタ」を加工して以下のように用意しました。
ワイヤーカットして半田付けといった作業が必要です。
なお、ホントは接合部に熱収縮チューブで覆うべきだったのですが、忘れて半田付けしてしまったのでビニールテープで覆ってます。
設定値(A:アンペア、V:ボルト)の確認
iMAX B6ACで充電する際にはA:アンペアとV:ボルトを設定する必要があります。
これはバッテリーによって設定すべき値が変わってきます。
Vはバッテリーのセル数で1Sなら3.7V、2Sなら7.4Vですね。
Aは1C(上で書いたCapacity Rate)以下の電流に設定することが推奨されています。
600mAhのバッテリーの場合は600mA以下ですね。
充電手順
- バッテリーと充電器を接続する
- LipoのBALANCEモードを選択する
- A:アンペア、V:ボルトを設定する
- Enter長押しで充電に進みます。
- 確認画面になるのでもういちどEnterを押して実行します
1. バッテリーと充電器を接続する
こんな感じに接続します。
バッテリーが何セルあるかによって差込口が異なります。
2. BALANCEモードを選択する
充電器に電源を入れて「Stop」か「◀」や「▶」を押すとバッテリーの種類などが切り替わります。ここではLiPoバッテリーを扱うので「LiPo BATT」と表示されたところで「Enter」ボタンを押して次に進みます。
すると最初は「CHARGE」と表示されていると思いますが、今回はバランス充電なので「BALANCE」と表示されるまでまた「◀」や「▶」で選択します。
なお、iMAX B6ACには幾つかのモードがあります。
CHARGE:バランス充電ではない単純な充電
BALANCE:バランス充電
FAST CHG:高速充電
STORAGE:バッテリーを使わずに保存する際に適した状態にする
DISCHARGE:放電。おそらくバッテリーを廃棄する時に利用する。
3. A:アンペア、V:ボルトを設定する
事前設定で決定した3. A:アンペア、V:ボルトを設定します。
4. Enter長押しで充電に進みます。
5. 確認画面になるのでもういちどEnterを押して実行します
以上です。
充電中は以下のような画面になり、
- 現在給電している電流値
- 現在の電圧
- モード(バランス充電なのでBAL)
- 充電開始からの時間
- 給電した電力量(おそらくmAh)
が表示されます。
充電中に「▶」を押すとセルごとの充電状態(電圧)も見れます。
充電終了したら音で教えてくれます。
以上!