はじめに
先日、freeeのテックカンファレンスであるfreee技術の日に参加してきました!
本記事では印象に残ったセッションをいくつか紹介させていただければと思います。
セッション紹介
freeeのEng採用、全部見せます!Engが無意識の思い込みに向き合い続けた話
背景・課題
アンコンシャス・バイアスは、人々が無意識に持つ偏見や思い込みであり、過去の経験や価値観に基づいて自動的に行動や判断を行うことを指す。
エンジニアの採用においても、このバイアスが現れることがある。
具体的には以下のようなバイアスがある
- ステレオタイプバイアス
「性別」や「年齢」「国籍」「職業」といった属性ごとに特定の特徴があるといった固定観念による判断 - 正常性バイアス
危機的な状況下にあるにもかかわらず、都合の悪い情報やデータを無視or過小評価してしまう - アインシュテルング効果
慣れ親しんだ考え方・視点に固執し、他の考え方や視点を認識しないor無視してしまう - 確証バイアス
自分の仮説や信念、価値観などの正しさを証明する情報ばかりを集め、反証する情報や意見を「無視する」「集めようとしない」
取り組み
上記のアンコンシャス・バイアスを克服するため、
freeeではエンジニアの採用プロセスを見直し、バイアスの影響を減らす取り組みを実施した。
具体的には以下
- 採用に関わるメンバーの目線合わせ
週次で採用での振り返りを実施して、FBサイクルを回す。何を基準に採用したかをオープンに共有。 - 候補者が最初に見る情報を整理
スカウント文面から業務内容がすぐに把握できるように情報整理。JDごとにカジュアル面談資料を作成。 - 外部発信
自分たちはどういう知識なのかの見直し、再定義。整理した組織に基づき、対外発信を意識・強化。 - 全部カジュアル面談スタートに
双方の期待値すり合わせのために、原則カジュアル面談からスタートする。
freee側の期待値と候補者側の期待値をすり合わせできる形にカジュアル面談を再設計。
生成AI活用の現在地の未来
freeeでの活用事例
- ユーザーサポートbot
従来のユーザーサポートbotからGPTベースでの質問回答 - チャットからの申請自動化
チャット上でのコミュニケーションからfreee上の申請を自動起票 - AIクイック解説
P/Lの月次推移をAIが解説 - 契約チェック
契約書のリスクが高い箇所を検出&修正案を提案 - セールスオペレーション改革
商談書き起こしからの引き継ぎメモ自動生成
上記以外にも、ボトムアップで様々なPJが走っている。
技術的にちょっと深掘り
- ユーザーサポートbotの話
サポートの業務は一問一答で終わらない。抽象的な質問に対して逆質問をすることで、回答や対応を決めていく必要がある。
想定シナリオとそれに沿った想定質問などをプリンプトエンジニアリングで仕込みことで、ユーザーに対し、botから聞き返すことが可能に。
また、プロダクトに対する質問は、前提となる知識量がとても多い。
エージェントという概念でプロダクトの知識領域を振り分けつつ、
この質問はどのエージェントが対応すべきかを判断するエージェントも用意することで、広い知識領域にも対応している。
スケールするAI機能開発組織を作るために
AI機能開発をスケールさせるには、AIラボのエンジニアだけでなく、様々なプロダクトのエンジニア、PMが企画したり、実装が可能になる必要がある。
とはいえ、何でもできるわけではないので、まずはfreeeの提供する価値の中で提供できる”型”を社内事例とともに共有。
合わせてAI機能開発プロジェクトの進め方を”型”として社内に共有。
そして、全ての社員が生成AI/LLMを使いこなし、高速に機能開発できる環境が可能になるような基盤を作っている。
freeeのAIビジョン・未来の展望
- 文脈に沿ったユーザごとの業務フロー推薦・補完技術
あなたのこの領収書の申請経路は、など、業務やユーザーの立場に合わせた処理の推薦・補完
freeeのユーザーデータがあるからこそ作れる - コミュニケーションのペインを解決する言語UX創出技術
「xxの場合は追加での提出書類は、、」など、社内外のコミュニケーションを解決
freeeのユーザーに向き合うからこそ作れる - 志向に寄り添った経営インテリジェンス技術
この予実がずれている理由は、、、など、経営インサイトから得られる分析技術
統合型ERPの多角的情報があるからこそ作れる
スモールビジネスを、世界の主役に
freeeのミッション
スモールビジネスを世界の主役に
大企業だと既にITで自動化されているようなバックオフィス作業が、中小企業だと自動化されていない格差がある。
日本のスモールビジネスの割合は世界的に見ても多い。スモールビジネスをテクノロジーの力で救うことがfreeeのミッション。
会計・人事労務・販売管理を核とした統合型経営プラットフォーム
ソリューションとして統合型経営プラットフォームを提供している。
会計ソフトのイメージが強いと思うが、そこから転じてあらゆるバックオフィス、またはフロントオフィスにも踏み込み、
それらが有機的に繋がっていることで、別々のものを使うより、圧倒的に便利で、楽で、経営が上手くいく。
その作り方として拘っているポイント「マジ価値」お客さんに価値があると自分たちが信じられるかどうか。
プロダクト組織ビジョン
- 個々のプロダクトの価値が描けているのはもちろん、
統合型経営プラットフォームの価値を描き、実現に向けて能動的に動ける - 付加的な機能を提供する価値だけではなく、ユーザーが安心して使える品質も併せて提供できる
- 最終的に「マジ価値」を実現するだけではなく、進化の過程でも、その瞬間の最大限の体験を提供する
- プロダクトを通してユーザー価値を実現+ビジネスインパクトを創出できる
- (使いやすいに加えて、)買いやすい、売りやすいを目指す
エンジニアリング組織ビジョン
- 世の中のベストプラクティスを駆使したプロダクトづくりを通じて
日本のスモールビジネスに市場トップレベルの顧客体験を最速で届ける - いい意味で前提を疑い、隙あれば何とかHackして
目標達成をショートカットできないかに情熱と誇りを持つ - プロの課題解決者として、手段を過度に選り好みせず、
深化も探索も使い分けながら目的の達成を目指す
良いプロダクトとは?
プロダクトを作る際には、まずユーザーの本質的な課題を知ることが大切。
その上で、自社独自の強み(技術力、データなど)を活用した解決策でイノベーションをもたらすことで、優れたプロダクトが生まれる。
逆に、誰にでもできることだと、優れたプロダクトや良いイノベーションには繋がらない。
良いプロダクトチームとは?
いいチームとは
- 同じゴールを持っている
- それぞれの強みを生かした役割分担が適切にできている
- その瞬間で適切な人がリーダーシップを取れる
徐々に中堅とかシニアになってくると、ちょっと横に染み出すのは大事。
いきなりは上手くいかないから、まずは1つの役割をしっかりやれるようになるのは当然。
ある程度自立してきた時に、その中で極めるのももちろん大事だが、個人的には、極めるために周辺の領域に触れて見るのもポジティブに働くことが多い。
例えば、エンジニアでも普段PMがどんなことを考えて、どんな苦労があるかを体感してから、
またエンジニアをやると見えるものが違ってくるし、面白いなと思えば、そのままPMをやればいい。
freeeのプロダクトチームにおいては、そういう自由度を持ってキャリア選択して欲しいし、
結果として何かを突き詰めるキャリアを選んだとしても、成長スピードを上げることができるはず。
紹介としては以上です!
各発表のアーカイブも残っているので、もしご興味ある方はぜひ!
まとめ
私は途中から現地参加した形でしたが、ギークな技術の発表ばかりではなく、デザイン、マネジメント、エンジニア採用、特許など、freeeのプロダクトに関わる様々な領域の話を聞くことができました。
また、会場ではオフィスツアーやfreee社員との交流ゾーン、謎解き、塗り絵、射的なども開催しており、学生や家族連れの方もフランクに参加できるような、しっかりお祭り感もあるイベントでした。
来年もぜひ参加したいとお思います。