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習熟度に合わせた事前情報の提供とユーザエクスペリエンス

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なんだか固いタイトルになってしまいました。でも大したことは述べていません。
ここ数年ユーザエクスペリエンスにあまり関われていませんが、最近ちょっと感じたことを書いてみます。

航空機に搭乗するとき

個人的な理由で月一回は航空機を利用します。いつも同じ路線で同じ航空会社を使っているので慣れると搭乗までのステップが予めわかっているのでスムーズに登場できますが、初めての方にはステップがわからないと不安だろうなと思います。連休などにぶつかると旅行客が増えるので慣れていない方を多く見かけますが、慣れてないだけに手際がよくないため時間がかかって混雑します。セキュリティチェックなどは並んでいる間に準備しておけばさっと済ませられるものの、事前に説明もしてませんので(実際はいろいろと掲示してありますが気が付くのは直前だったりします)手際が悪いのも仕方ないです。
列に並んでいる間にビデオで説明するなどの方法がありそうですが、やっているのを見たことはありません。
セキュリティチェックといえば、最近は上着やブーツなどの厚底靴もチェックされますが、事前にわかっていたら面倒なので私はブーツを履いていきません。でもチケット購入時にそんな情報は教えてくれません。教えてくれればいいのに。(実はどこかに書いてあるけれども気が付いていないだけかもしれません)
また航空会社によってもチェック時のやり方は異なるようです。これはチェック用の装置の違いもあるのでしょう。

事前情報の提供

このように事前情報があるとスムーズにできることは様々なシーンでありえるのですが、ただ残念ながらこれらの情報を例えばウェブのチケット予約完了画面に記載していてもほとんど読んでもらえません。これはチケット購入時の目的「チケットを購入する」に対して目的外の情報なので目に入ってこないことが原因と考えられます。つまり搭乗手続きをスムーズに済ませたいと思ったタイミングで情報を提供しないと効果がない(読んでくれない)ということが起こります。また、その方の慣れ度合いに合わせた情報でないと「知ってるよ」と思われたら途端に無視されるでしょう。
したがって、情報提供のタイミングと習熟度に合わせた内容を的確に提供しないとあまり効果は期待できません。なかなか難易度が高い課題です。

ひとつの解決策としては、インタラクティブに対話しながら情報提供を行う方法が考えられます。
置かれている状況の把握も必要ですが、航空機搭乗前にセキュリティチェックで並んでいることがわかったとしましょう。そのタイミングで「この後のセキュリティチェックをスムーズに済ませるために必要な準備を教えましょうか?」と聞き、YESだったら情報を提供する。これだったらタイミングと内容を合わせることができそうです。
このやりとりをスマートフォンで実現しようとすると、何かしらの方法で状況を把握し、質問を投げかけるといった能動的なアクションを取れるようにしておく必要があります。問題はスマートフォンの画面を常時見ていないので、プッシュ通知などで画面を見てもらうためのトリガが必要なことです。
このあたりの課題は突き詰めて考えてみるともっと良い方法があるかもしれません。最近はスマートウォッチといったようなデバイスもありますので。

セルフレジ

最近コンビニやスーパーでセルフレジを見かけることも増えてきました。ローソンのようなバーコードでの商品情報の読み取りから支払いまですべてをセルフにしているものとセブンイレブンのように商品の読み取りは店員が行い、お金の支払いだけをセルフでやるハイブリット型など様々です。
お店によってバラエティに富んでいるので、いざセルフレジを使おうと前に立ってから戸惑うことも多いです。

私が戸惑ったケースをいくつか挙げてみます。

現金決済ができない

決済方法が限定的で現金がダメだと、対応した決済手段を持っていない場合に利用不可となります。
事前にどの決済方法を使うのかの決断をしたうえで準備をしていないと途中まで進んだのに購入ができないなどのひどい体験につながります。特に混雑しているような状況で早く済ませたいからセルフレジを使ったのに並んでいる人のプレッシャーにさらされながらマゴマゴしてしまい、結局購入できなくて有人レジに並びなおす羽目になったりしたら二度と使いたくなくなるでしょう。

ポイントが貯まる

決済までの過程でポイントを貯めるためにポイントカードの提示を求められることがありますが、事前にそのつもりでいないとポイントカードを探したり、アプリを起動したりすると傍目にまごついているように見えますので後ろからのプレッシャーがある場合はそうそうにポイントを貯めることをあきらめてしまいます。事前にわかっていたら準備しておくのに。

お酒など年齢確認が必要な商品が購入できない

商品によってはセルフレジでの購入ができない場合もあります。これも事前にわかっていればよいのですが、セルフレジの前に立って気づくと最悪です。だいたい注意書きが周りに書かれていたりしますので引っかかる人が多いのだと思われます。

これらの良くない体験を引き起こす原因のひとつは事前の情報不足もありますが、その前にそもそもセルフレジの体験を有人レジと同等もしくはそれ以上にすることを目的として設計しておらず、別の要因でこれらの仕様が決まっていることだと考えられます。
現金の取り扱いは大変ですからできないようにしよう、年齢確認が必要な商品は人間がチェックしなければいけないから購入できないようにしようといったようなセルフレジの利用者を先に限定してしまうといったアプローチのことです。これでは人間中心に設計をしているとは言えません。利用者を限定しているとするとセルフレジに対象者以外は到達できないようなフィルタが事前に必要でしょう。それはそれで大げさですが悪い体験を取り除くことはできます。

こういった利用者にとっての不都合な点は後から気づくものですから、お店も一生懸命情報補完に取り組んでいるようです。情報過多になってしまってますが。

セルフレジ画像
これらの課題を解決してよいユーザ体験にするのがUXデザインの醍醐味ですが、セルフレジは出てきたばかりの端末機器でもあるので今後の改善を期待したいと思います。

ATM

セルフレジもそうですが、こういった機器をいろんな用途にも使えるようにすると利用者の難易度も上がります。例えばセブン銀行のATMはATMとしてのわかりやすさを追求していて好感が持てるのですが、だんだんとできることが増えてきてUIが複雑になってきているように思います。
ATM利用時にはまずカードを入れるというのは銀行の取引をしたいという意思表示でもあるのでボタンを押してもらうよりもわかりやすいのですが、最初の画面の情報が多いと少し戸惑いますね。

セブン銀行ATM画像

最後に

的確な情報を利用者に合わせて提示するというのは簡単ではありませんが、もしこれが実現できればセルフレジやATMといったような端末機器での体験がよりよくなり店舗の省力化にも貢献できるでしょう。
的確なタイミングでユーザの習熟度に合わせて情報を出すということを踏まえるとUXデザインにはまだまだ工夫の余地がありますし、端末機器や体験に至る過程でのインタラクティブな情報の出し方など、解決に向けて多面的に考えていきたいと思います。

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