ゲームプログラマになると,サーバーサイドやブラウザのみのゲーム,iOSのみが対象,
ということが無ければ,Visual Studioを使うと思います.
そして,研修などでプロジェクトの立ち上げから経験する機会や
プロジェクトの設定を変更する機会もあるかと思います.
そこで,プロジェクト立ち上げ時などに気にしておいた方が良いポイントをまとめてみました.
なお,ここではVisual Studio 2012以降を想定しています.
ライセンス
最近のVisual Studioには,Community,Pro,Enterpriseの3つのライセンスがあります.
個人や教育で使う分にはCommunityで十分なのですが,多くの企業ではライセンスの関係上,利用できません.
これは下請けであってもダメなのです.
(Visual StudioとMSDNのライセンスホワイトペーパー参照)
最近はUnityなどのゲームエンジンと同時にCommunityエディションのVisual Studioが入ってしまう場合が
ありますが,会社として使っていけない場合,上司と相談の上,速やかに削除するようにしましょう.
Visual Studio以外のソフトウェアやオープンソースを利用する場合にも,
プログラマはライセンスを意識しておく必要があります.
2018/1/03 追記
無償で商用利用可能なExpressも残っているようですが,拡張機能が使えないので,
家庭用ゲーム機向けの開発などでは使えない場合もあるでしょう.
また,なるべくダウンロードできないようにしていたり,それでもExpressを使いますか,
と聞いてくるようにMicrosoftとしても使って欲しくない感じがあります.
CommunityまたはProに移行するなどを検討しておいた方が良いでしょう.
バージョン管理に含めるファイル,含めないファイル
仕事として開発をする場合,複数人で開発することがほとんどでしょう.
その場合,バージョン管理は必須になります.
Visual Studioで開発をする場合,自動生成されるファイルのうち,
バージョン管理に含めないといけないファイルと,
含めるとコンフリクトが多発して困ってしまうファイルがあります.
通常は,開発に参加した時点で無視リストに入ったりしていると思いますが,
研修などで立ち上げから体験する場合,自分で無視リストを構築する必要があるので,
どのファイルはバージョン管理に含めた方が良くて,
どのファイルは含めない方が良いのか知っておいた方が良いです.
Visual Studioには,*.vcxprojというファイルがあります.
これは,プロジェクトのプロパティで設定できる項目をまとめたXMLファイルで,
バージョン管理に含める必要があります.
ユーザ別のプロジェクト設定は,*.vcxproj.userというファイルにまとめられています.
このファイルは,バージョン管理に含めるとコンフリクトを起こす可能性があるので,
含めてしまわないよう無視リストにいれておくなど注意しましょう.
ソリューションエクスプローラに表示されるツリー構造は,*.vcxproj.filterという
ファイルにまとめられています.このファイルは,当然バージョン管理に含める必要があります.
Visual Studioのプロジェクトは,ソリューションという形でまとめられて管理されています.
ソリューションは,プロジェクトが1つしかなくても存在します.このソリューションについての情報は,
*.slnというファイルにまとめられています.このファイルは,バージョン管理に含める必要があります.
ソリューションに関するファイルがもう一つあり,*.suoというものです.
これは,ユーザ別の設定をまとめたものなので,バージョン管理には含めません.
他には,インテリセンスなどに利用される*.sdfはバージョン管理に含めない方が良いでしょう.
たまに壊れたりすることもあるので,インテリセンスがおかしいな,と思ったら削除するのも手です.
また,プリコンパイル済みヘッダを利用している場合,ipchというフォルダに保存されますが,
こちらも手元のちょっとした変更などが反映されてしまうかもしれないので,
バージョン管理に含めないほうが良いでしょう.
まとめると,以下のようになります.
- バージョン管理に含めるファイル
- *.sln
- *.vcxproj
- *.vcxproj.filter
- バージョン管理に含めないファイル
- *.suo
- *.vcxproj.user
- *.sdf
- ipch
その他ちょっとしたTips
メニューからツール(T)を選び,カスタマイズを選択すると,ツールバーやメニューバーを編集できます.
コマンドタブでツールバーから標準を選択し,ソリューション構成などを選び,
選択したボタンの編集を押すと,幅などが変更できます.
通常のDebugやReleaseのみなら問題ないのですが,
例えば,東京ゲームショー向けの設定でビルドをする場合や,体験版の設定でビルドする場合など,
独自のソリューション構成やプラットフォームが用意されている場合,
ここの幅を大きくしておかないと入りきらないことがあるので,
設定間違いを防ぐためにも大きめに設定しておくと良いです.