こんにちわ。Microsoftの稲冨です。
今日はPower Automateでプロセスマイニングができるようになりましたよというお話をします。
2022年3月、MicrosoftはプロセスマイニングのMinitを買収しました。
以前からPower AutomateのProcess Advisorという機能でプロセスマイニングがPreview機能として提供されていましたが、この度のUpdateで、Process Advisorの中身が旧Minitに変わっています。
※個人的にはものすごくテンションが上がったのですが、Power Platform 2022 リリースサイクル2で全然目立ってなくて、あ、あれ?って感じでした。
【プロセスマイニング業界概況】
旧Minit社はプロセスマイニングの企業でもLeadersの1社に名を連ねています。
プロセスマイニングの世界ではCelonis社が業界を引っ張っており、そこに対して大手ベンダーが買収し、自社の既存製品と組み合わせることで価値を持たせるという状況になっております。
※UiPath社は2019年にProcessGold社を、SAP社は2021年にSignavio社を、IBM社は2021年にmyInvenio社を買収しています
【そもそもプロセスマイニングって何?】
CelonisだーMinitだーと言ってきましたが、そもそもプロセスマイニングとは何でしょうか?
プロセスマイニングの衝撃(編著ラース・ラインケマイヤー)によれば、
「プロセスマイニングは、イベントログに基づいてビジネスプロセスを分析することを可能にするプロセス管理手法である」
と定義されています。
企業におけるイベントログとしては、ERPやCRMの様なシステムで登録される営業案件や販売伝票などに対しての活動が挙げられます。
例として販売伝票を挙げれば、
①顧客からの注文→②価格・数量の変更→③出荷・出庫の登録→④請求→⑤売掛金回収
などが考えられるわけですが、これら①~⑤の活動を実行時間なども加味して、プロセスマイニングでは分析を行います。
ここまでだとまだイメージがわかないと思いますので、Process Advisorの画面を見て見ましょう。
下記サンプルは売掛金について請求から各種終了までのプロセスの画面です。
このような画面で、売掛金に関するプロセスについて、
・どのような活動があるのか
・各活動間でどの程度時間がかかっているのか
・プロセスにはどのようなパターンがあるのか
が分かります。
【プロセスマイニングすると何が嬉しいのか】
プロセスに関するアプローチとして、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)というものがあります。
BPRではプロセスの観点から業務フローや組織構造、情報システムなどを再構築し、業務改革することを目指します。
このBPRはERP導入と非常に親和性が高く、ERPでの標準プロセスをTo Beプロセスとして、そこを目指して導入し、ビジネスを進めていくというのが、定番のERP導入プロセスでした。
しかし、この方法だと、
・To Beプロセスと実際の業務プロセスでどの程度乖離があるのか?
・プロセスのどこにボトルネックがあるのか?
などを拾うことができません。
対して、前段にも記載しましたが、プロセスマイニングでは、今実際に行われているプロセスデータをつまびらかにし、それを分析することが主眼に置かれます。
これによって、
・プロセスで何のステップがボトルネックになっているのかの把握
・逸脱しているプロセスのパターンの把握と、それの業務標準化の推進
を可能にすることができます。
そして、このプロセスマイニングはRPAやローコード・ノーコードツールと非常に相性が良いです。
例えば、Complete the Customer Memo→Approve Invoiceのステップ間で平均15.5時間を要していることが分かりますが、例えばPower AutomateでTeamsに承認フローを飛ばすような施作を打てば、この数字は改善するはずです。
また、その他にもプロセスが遅延している原因には、ERPのプロセスでカバーされていない業務があり、そのためのデータをExcelにてメールでやり取りしているなんてことも考えられるかもしれません。
それであれば、そこをPower Appsでアプリ化して業務改善するということも考えられるでしょう。
さて、いかがだったでしょうか。
本日の記事はプロセスマイニングのそもそもについての記事でしたが、私もまだ環境を触り始めたばかりなので、進捗がありましたら、またこちらで共有できればと思います。
それでは次回の記事でお会いしましょう。
あ、これ本当にPower Automateで動いているの?と言われそうなので、最後に全体の画面キャプチャを貼っておきます。