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ガバメントクラウドのコスト課題を業務目線で考えてみた【ガバクラ】

Last updated at Posted at 2023-12-22

■はじめに

こちらはJapan AWS Jr.Championsアドベントカレンダー2023の22日目の記事です!

この記事では、公共案件で絶賛もがき中の私が独断と偏見でガバメントクラウドのコスト課題について考えてみたので、その内容を共有します。

ガバメントクラウドってあまり馴染みがないなという方に読んでいただきたい基礎的な内容になっております!
(テクニカルな要素といよりも、実際に公共機関の現場で感じたより業務的な観点で書いてます)

■そもそもガバメントクラウドって何?

ガバメントクラウドとは、国の行政機関や地方自治体が行政システムをクラウドサービスとして利用できるようにした政府共通のクラウド基盤のことです。

これまで国の行政機関や地方自治体は独自の基準、ルールのもとで、業務システムの調達から開発、運用を実施しています。
このような背景のもと行政手続きの複雑化や運用方法がブラックボックス化する等の課題が発生していました。

ガバメントクラウドの利活用により、各行政機関や地方自治体が扱っている業務システムをクラウド基盤で一括管理することができ、組織間の連携・行政手続きの負担削減・運用の標準化を図っています。

(デジタル庁っていうPayerAccountがあって、その配下に各行政機関・地方自治体のメンバーアカウントが払い出される、民間企業のOrganizationsの設定が大きく広がって国を単位にしたというふわっとしたイメージを最初に持ちました)

各地方自治体への接続方式をどうするか、セキュリティ要件をどうするか、事業者や職員へのリスキリングなどなど課題は山積みです。

image.png
日経BPの記事から引用

※ガバメントクラウドには5つのクラウドサービスが採択されています(今年度初めて国内事業者であるさくらインターネットの「さくらのクラウド」が採択されました)

image.png

ガバメントクラウドのコスト課題

▼移行期間の短さ▼

ガバメントクラウドの移行期間は2023年度から移行を開始して、2025年度に完了させる計画となっています。
(一応、システム移行の難易度が高いシステム等は期限の超過することは容認されるなど緩和条件はあります)

この期間を長いと見るか、短いと見るか。
実際に公共系案件に携わった身からすると、短いと感じます。

一番懸念されることはリソースの逼迫です。
限られた期間の中で、全ての行政機関・自治体がガバメントクラウドへの移行を実施します。
期限である2025年末、そして2026年初めにシステム移行が集中してくると考えると、ITベンダーのリソース逼迫が見込まれると言われています。

懸念されるのは、ITベンダーのリソースだけではありません

自治体の職員のリソースも不足することが容易に想像できます。
自治体の職員は業務システムだけでなく、県民や市民向けのサービスの運用や改善、また現在独自に稼働している業務システムの運用保守、その他の業務に日々追われている現状があります。

このようにリソースが逼迫していると、最適化された状態での構築が難しくなるでしょう。
最適化されていない状態で運用を始めると、ランニング費用がかさんでしまいます。
クラウド移行したのに、現状よりコストがかさんでしまうことが起きかねないのです。

2026年以降にガバメントクラウド最適化に向けた活動が必要になってくるでしょう。

▼コストの正当性が担保できない▼

国の行政機関や各自治体の職員はITの専門家ではありません。

  • クラウドのコストの正当性が分かる職員がいるのかどうか
  • クラウドのコスト最適化に関する知見を持っているITベンダーなのかどうか
  • そもそも契約時の見積の正当性が担保されているか

等々、ガバメントクラウドにかかる費用が妥当な範囲なのか確認することができない場合、
コストの透明性も低下していき、ランニング費用が増大してしまう可能性があるでしょう。

クラウドのコスト構造が分かる職員や専門家の配置、必要に応じたITベンダーのリスキリング等が必要になってくると考えています。

▼ステークホルダーの調整コストや業務負担▼

ガバメントクラウドは国の行政機関や地方自治体のシステムの標準化を目指しているものです。

契約形態(単独利用方式・共同利用方式)によっては調整コストが大幅に増加するでしょう。

形態を簡単に説明すると、以下のようなイメージです。

  • 単独利用方式:自治体が取り仕切る
  • 共同利用方式:ITベンダーが取り仕切る
    (今度のブログのテーマにしようと思います)

単独利用方式

  • 標準化に向けた動きとしてベンダー間調整や最適化に向けた動きを自治体が主導して実施する必要があります。
  • 業務負荷の増加だけでなく、自治体職員のITリテラシー向上が必要となり、間接的なコストが増えるでしょう。

共同利用方式

  • 運用をベンダーに任せるため自治体職員の業務負荷は軽減するでしょう。(デジタル庁も共同利用方式を推奨しています。)
  • ただし、ベンダーに全て任せる形態をとると、再度運用がブラックボックス化しかねません。ベンダーを変更する必要がある場合等、運用引継ぎをどこまで既存の事業者が行ってくれるのか。契約時点でブラックボックス化しないような仕様にする必要があるでしょう。

■最後に

今回はガバメントクラウドにおける課題になるであろうコスト課題を業務よりの目線で考えてみました。

私が紹介した課題以外にも、様々な課題が発生し、ガバメントクラウドへの移行の壁となるでしょう。
ただガバメントクラウドに移行することにコストをかけるだけでなく、クラウドの最適化に知見を持ったコンサル業者を配置する等の対策が必要になるでしょう。

次回は、ガバメントクラウドについてよりテック目線で記載しようと思います。

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