対象:Unityでプレイアブル広告を出稿したい方、Luna(Unity Playworks) に辿り着いた方
この記事のメッセージ
最短で成果に近づくには 「配信先から逆算」 してください。Lunaは魅力的ですが、無料枠で実際に書き出せるのは Unity Ads と ironSource だけです。Google や Facebook(Meta)に出したいときは、改変で抜け道を探さず、正攻法を選ぶほうが結局速くて安全だと感じ、以下はそれをまとめた内容になります。
プレイアブル広告とは?(おさらい)
スマホゲームのプロモーションでよく見かける、その場でミニゲームを体験できる広告のことです。ユーザーはインストール前に操作感を確かめられるため、静止画や動画よりコンバージョン率が上がりやすい傾向があります。Facebook・Google・TikTokなど大手ネットワークで広く採用されています。
Luna(Unity Playworks)とは
Unityのプロジェクトから各広告ネットワークに対応したプレイアブルをほぼワンクリックで書き出せるツールです。実際、ドキュメント上は主要ネットワークに“機能として”対応しています。ただしここに落とし穴があります。
落とし穴:無料枠の出口は“Unity Ads / ironSource”のみ(2025年時点)
- 無料プランのエクスポート先は Unity Ads と ironSource に限定されます。
- コンソール上でFacebook/Googleへのエクスポートが表示されない事例が複数報告されています(私の環境でも同様)。
- 2023年末時点では「機能としては多ネットワーク対応」の記述や記事がありましたが、2025年には無料枠の出力先がUnity/iSに絞られている運用が確認できます。切替日の公式告知は見つからず、途中で無料枠の制限が強化/明確化されたと解釈できます。
つまり、「対応ネットワーク一覧=無料で出せるネットワーク」ではありません。“仕様の広さ”と“無料での出口”は別物です。
参考リンク(後述の出典集を参照)
有料でGoogle/Metaに出したい?—LunaXやPlayworks Proの現実
今回は Google広告とFacebook広告に書き出したいケースを想定します。結果だけ言うと、料金はそれなりにかかります。
1) LunaXのプラン例(2025年時点の目安)
- Google向けに出すには最低 Pro:$700 / month
- Facebook(Meta)向けに出すには最低 Business:$1,000 / month
メモ:サイトの価格表と実見積もりで条件が変わることがあります。最新の価格ページ/問い合わせの回答で最終確認してください。
2) Unity Playworks(本家)への直接問い合わせ結果(実例)
以下は、私が問い合わせた際に得た回答の要約(英語の原文引用)です
Playworks PRO
Full support (CSM and TSE)
No limitations on networks
No limitations on the product
$12K/month OR $10K/month with a yearly contract
Discounted Playworks PRO
Same features as Playworks PRO
Discount based on the share of voice (SOV%) for mediation clients:
100% of apps on LevelPlay = Free
50% of apps on LevelPlay = 50% off
Minimum of $3K daily revenue
Playworks Lite
No support
No limitations on the product
Limited networks: iS and Unity only
Free
価格や条件は変動するため、最終的には見積書・契約書で明文化しましょう。
やってはいけない:index.html/JSの“改変”で回避
Playworksで出力したファイルをFacebook/Google用に改造して無料枠を回避するのはおすすめしません。規約違反リスクが高いからです。
- UnityのToSでは、追加条項やドキュメントで明示的に許可された範囲を超える利用を禁止しています。
- 特に技術的保護の削除・無効化(17.2(d))、容量・ユーザー数などの制限回避(17.2(i)) が禁止され、
- 違反時はアクセス停止/アカウント終了の対象になり得ます(23.3 ほか)。
短期的に通っても、長期的にはアカウント・ツール喪失という最大のコストに跳ね返ります。
正攻法は3つ(配信先から逆算して選ぶ)
1) 正規契約で出す(最短・ただし費用)
- Playworksの有償プランまたはLunaXの上位プランで、Google/Meta向けのエクスポート権限を確保します。
- テンプレやABテストが整備されており、検証サイクルが速いのが利点です。
2) HTML5で自作する(自由度とランニングコストの最小化)
-
Google Ads(App Campaigns)とMeta(Facebook)にはPlayableの公式仕様があります。
-
代表例:
- Google:ZIP 5MB上限、外部参照は原則禁止(Googleホストの一部ライブラリ除く)、サウンドはユーザー操作後に再生、ExitApi.exit() でCTA遷移 など。
- Meta:単一HTML(2MB) または ZIP(5MB) のどちらか。外部通信なしが前提。CTAはFbPlayableAd.onCTAClick() など。
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メリット:月額費用ほぼゼロ。不要な中間層を排除。
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デメリット:軽量化・QA・審査対応の知見が必要。
3) 代替オーサリング+Unity軽量化(現実解)
- PlayCanvasなどWebネイティブのツールは、2〜5MBの初期ロードに収めやすいです。
- Unity WebGLを使うなら、LZ4圧縮/Strip Engine Code/GLB+Draco/WebPテクスチャ/スプライトシートでリクエスト数と容量を削減し、初期ロード3〜5MBを目安にします。読み込みは操作開始→演出→CTAの順で段階化します。
迷わないための意思決定フロー
- 出稿先(Google / Meta / Unity Ads / ironSource)を先に決める。
- その出稿先がLuna無料枠で書き出せるかをまず確認する。
- 難しければ、正規契約 → 自作 → 代替ツールの順に費用対効果を試算する。
- いずれの選択でも規約順守を前提に進める。
出典・参照(2025年8月確認)
- Unity Playworks – Ad Networks Overview(公式)
- Unity Discussions: PlayworksでFacebook/Googleのエクスポートが見えない件
- LunaX – Pricing(公式)
- Google Ads Help: Fix issues with HTML5 assets for App campaigns
- Meta Business Help: Specifications for Playables Ads
- Unity Terms of Service — 17.2 Use Restrictions(技術的保護の無効化・制限回避など禁止)/23.3 Effect of Termination。
まとめ
配信先から逆算することが、プレイアブル広告で遠回りしない一番のコツです。Lunaの無料枠は Unity Ads / ironSource に限られます。Google や Meta が主戦場なら、契約で権限を得るか、HTML5で素直に自作するか、代替ツールを使うかで進めてください。抜け道探しに時間を使うより、正面突破のほうが結局は安くて速いです。
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