Qiitaっぽい記事じゃないですが、大目に見ていただいて。
はじめに
UXファシリテーター育成ワークショップ講座に参加し、衝撃を受けたので、その一部を共有します。
攻めたタイトルですが、誰かを責めたいわけではありません。
なお、この記事はイベントのごく一部で、次回も開催されるなら、絶対行ったほうがいいです!!
登壇者
森田 雄 氏
東芝EMI、マイクロソフト、ビジネス・アーキテクツなどを経て2010年、株式会社ツルカメを設立し代表取締役社長に就任(現職)。
語り口が軽妙で個人的にはとっても好印象。
ぶっちゃけ感が強く、「UXってデザイナーのものだ」とか「なんか賢いやり方があるはず!」と思ってた部分をぶち壊してくれました。
問題意識
ペルソナを作ったことのある人はそんなに少なくないのかな、と思います。私もその一人。
では、
- 関係者間で納得感のあるペルソナが作れた人は?
- 意思決定のときにペルソナをちゃんと使った人は?
- ペルソナを有効に活用して継続的に施策を打てた人は?
ほとんどいないのでは、と思います。(またしても、私もその一人です。)
そして、(運良く)できた!という人も、「もう一度再現できる?」と問われて自信をもってYesと言えるでしょうか。
サマリ
上記の問題に対して、関係者間合意をきっちりとってPDCAを回すためのペルソナ、プラグマティックペルソナをご紹介します。
ペルソナ
ペルソナとは?
ユーザー像であり、顧客のモデルのこと。
こんなやつ。
出典 : Web担当者Forum
納品型ペルソナ
広告代理店とか、コンサルに依頼すると上のやつが納品される。(これを非難しているわけでは全くないです)
でも、なんか、しっくりこない。。。 ということが起こる。
企画部門やマーケティング部門単体で作った場合にも起こりますよね。
なぜ「しっくり」こないのか
- このストーリー以外のやつもいるのでは?
- これに限定する理由はなんなの?
変にストーリーが作り込まれすぎちゃっていて戸惑う。
ペルソナを作る目的
ペルソナを作る目的を明確にしましょう。
企画や施策、デザインを考える際の合意形成の基盤を作るため!
そう、合意形成さえできればOK!
前提
関係者が各々思い描いているユーザー像(=脳内ペルソナ)があります。
意思決定のときには、この脳内ペルソナと個人の嗜好で判断してるわけです。
これをチームでやると、各人の脳内ペルソナという暗黙知領域が広すぎて話が噛み合わないという現象が発生します。
こうなると、うまく進まない。
プラグマティックペルソナ
プラグマティックとは
実用的という意味。
つまり、あんま長いこと考えないで、使えるペルソナ作っちゃって、先に進んで、また直していけばいいじゃない、ということ。
従来型のペルソナは悪なのか?
そんなことはない。
Webサイト設計のためのペルソナ手法の教科書に詳しく載っているそうです。
ユーザーを知るための手法としても優れていて、本格的な従来型のペルソナを作成できるなら、それに越したことはない。
ただし、期間3ヶ月、総製作費1,000万くらい出せるなら、の話。
実際、そこまでしないのであれば、プラグマティックにやろうよということ。
ペルソナ = 脳内ペルソナの最大公約数
ペルソナは、脳内ペルソナの最大公約数でOK!
なぜなら、企画や施策の意思決定で合意形成するための基盤なので、共通認識がとれていればよい。
むしろ、共通認識こそが大事である! と。
全員の脳内ペルソナを一致させるための手段がプラグマティックペルソナです。
企画中に変にこだわるやつとか、おかしなこという人が出てきたら出番です。
自分たちでつくろう!
ペルソナは
- 判断の根拠になる
- 指標にしてリリース後に差分を検証する
ので、外注しない。自分たちでつくる。
もちろん、作る上で手伝ってもらうとかはありですが、自分たちで十分作れるはずです!
よくある質問
-
ペルソナは何体つくるべきか?
- 好きなだけ作ってよい。
- ただ、結果的には2,3体に落ち着くはず。
- 属性やフェーズなどが大きく異なる場合だけ残していけばよい。
-
ターゲットと同世代や同属性が参加しないといけない?
- チームメンバーになるなら参加したほうがいいし、そうでないならいないほうがいい。
- 外から呼んでくると、結局、脳内ペルソナではなく、呼んできた人がペルソナになったり、その人の脳内ペルソナになる恐れがある。
-
リアリティのあるペルソナにならなかったんだけど・・・大丈夫?
- 大丈夫じゃないと思うなら、それは大丈夫じゃない。作り直しましょう。
- メンバーそれぞれ、ターゲットへの情報をアップデートしてやり直そう。
-
作成したペルソナは変更してもいい?
- 変更する理由があれば、変更していくべき!
つくりかた
流れ
- デモグラを用意して名前をつける。
- エンパシーマップで各人の脳内ペルソナを洗い出す。
- これは違うね、を取り除く。
- 脳内ペルソナ同士の矛盾を取り除く。
- 残った要素の矛盾を整理する。
- 作文する。
1. デモグラを用意して名前をつける。
顧客データの中で一番スタンダードなやつとかでOK。
項目
- 年齢, 性別
- 結婚有無(+年数), 子供有無
- 学籍, 勤務先(年数), 勤務状況・仕事内容
- 家族構成
- 年収, 貯金
- 住居
- 移動手段
- ネットリテラシー
など。
デモグラを微調整したい誘惑
30代と40代で別にしたい・・・、など。
差が出る場合もあるけど、ちょっとデモグラ変更しても、実はそんなに変わらない場合が多いです。
→ あなたは、30代と40代の違いを何個言えて、ペルソナとしてクリティカルな違いっていくつある? ということです。
もちろん、顕著に差が出たら、別にペルソナを設けましょう!!
2. エンパシーマップで各人の脳内ペルソナを洗い出す。
フォーマット
なにやるの?
みんなで、立って、おっきな模造紙に、声を出して、お菓子を食べながら、ペタペタ。
ここは、発散フェーズ! 「いいね!」「たしかに!」 「やりそうww」 が合言葉。
See / Listenが少ない
ユーザーが見えていない証拠なので、1週間くらい、情報収集の時間を設けてみるのもよい。
→ みんなユーザーのこと全然知らないんだね〜、という気づきに変えましょう。
3. これは違うね、を取り除く。
全体の意見として、「これは、私達のユーザーとは違いそうだね」を取り除きましょう。
例えば、今どきの女子高生がユーザーなのに [隔週で日サロに行ってる] とか。
(そんなこと言うやついねぇよ・・・って思ってるかもしんないですが、こういうの出てきますよ。)
ここで、きっちりおかしなやつ除いておかないと、「日サロ特集いいよね!」って施策が出てきたときにNO出せなくなります。(南無)
4. 脳内ペルソナ同士の矛盾を取り除く。
4つの軸において、(1)各軸内で (2)全体で矛盾している項目について議論しよう。
(1)各軸内
例)
Actionの中に [週末はアウトドア派] / [家で本を読むことが多い] なんかが出てきていたら、全体の意見 or 当事者同士の話し合いでどっちか決める。
どっちでもない場合もあるかもしれない。
ここで決めておかないと、(略)。
(2)全体
例)
Actionに [Youtubeでお化粧のテクニックを勉強している] があり、 Thinkに [ネットにある情報は嘘ばっかりだ] [Youtuberが嫌い] みたいなのがあったら、これもチェック。
5. 残った要素の矛盾を整理する。
デモグラと合致しているか。
こいつは、本当にちゃんと生活できるやつか、を考える。
場合によっては、デモグラを直してもOKだが、基本的には要素の整理。
例)
デモグラ : 女子高生
Action : Amazonでワインを購入している
→ え・・・???
6. 作文する。
作文する。(納品型ペルソナの悪い部分はフォーマットではないのだ。)
書式
基本的には自由だが、以下のようなものがよかろう。
- ユーザー種別
- 名前
- 嘆き, ペイン
- 喜び
- デモグラフィック(基本データ)
- コンテキスト
- その人の歴史
- 嘆き, 喜びの源泉
- シナリオ化のしすぎは禁物
- 抱えている問題
- 多少サービス・プロダクトに寄せてOK(合意形成しながら)
わざわざ作文する理由
ワークショップに参加した人(エンパシーマップ作成)にとっては自明なことであっても、外部のチームや新しく入ったメンバーにとってはそうでない場合も多い。
エンパシーマップだけでは、ワークショップ時の言葉になっていない共通認識などまでを汲み取ることはできないため、明文化しておく。
締め : もりぐちさんからもらった最高の言葉
ペルソナが本当にいるかとかどうでもいい。そんなこと言ってないでいいモノ作れよ!