2022年12月、師走の忙しい時期ではありますが、日商簿記3級のCBT試験を受験し、初回で合格しました。
この記事では、ITエンジニア(特に社内SE)が日商簿記を取得するメリット・および3級の勉強法について記述しています。
また、筆者はCBT試験(テストセンターで受験するもの)を受験しております。従来の年3回実施の紙での試験については、割愛します。
バックグラウンド
- アラサー社内SE
- メイン業務はRailsやJavaScriptを使ってWebアプリケーションを書くことと、社内ネットワーク整備やクラウドサービス(AWS, Azure, MS365などなど…)のお守り
- 某国立大文学部卒(センター8割くらい)、教育系修士修了
- 日商簿記は社会人なりたての2018年、2019年にそれぞれ2級を受けて撃沈。
メリット
- ITエンジニアの資格といえば、ベンダ系だったりIPAの基本情報・応用情報・高度試験だったり、あるいはTOEICのような英語の資格試験が思い浮かびます。その中でも、日商簿記はあまり受験するITエンジニアがいない印象があります。社内SEという文脈で考える日商簿記は3級でもおすすめです。
- おすすめの理由としては、企業の経済活動におけるお金の動きのイメージが掴めるというものがあります。PLやBSを抵抗なく読めるというのは、おそらく会社員だったら大きな恩恵を得ることができます。自分の会社のお財布事情がどんな感じなのか、というのが分かるようになります。簿記を学ぶと、「簿記も知らないで会社員になろうだなんて、なんて怖いことを…」と思うようになるかもしれません。
- さらには、プライベートでも投資(最近新NISAの概要が公開されましたね)を行う際に、日商簿記の知識があると、投資判断に役立ちます。
- また、これは万人にはお勧めしませんが、筆者は就職1年目から自分の家計のバランスシートを家計簿とは別に四半期ごとにつけており、家計の正確な把握に役立っています。
- 社内SE、特になんでもやらされる中小企業の社内SEですと、総務・経理と社内SEの領域が被ってくることが多いです。また、固定資産管理をしている方ですと、減価償却の概念(固定資産累計額はいくらで、償却期間はいくらで、だから残価はいくらで…)みたいなことがスッと分かりやすくなります。これだけでも日商簿記を学ぶメリットであると言えます。
勉強法
- 勉強開始は受験日のちょうど30日前、勉強時間は合計で30時間程度だと思います。1日多くても2時間、全く勉強しない日もちらほらありました(が、おすすめしません)。
- 勉強時間は何時間以上が良いというのはなく、人によってはもっと短くても受かると思います。まったくの初学者は30時間だときついかもしれません。
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テキストを読む
『スッキリわかる 日商簿記3級 第13版 テキスト&問題集』を購入し、2回通読しました。
大体の書店では、これ以外にもパブロフくんとか大原とかCPAとかいろいろな参考書があると思いますが、どれを選んでも大差ないです。ただし、CBT試験を受験する際、従来の試験と大幅に形式が変わっているので、ブックオフなどの古本屋で中古品を買い求めるのは危険です。ここだけがテキスト選びの注意ポイントです。
テキストは2回も通読すれば十分です。巻末の問題は、ほとんどやらなくてOKです。 -
仕訳の練習
断言しますが日商簿記3級は仕訳ゲームです。仕訳が十分にできれば、合格点は余裕でクリアできます。
逆に書くと仕訳ができないと手も足も出ません。
おすすめはスマホアプリの仕訳が勉強できる無料アプリです。具体的なアプリ名を上げることは避けます。テキストを読みながら、ちまちまスキマ時間や通勤時間にすすめましょう。テキストの巻末問題をやらなくて良い理由の一つはここにあります。 -
問題をひたすら解きまくって復習
『スッキリうかる 日商簿記3級 本試験予想問題集 2022年度版』を進めます。これをひたすら前日まで回します。
最初は100点中30点とか40点とかしか取れなくてビビりますが、私もそんなものでした。
復習が非常に大事で、具体的にはもう一度仕訳を書き直してみる、第3問なら答えを書き写すだけではなく、もう一枚解答用紙を用意して実際に書き入れて、締め切りまで行う、といったところです。
そのため、巻末についている冊子に直接書き込むのではなく、PDFをダウンロードしてA4のコピー用紙に印刷して、そちらに書き込んでください。
テキストの巻末問題をやらなくて良いもう一つの理由はここにあります。つまり、テキストの問題を解く暇があったら、早く問題集に移って実際の問題に慣れてください、ということです。
これを何回か繰り返していくと、気がつくと合格点に達するようになっています。なかなか点数が伸びない場合は仕訳力が圧倒的に不足していますから、「仕訳の練習」で間違えたところを繰り返してください。
問題集もパブロフくんとか大原とかCPAとか色々なものがありますが、ネット試験・ネット模試が付録でついているものを選んでください。
というのも、紙での試験とCBT試験は書き方がだいぶ違います。CBT試験はテンキーの「0」を連打する必要があり、ぶっつけ本番で挑むには少々リスキーです。せっかく無料で付録としてついているのですから、1回くらいはやってみたほうが良いと思います。もっとも、ITエンジニアならキーボードやマウス操作で苦戦する、ということは無いでしょうけど…。
また、ネット試験・ネット模試をやる際には、A4のコピー用紙2枚とボールペン2本を使って問題を解いていくと良いでしょう。これと電卓だけがCBT試験では使える道具です。本番と条件を揃えることは大きなメリットがあります。
当日
- 当日は受験票に書かれた受験時刻の30分前には会場入りしてください。試験の日に限って忘れ物をしたり公共交通機関が止まったりお腹が急に痛くなったりするものです。
- 受験時刻の30分前から受験ができます。
- 持ち込める電卓だと「00」のキーがあるので、たとえば7,000,000円(700万円)を計算したいときに「7」「00」×3回で4回の打鍵で済みますが、テンキーだと「0」しか無いので7回テンキーを叩く必要があります。桁数を間違えないように注意!
- 制限時間は60分で、もういいと思ったら受験終了です。その場で結果が返ってきます。
結果
- 82/100点で合格でした。第1問と第3問のみで合格点に達していました。(第2問がびっくりするくらいできませんでした)
- 後半に会社の繁忙期とイベントラッシュにぶち当たってしまい、何日も全く勉強ができない日ができてしまいました。繁忙期に試験を受けるのはおすすめしません。
今後の予定
- 日商簿記2級もCBTで受験しようと思います。年3回開催される紙での会場試験はしばらく難化の傾向が続きそうです。PCの使い方に習熟しているITエンジニアはCBT試験が導入されて結構有利になったと思います。