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【見積依頼のさばき方】Webサイト制作会社から依頼される機能開発の「予算感」がかなり違っていたので、丁寧に説明してみた

Last updated at Posted at 2019-12-21

背景

あるクライアントが「宿泊予約管理システム」を求めていて、その要件が弊社のパッケージとかなり適合します。クライアントは弊社のことは知らず、クライアントと取引のあったWebサイト制作会社さん(以降T社)が弊社を探してくれました。(Google検索の10ページ目くらいから見つけてくれたそうです。感謝!)

このような経緯があったため、契約は以下のようになっています。

クライアントT社弊社

※T社と弊社は請負契約

各社の業務知識等は以下のようになっています。

# クライアント T社 弊社
業務知識 △(じゃらん等の利用者目線のみ)
情報システムの知見 × ×
Webデザインの知見 × △(コーディングは可)

問題点

このプロジェクトのメインは、弊社パッケージの導入・カスタマイズです。ただT社さんは立場上、クライアントに「しっかりやってます」とアピールする必要があります。
とはいえシステムには手を加えることはできません。すると、できることはフロント画面のデザインや機能改修の提案が主となります。
色々と考えてくれるのは嬉しいし、なかには「おっしゃるとおり」というものもあるのですが残念ながらどれも着手できそうもありません。

理由は予算感です。

ちょっと話がずれますが、
情報システムでは「こうできたらいいな」という要望やアイデアは尽きることがありません。そして見積もりは高度なスキルと時間を要する作業です。
無数に発生するアイデアや要望を真面目に見積もりしているとどれだけ時間があってもたりません。

そこで「見積り依頼」に秩序を持たせるために依頼用フォームを用意して、様々な情報の入力を必須としています。「予算感」もその対象(必須選択)です。

Image from Gyazo

本題に戻ると、そこで入力される予算感が、一桁とはいきませんが、5倍は違うので、当然着手できない。というのが問題となります。(弊社パッケージの価値を高める提案なら、予算問わず実装を検討しますが、業務に精通したクライアントから学ぶことはありますが、T社さんは業務にもシステムにもうといので、いまのところ「それはいい!」という提案はありません。)

このままだと、T社さんも弊社もお互いに時間の無駄です。特にT社さんは見積もり依頼フォームを埋めるために、(システムに落とし込むには不十分とはいえ)それなりに詳細を検討して時間を要しているので、おそらく相当ストレスになっていると思います。

(なお、T社さんがクライアントと弊社の間にはいりたがって、コミュニケーションの質・速度の低下、手間の増加という問題もあるのですが、それは別の機会に。)

対策

「かなり予算感に乖離があります。」ということをT社様に率直にお伝えしました。

あまり、こういったケース(=プロジェクトの主役は業務に精通したシステム会社だが、ディレクションは業務・システムに知見のないWeb制作会社)は多くないと思いますが、おそらく同じ問題を抱えると思うので参考にして頂ければと思います。


見積もり依頼をいくつかいただきましたが「予算(感)」に大きな感覚の違いがあるという印象を受けました。

現状のままだとお互いに時間の無駄(依頼を受けてもすべて対応不可)なので、こちらの感覚を共有しておきます。

たぶん、御社がイメージできているのは「フロント画面への正常系の表示に要する工数 + ちょっと」程度かな?という印象です。

情報システムは目に見える部分より目に見えない部分のほうが遥かに多いです。(コード量でいうと、管理サイトはフロントの3倍)
また、正常系より異常系(の検討・設計・実装・試験)に多くの時間が費やされます。(80%は異常系に費やされるという主張もあります)
また、実装だけでなく、以下のようにその前後に付帯する作業があります。

# 工程 備考
1 見積もり 要件確認のQ&A、実現方法の検討、見積の提示(前提条件や支払い方法などこまごま)
2 設計 データベース、管理画面、フロント画面。通常?バッチ要否?サーバレスがよい?異常系の考慮
3 実装・試験 フロントと管理の両方
4 デプロイ・動作試験 Web環境にリリースして試験する。
5 マニュアル更新
6 プロジェクト管理 進捗・完了等の報告、細部のQ&A、相談

一万円でできる対応について

対応内容や支給されるもの、成果物によっても変わってきますが「1万円」でおさまる対応というのは、
管理サイトの改修やデータベースへの影響はなしで、フロント側もアルゴリズムの変更はなく、レイアウトをちょっと変更する程度とお考えください。

管理サイトのメンテナンス画面の追加が必要になるようなケースでは最低でも★万円は必要です。

その他の考慮事項(見積もり金額の増減に影響するもの)

またINPUT/OUTPUTによっても異なってきます。こちらは「見積もり依頼フォーム」に追加しておきます。

・Input/支給されるもの・・・デザインやHTMLタグ・CSSは? ※フロントはレスポンシブ
・Output/期待される成果物・・・ソースコードだけでいいのか?設計書も必要なのか?マニュアルは?

補足/「見積もり」依頼の考え方と見積り依頼フォームの役割

情報システムでは「こうできたらいいな」という要望やアイデアは尽きることがありません。
また、見積もり作業というのは、高度なスキルと時間を要する作業です。
思いつきレベルのアイデアや要望に対して「真面目に見積もり」しているとどれだけ時間があってもたりません。
当初から申し上げていますが、このあたり(仕様変更管理)がうまくコントロールできないとプロジェクトの失敗に直結します。

「見積もり依頼フォーム」は、見積もり依頼に秩序を持たせると同時にシステム側の見積もり依頼対応負担を軽減する目的で導入しています。
実際、予算感に大きな乖離があるご提案は「無理です」と即答できるので、大幅に時間を節約できています。
また、ご依頼に対して曖昧さをご指摘しましたが、こういった詰めの甘さなくすことで追加のQ&Aや手戻り工数を減らすことができますので、依頼時により深く検討していただけると良い(改修コスト削減)かと思います。

最後に、繰り返しになりますが、請負契約ではその改修の採否にかかわらず見積もりに要した工数は請求対象となりますのでご了承ください。

引き続きご協力をお願いいたします。

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