3
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 5 years have passed since last update.

問い合わせ処理1:射影演算、選択演算、入れ子結合、マージ結合

Last updated at Posted at 2019-06-08

関係演算アルゴリズムとコスト

この記事は大学の期末試験勉強のために作成したものです。間違い等は悪しからず。

関係データベース演算の種類

  • 入力演算
    • 選択(Selection)
    • 射影([Delta] Projection)
    • 集約(Aggregation)
    • 整列(Order-By)
    • 重複除去(Duplication Elimination)
    • グループ化(Group-By)
    • 結合(Join)
    • 準結合(Semi-Join)
    • 集合積(Intersection)
    • 集合差(Difference)
    • 集合和(Union)
    • 直積(Cartesian Product)
    • 商(Division)

演算のコスト見積もり

比較回数(CPUコスト)とディスクI/Oによって見積もる。また以下の議論では、関係代数Rのサイズを以下で定義する。

  • Rのタプル数:$\{R\}$
  • Rのディスクページ数:$|R|$

各選択演算とコストの見積もり

選択演算(Selection)のコスト

SELECT * FROM ~ ;

データベースにIndexがない場合

  • 比較回数:$\{R\}$(Rのタプル数に等しい)
  • ディスクI/O回数:$|R|$(Rのディスクページ分だけI/O)

データベースにIndexがある場合

  • B木ベースのIndexの場合
    • 比較回数、I/O回数共に、$\log_F\{R\}+1$
  • ハッシュIndexの場合
    • 比較回数、I/O回数共に、定数回($O(1)$)

射影演算(Projection)のコスト

SELECT [DISTINCT] query1, query2 FROM ~ ;

今、重複除去(Delta)を行わないとする。
Indexの効果は無いので、全スキャンを行う。すなわち

  • タプルアクセス:$\{R\}$(Rのタプル数に等しい)
  • ディスクI/O回数:$|R|$(Rのディスクページ分だけI/O)

集約演算(Aggregation)

SELECT COUNT( * ) FROM ~ ;

他にもSUM()AVE()など。
Indexの効果は無いので、全スキャンを行う。すなわち

  • 比較回数:$\{R\}$(Rのタプル数に等しい)
  • ディスクI/O回数:$|R|$(Rのディスクページ分だけI/O)

整列演算(Order-By)

データがCPUメモリ上に乗る場合は、一般のソートアルゴリズムを用いる。

<参考>
https://postd.cc/how-does-a-rdb-work-1/#Merge_Sort

データがCPUメモリ上に乗らない場合は、外部ソートを用いる。このとき、ディスクアクセスを前提とするとクイックソートは適さない。なぜならば、最初に論理キーで分割するため、サイズが一定でないからである。そこでマージソート、特に2-wayマージソートを用いる。(2-wayマージした各段をディスクに格納)

重複除去(Duplication Elimination)のコスト

ソートを利用した場合

  • 比較の回数:$\{R\}(\log \{R\} + 1)$

    • ソート(マージソート)をする:$\{R\} \log \{R\}$
    • (成立したデータに対し)比較:$\{R\}$
  • ディスクI/O:$|R|(2\log |R| + 1)$

    • 各段での読み出し:$2|R| \log |R|$
    • 結果の格納:$|R|$

ハッシュを利用した場合

同じハッシュバケット(ハッシュテーブルにおける各スロットのこと。衝突が起きやすいハッシュテーブルでは各スロットが単一レコードでなくレコードの集合に対応していることが多いためこう呼ばれる)の中で同じ値を除去すればよい。

  • 比較回数:$\{R\}$
  • ディスクI/O:$|R|$

グループ化演算(Group-by)のコスト

SELECT query1, Sum(query2)
FROM "foo"
GROUP BY "bar

入れ子ループ(ネステッド・ループ)を用いる場合

query1を固定してグループに対応する全てのものを探索するので、組み合わせ演算と等価。( $ {}_R \mathrm{C} _2$ )

  • 比較回数:$ \frac{ \{R\} (\{R\} - 1)}{2} $

    • ( $ {}_R \mathrm{C} _2$ )
  • ディスクI/O:$\frac {|R|(|R|+1) }{2} $

    • 最後にディスクに結果を書き込む。

ソートを用いる場合

重複除去のソートの場合と同じ。

  • 比較の回数:$\{R\}(\log \{R\} + 1)$

    • ソート(マージソート)をする:$\{R\} \log \{R\}$
    • (成立したデータに対し)比較:$\{R\}$
  • ディスクI/O:$|R|(2\log |R| + 1)$

    • 各段での読み出し:$2|R| \log |R|$
    • 結果の格納:$|R|$

ハッシュを用いる場合

  • 比較回数:$\{R\}$
  • ディスクI/O:$|R|$

結合演算(Join)のコスト

SELECT * 
FROM DB1, DB2
WHERE DB1.hoge = DB2.huga;

入れ子ループの場合

  • 比較回数:$\{R\} \times \{S\}$
  • ディスクI/O:$|R| \times |S|$

ソートマージ結合を用いる場合

2つのデータベースをそれぞれソートし、この2つをマージする。

  • 比較回数:$\{R\}(\log \{R\} + 1) \times \{S\}(\log \{S\} + 1)$

  • ディスクI/O:$|R|(2\log |R| + 1) + |S|(2\log |S| + 1)$

ハッシュ結合を用いる場合

等結合(=)のみ可能で、両方の関係のタプルに同じハッシュ関数を適用することで実現。

RとSの全タプルが計算メモリに乗る場合...
  1. レコード数の少ない表(図3ではDEPARTMENT表)の結合条件列(DEPARTMENT_ID列)をハッシュ関数にかけ、メモリ上にハッシュ・テーブルを作成する。 -> BUILD
  1. もう一方の表(図3ではEMPLOYEE表)の結合条件列(DEPARTMENT_ID列)をハッシュ関数にかけ、結合できるかをハッシュ・テーブルで確認する。 -> PROBE
  2. ハッシュ値が等しいレコードを結合して結果を返す。

ハッシュテーブルのバケット数を$n$として、

  • ハッシュ関数の適用の回数:$\{R\} + \{S\}$
  • 比較の回数:$\{R\}/n \times \{S\}/n \times n$
RとSの全タプルが計算メモリに乗らない場合...
  • 単純ハッシュ結合
  • GRACEハッシュ結合
  • ハイブリッド結合

ハッシュテーブルに使えるメモリ量を$|M|$、タプルサイズについて$|R| > |S|$、また属性値は均等に分散していると仮定する。

単純ハッシュ結合とそのコスト

ハッシュテーブルに入りきらない部分をディスクに格納し、これをオーバーフロー分がなくなるまで繰り返す。この時の繰り返しの回数$L$は平均で$L = |R|/|M|$

比較回数

この時の計算コストは、ハッシュ適用回数と比較回数にて決まる。

ハッシュ適用1回目
  • ハッシュ適用回数:$\{R\} + \{S\}$
  • 比較回数:$\{S\}/L$
ハッシュ適用i回目
  • ハッシュ適用回数:$\{R\} - (i-1)\times \{R\}/L + \{S\} - (i-1)\times \{S\}/L$
  • 比較回数:$\{S\}/L$
全体として

上式の$i = 1, ... , L$の和を取ればよいので、

  • ハッシュ適用回数:$(|R|+|M|) \times (\{R\} + \{S\}) / (2|M|) $
  • 比較回数:$\{S\}$

ディスクI/O

1回目
  • 読み出し:$(|R|+|S|)$回
  • 書き込み:$(|R|-|M| + |S| - |S|/L)回
2回目以降i回目
  • 読み出し:$((|R|+|S|) - (i-1) \times (|R|+|S|)/L$回
  • 書き込み:$((|R|+|S|) - i \times (|R| + |S|)/L$回
全体として

上式の$i = 1, ... , L$の和を取ればよいので、$|R|(|R|+|S|)/|M|$

参考

https://postd.cc/how-does-a-rdb-work-1/#Merge_Sort
https://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/0408/25/news101.html

3
2
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
3
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?