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SAP認定試験に落ちた話

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はじめに

SAPの導入・保守などの仕事をしている人なら会社から取得するよう指示されることも多いのがSAP社の認定資格(SAP Certification)、俗にSAPコンサル資格とも呼ばれる資格です。
私も前職のSIer在籍中にいくつか取得していましたが、退職してフリーランスになるにあたり、S/4HANAの最新版資格を取得し直そうと思い立って試験を受け始めてみました。
以前のバージョンの資格も持っていて経験のあるSD(C_TS462_2022)とMM(C_TS452_2022)はほぼ過去の知識だけでさほど苦労せず合格できました。同様の感覚で初めて受験するPS(C_TS412_2021)もどうにかなるだろうという気持ちで受験したところ、不覚にも不合格となってしまいました。
その経緯を少し書いてみようと思います。

そもそもSAP認定資格とは

どんな試験か

俗にコンサル試験と呼ばれ、資格保持者が名刺に「SAP認定コンサルタント」という肩書きを書いたりして、知らない人が見たら何だかすごそうに思うのかもしれませんが、基本的には製品知識を問う普通のベンダ試験です。
大昔は資格名が「SAP Certified Application Consultant」だったのですが、現在の資格名は「SAP Certified Application Associate」です。Associateという名前のとおり、基礎知識レベルの資格です。プロジェクトに参画して仕事をする上で必要な最低限の知識がある(とりあえず出てくる言葉とか機能がわかる)というだけです。
それでも、SAP業界はコンサルの下にアドオン設計開発者がいるという階層構造で、資格を取るかそれに類する経験が無いと上の工程に進めないため、各ベンダは資格取得者を頑張って増やそうとしています。
SAPジャパンは パートナー別SAP認定コンサルタント資格取得数・資格者数 を公表しています。

試験対策はどうするか

製品知識を問うベンダ試験なので、試験範囲のテキストを読んで理解する、実機を触って標準機能の動きを理解する、というのが基本的な対策となります。具体的には以下のいずれかの方法になります。

SAP社が開催するトレーニングコースを受講する

やはり王道はこれです。認定資格毎に出題範囲のコースが提示されていますので、受講してから試験に臨むというのが昔からの王道です。
例えばSales(SDモジュール)だと Learning Journeys: SAP S/4HANA - Sales に受講すべきコースと認定資格が載っています。
英語でよければ SAP Learning Hub を購入すればe-ラーニングコンテンツが用意されています。日本語版だとトレーニングテキストは大体揃っていますが、e-ラーニングコンテンツは残念ながら少ないです。

社内研修で有識者から教わる

SAPのビジネスをしているSIerでも必ずしもみんながトレーニングコースを受講しに行く訳ではありません。ある程度社内にノウハウがあれば、過去に受験した人が問題集や教育資料を整備して、それを使って社内で教育をして資格取得ということも多いようです。

SAPのトレーニングテキストや書籍などの資料を使って独学で学習する

社内に有識者が少なく、研修受講もできない場合はこの方法になります。私の場合も前職在籍中に先陣を切ってS/4HANAの試験を受けたときはこの状態でした。
 

最初の受験まで

実際にやった試験対策

過去の案件でPSに関わった際にトレーニングコースのテキストはざっと読んだことがありましたが、改めて試験範囲のS4120・S4121・S4122・S4123を読んで見ました。
基本的にロジ屋なのでネットワークは製造指図との対比で大体分かるけど、会計周りの結果分析・決済とかレポートは理解度がイマイチ、予算の機能は案件では使っていなかったので見たこともない、という状態でした。
もう少し試験対策の準備が必要だと思い、 Google検索 すれば出てくるような怪しげな問題集も1つ買ってみました。中華系のサイトが多く出てきますが、サイト名が違うだけで売っている中身は全く同じというところが多そうな印象を受けました。ベンダ資格の試験問題を幅広く売っているので、何らかの方法で入手した問題を売っているのだと思います。解説付きとはなっていますが、解答自体が明らかに間違っていたり、解説もそれらしい用語のSAPヘルプを引用しただけだったりと質はイマイチでした。問題数XX問とか出ていますが、明らかに同内容の問題文が複数あったりと、有識者が内容を精査しているとは思えないようなものでした。
(推測ですが、あの手のサイトは何らかの方法で試験問題を入手→人海戦術で複数回受験して機械的に解答→解答内容と正答率から正解と思われる解答を分析、という方法で出来上がった情報を販売しているんじゃないかと思います。それでも売れ筋の試験であれば情報収集に労力をかけて精度を上げるようにはしていると思います。実際に問題集の丸暗記だけで合格したとい人もいるので、試験によっては正答率の高い問題集になっていると思います。)
解答と解説は当てにならないとしても、どんな問題が出るのかという傾向や覚えておくべきキーワード集と割り切って使うのであれば一応の利用価値はあります。

いざ受験

問題集の内容についてはイマイチ自信が持てないながらも、なんとかなるだろうという気持ちで受験してみました。
たしかに問題集と同様の問題も多くありました。でも正解に自信が持てないので、自分の知識で問題集の答えがおかしいと思うものは自分の知識で回答を選択、全く分からないものはとりあえず問題集にあった回答を選択しました。解き終えて見直してもイマイチ自信が持てず、どうにかなるかと甘い期待を持ちながら終了ボタンを押しました。
結果はこのとおり。
image.png
スコアレポートはこちら。
image.png

あと何点足りなかったのかと合格点を見ると
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68%…ということは、80問だから、自分のスコアは53問正解(正答率66.25%)、合格点は54問正解(正答率67.5%)であと1問という状況でした。残念…。

リベンジ

試験対策

回答に迷った問題が多くあったので、もう一度受験すれば合格しそうな気もします。とは言え、迷った選択肢のどれを変えれば良いか分からない状態では、正解だったものを次回は不正解の選択に変えてしまって正答率が下がりかねません。どんな問題が出るかは分かった訳ですから、勉強して出直すことにしました。
まずは試験内容の記憶があるうちに問題集を見直して、こんな問題が出ていたとか、見直すべきポイントを再確認します。それからSAPトレーニングテキストを再読して、出題内容に対応する記述を探していきます。なるほどここに書いている内容が出題されていたのかという発見もありましたが、依然として出題されたキーワードや正解が分からないものがいくつもあります。
そこで、昔買った SAP PressのPS本(実際に買ったのはリンク先の本の前版でした)を読み直してみました。S/4HANA以前のERP6.0の本ですが、SAPトレーニングテキストとは違って実際の使い方や画面が多く載っているので、使ったことが無く知らなかった機能も理解しやすいし、不明点もある程度解消しました。
それでも完全では無く分からないところは残りましたが、それ以上に正答率を上げるための情報も無いし、なんと合格点には届くだろうと考え、受験することにしました。

2度目の受験

前回は日本語で受験しましたが、問題集とSAP Pressで英語慣れしたこともあり、今度は英語で受験しました。(日本語は機械翻訳なので、文意が不明なところはあの単語の誤訳だとか考えながら読むことになるので、慣れれば英語の方がお勧めです。長文読解でもない単なる知識問題なので、読むのに多少時間がかかっても時間不足になることはまずあり得ません。)
一旦解き終えて見直しがてら正解しそうな問題数を数えていくと、自信があるものだけで50問はあったので、まあ大丈夫だろうと終了ボタンを押しました。結果はこのとおり。
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スコアレポートはこちら
image.png
ぎりぎりでは無かったようで一安心です。

最後に

会社から取得を促されている人、特に言われてはいないけど資格取得に興味がある人、開発者からステップアップするためにいずれ取得しようと思っている人など、様々な状況の人がいると思います。(私も前職在籍中は自社の資格取得者数を増やすために部内の勉強会をしたり試験対策の情報共有をしたりしていました。)
とりあえず持っていないと仕事の範囲が限定されるという意味では有用な資格です。
社内に精度の高い問題集があれば丸暗記でも合格はできますが、資格を持っていると周りからは「最低限の知識がある人」と見られます。実は丸暗記だけで全然分かっていないとなって恥を書かないよう、テキストを読んだり実機を触ってみたりして、確実な知識を身につけた上で資格取得に進むことをお勧めします。

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