はじめに
※この記事は、「RUNTEQ Advent Calendar 2019」、19日目の記事です。
先日、社内のRailsエンジニアと話していたときに、「AdminLTEなんかもっといい感じに使えたいんだよね」というお悩み相談を受けました。
普段、Webサービス・アプリのUIデザインを仕事としてやっているのですが、管理画面の制作は、エンジニアの誰かが良しなに対応してくれているような状況が多いです。
この記事では、AdminLTEを使用する際に持っていると助かりそうな知識と、ちょっとしたテクニックをまとめてみました。
デザイナーがいないプロジェクトでも、CSSフレームワーク等を用いてせっせと管理画面をつくってくれている、最高のエンジニアの方々のお役に立てたら最高です。
AdminLTEとはなにか
AdminLTEは、Bootstrapベースでつくられた、管理画面作成などに特化したCSSフレームワークです。
これから使うならバージョン3以降がおすすめです。
骨組みはBootstrapで、それにスタイリングを加えて、サンプルも提供してくれているものがAdminLTEと考えてもらえると良いかなと思います。
AdminLTE 3の画面サンプルはこちら。
https://adminlte.io/themes/dev/AdminLTE/index.html
これはv3.0.0の状態でつくられていて、Bootstrapはv4.3.1、FontAwesomeはv5.11.2が内包されています。
コード一式を手元にダウンロードしたい場合は、GitHubリポジトリからも可能です。
https://github.com/ColorlibHQ/AdminLTE/releases/tag/v3.0.0
こんなお悩みありませんか?
いい感じといわれても、ズバッと一言でお答えするのが難しかったので、いったん悩みを集めるところからはじめてみました。
飲み会や休憩中を狙ってヒアリングした中で出てきたものや、コードをのぞいて困ってそうだなあと思った事柄は大体こんな感じでした。
お悩み
- いっぱいサンプルがあるけど、どれを使えばいいかわからない
- とりあえずスマホの表示が崩れない状態になりたい
- フッターが欲しいとか途中で言われてかなしい
- ページのタイトルをどうつければいいかわからない
- サイドメニューがなんかいい感じにならない
- テーブルにめっちゃボタンが並んでてやばい
- 入力項目が多すぎてめっちゃ大変に見える
- たまに要素間の余白がなくなったりする
- 数字がみづらい
- ちょっとだけカスタマイズしたいんだけどどうしよう
個別に答えていくのもできるかもしれませんが、方針やテクニックを知っていれば、解決できそうな予感がします。
あわよくば応用もできるのではと思い、いったんまとめ直してみました。
お答え
- 基本構造を知る
- 便利なclassを使いこなす
- 導線のつくりかたを統一する
- そのページでやれることを絞る
- 項目のグループをつくる
- 上書き用のCSSファイルをつくる
解説
順番にみていきます。
基本構造を知る
AdminLTEの構造
AdminLTEのデフォルトサンプルは、ヘッダー、サイドバー、コンテンツ、フッターで構成されています。
body
.wrapper
nav.main-header
aside.main-sidebar
.content-wrapper
section.content-header
.container-fluid
section.content
.container-fluid # ここらへんにグリッドレイアウトの骨組みが入っていく
aside.control-sidebar # サンプルではカスタマイズ用のサイドバー
footer.main-footer
#sidebar-overlay # スマホサイズでサイドメニュー閉じる用のオーバーレイ
この形を崩さなければ、基本構成はほぼ完成です。
Bootstrapのグリッドレイアウト
コンテンツ部分はBootstrapのグリッドレイアウトで組みます。グリッドは12分割です。
rowとcolの組み合わせでレイアウトをつくっていくのですが、入れ子にすることもできます。
.container-fluid
.row
.col-md-6 # 全体の50%
.row
.col-md-6 # 全体の50%の50%=25%
.row
.col-md-6
.col-md-6
いったん.col-md-xx
だけ使えば大丈夫です。が、横幅によって組み方を変えたい場合はオプションがあったりもします。
- | Extra small | Small | Medium | Large | Extra large |
---|---|---|---|---|---|
Breakpoint | <576px | ≥576px | ≥768px | ≥992px | ≥1200px |
Class | .col-xs-xx | .col-sm-xx | .col-md-xx | .col-lg-xx | .col-xl-xx |
その場合は連結させてく感じになります。
.col-md-6.col-lg-4
使い所としては、カード型UIの一覧部分などで、列を増減させたい場合がわかりやすいかなと思います。
便利なclassを使いこなす
AdminLTE自体にも様々なコンポーネントが用意されています。
ただ、骨組みであるBootstrapには、borderをつけたり余白をつけたりするための便利classが存在して、細かい調整も可能です。
例えば、borderだったら.border-xx
。余白だったら.mt-xx
や.pr-sm-xx
のようなものです。
他には、text-right
なんかもよく使います。
このあたりを組み合わせると、めっちゃよく使うテーブルのレイアウトを、サンプルよりもうちょっと良い感じにできます。
テーブルレイアウト
Bordered Table
実案件でよくみかけるのは、ボーダーつきのテーブルです。
.card
.card-header
.card-title
.card-tools
.card-body
table.table.table-bordered
thead
tbody
.card-footer
ただ、このままだとレスポンシブ対応してません。
そんなときは.card-body
に.table-responsive
をつけるといい感じになるかと思いきや、上部の線がいなくなってしまいます。
.card
.card-header
.card-title
.card-tools
.card-body.table-responsive
table.table.table-bordered
thead
tbody
.card-footer
そんなときは、こうするといい感じです。
.card
.card-header
.card-title
.card-tools
.card-body.table-responsive
table.table.table-bordered.border-top
thead
tbody
.card-footer
良い感じのテーブルができました。
これを鬼のようにコピペすると、管理画面はほぼ完成です。
あとはちょっとしたテクニックですが、数値を表示するときは、小数点以下の桁数を揃えて.text-right
をつけると見やすくなります。
table.table.table-bordered.border-top
thead
tr
th.text-right
tbody
tr
td.text-right
導線のつくりかたを統一する
いったんCRUDどおりにやって悩まないのが良いと思います。
サイドメニューに、ユーザー管理という区分を設けて、一覧・作成を配置します。
コンテンツ部分はサンプル通りに、タイトル、パンくず、コンテンツを並べて、このレイアウトを使い回すつもりでやりましょう。
基本の骨組みを省こうとすると、別の調整が必要になるので、いったんは教科書どおりに使うべきです。
そのページでやれることを絞る
一覧ページじゃなくて、詳細ページにだけあればいいものをトルという方針でやるのが定石です。
一覧ページでは詳細・編集ボタン、詳細ページでは編集・複製・削除ボタンのような区別をします。
IDやタイトル名にリンクを貼ると、詳細ボタンを省略できて、さらにアクション部分がスッキリします。
※あくまでも指針なので、複製・削除をすることがものすごく多いのであれば、一覧ページにも置くべきではあります
もしリンクってことがわからない。。。などと言われたら、style="text-decoration: underline;"
と無理やり書いたり、.text-decoration-underline
というclassを自作したりしましょう。(.text-decoration-none
は存在する)
ボタンが増えすぎてデータ表示領域がなくなるよりはだいぶマシです。
項目のグループをつくる
例えば、ユーザー新規登録ページがあったとします。単純に項目を並べると、こんな感じになります。
入力項目などが多数ある場合は、似たものを近づけてグループ化してあげると、心理的な負担が和らぎます。
そのグループごとに、見出しをつけるといい感じです。ページ自体は長くなってしまうのですが、小さいゴールがあると、ツラさが少し和らぎます。
ページが長くなるのがどうしてもツラい場合は、レイアウトを変えると、多少短くはできます。
もう少し使いやすさも意識するなら、入力エリアは入力量に近い見た目にするといいです。ゴールや負荷が見えたほうが、タスクには取り組みやすくなるためです。
上書き用のcssファイルをつくる
フォントの指定を変えたり、ちょっとした色味の変更、新しいパーツの追加がしたくなるときがあったりします。
そんなときは、大元のcssをいじるのではなく、新規で上書き用のファイルをつくるといいです。
assets内に_override.scss
のようなファイルをつくるのがおすすめです。
bodyに.override
というclassをつけておくと、セレクタの詳細度があがるのて、上書きがしやすくなる利点もあります。
※.override
じゃなくて、.custom
とか.patch
とかでもいいかも。
body.override
...
.container
.override {
.container {
...
}
}
AdminLTEやBootstrapのドキュメントをみて、使いたいコンポーネントがなかなか見つからなかった場合は、最悪自分でHTML&CSSを書いちゃっていいかなとも思います。
その場合、プロジェクトの頭文字などを接頭辞としてつけておくと、class名かぶりを避けやすくなります。(qiitaならqtなど。)
.qt-container {
...
}
まとめ
というわけで、AdminLTEを使うときに知っていると良さそうな事柄をまとめてみました。
- 基本構造を知る
- 便利なclassを使いこなす
- 導線のつくりかたを統一する
- そのページでやれることを絞る
- 項目のグループをつくる
- 上書き用のcssファイルをつくる
「俺たちは雰囲気でAdminLTEを使っている」とは思いますが、ちょっとした知識を武器にして、もう少しだけでも良い雰囲気で使えるようになってもらえたら最高です。
その他
他にも何か質問がきたり、思いついたりしたら、ここに簡易的なお答えを追記していきます。
- ダッシュボードにはとりあえずサイトマップ的なものを置いておくと便利かも
- 不要ならそもそもつくらないのが吉
- layoutファイルにはどこまで記述するか
-
.content-wrapper
までで、その先は個別のviewファイルに分けるのがいいかなあと思います
-
おまけ
なぜAdminLTEを使うかの補足
いろいろ理由は並べられるけど、とにかく秒でつくり切ることが大事です。
サービスやプロダクトは、管理画面自体をつくりこんでも、ユーザーへの提供価値に直接つなげづらいことが多いです。単純に、エンジニアやデザイナーがじっくりと時間をかけてつくる余裕がなかったりもします。
少ない時間でなんとか最低限の使い勝手も担保したいけれど、バックエンド・サーバーサイドのエンジニアは他にもやることがたくさんあって、CSS、JavaScriptの習得まで手が回りづらいという状況もある気がします。
そんなときにBootstrapやAdminLTEのように、パーツの組み合わせだけでつくりきれるフレームワークが重宝されるのだと思います。
ただ、管理担当者が、素早いオペレーションをできることには十分に価値があるので、いい感じに手軽に管理画面をつくりたい俺たちにとって、AdminLTEのようなものは最高のCSSフレームワークです。
レイアウトの指針
レイアウトの4つの基本原則だけでも知っていると、さらに応用がききそうなので、少しだけふれておきます。
原則は、近接、整列、反復、対比の4つです。
①近接→関連があるものは近づける、関連がないものは余白をつける
②整列→端をそろえる
③反復→繰り返す
④対比(コントラスト)→違うものには差をつける
きちんと知りたい方は、ノンデザイナーズデザインブックという書籍を読むと最高です。