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LaTeX:多項式の除算をarray環境で泥臭く組版する

Last updated at Posted at 2020-05-04

#やりたいこと

多項式の除算をarray環境で組版する。同類項が縦に並ぶようにしたい。
安直にコードを組もうとすると,すぐに思いつくのは次のようなもの。

\begin{math}
\begin{array}{rcrrrr}
         &   & x   & +5    &      &     \\ \cline{2-6}
x^2-3x+2 & ) & x^3 & +2x^2 & -11x & + 7 \\
         &   & x^3 & -3x^2 & + 2x &     \\ \cline{3-6}
         &   &     &  5x^2 & -13x & + 7 \\
         &   &     &  5x^2 & -15x & +10 \\ \cline{4-6}
         &   &     &       &   2x & - 3 \\
\end{array}
\end{math}

安直に組んでみた

この出力には気に食わないところが多々あるので,以下,泥臭く改良を進める。

#除式と被除式の区切り,横棒

除式 $x^2-3x+2$ と被除式 $x^3+2x^2-11x+7$ の区切りに安直に閉じ丸括弧)を用いた。
もう少し大きくすると見映えがよくなるのではないか。

\begin{math}
\begin{array}{rcrrrr}
         &       & x   & +5    &      &     \\ \cline{2-6}
x^2-3x+2 & \Big) & x^3 & +2x^2 & -11x & + 7 \\
         &       & x^3 & -3x^2 & + 2x &     \\ \cline{3-6}
         &       &     &  5x^2 & -13x & + 7 \\
         &       &     &  5x^2 & -15x & +10 \\ \cline{4-6}
         &       &     &       &   2x & - 3 \\
\end{array}
\end{math}

括弧を大きくしてみた

(大きくした)括弧の直上の横棒について,左に飛び出ているのが気に食わない。
array環境のオプションに @{} を加えてみる。

\begin{math}
\begin{array}{r@{}crrrr}
         &       & x   & +5    &      &     \\ \cline{2-6}
x^2-3x+2 & \Big) & x^3 & +2x^2 & -11x & + 7 \\
         &       & x^3 & -3x^2 & + 2x &     \\ \cline{3-6}
         &       &     &  5x^2 & -13x & + 7 \\
         &       &     &  5x^2 & -15x & +10 \\ \cline{4-6}
         &       &     &       &   2x & - 3 \\
\end{array}
\end{math}

飛び出しをなくしたかった

飛び出しをなくすことはできたが,除式と区切りの間が詰まってしまった。
空白を入れるべく,@{}@{~}にかえる。

\begin{math}
\begin{array}{r@{~}crrrr}
         &       & x   & +5    &      &     \\ \cline{2-6}
x^2-3x+2 & \Big) & x^3 & +2x^2 & -11x & + 7 \\
         &       & x^3 & -3x^2 & + 2x &     \\ \cline{3-6}
         &       &     &  5x^2 & -13x & + 7 \\
         &       &     &  5x^2 & -15x & +10 \\ \cline{4-6}
         &       &     &       &   2x & - 3 \\
\end{array}
\end{math}

除式と区切りの間を空けた

横棒とべき指数が重なっているところがある。このような縦の詰まりを避けたい。
区切り括弧のダミー\phantom{\Big)}を入れると,それなりに揃っているように見えるようになる。

\begin{math}
\begin{array}{r@{~}crrrr}
         &       & x   & +5    &      &     \\ \cline{2-6}
x^2-3x+2 & \Big) & x^3 & +2x^2 & -11x & + 7 \\
         &       & x^3 & -3x^2 & + 2x &     \\ \cline{3-6}
 & \phantom{\Big)} &   &  5x^2 & -13x & + 7 \\
         &       &     &  5x^2 & -15x & +10 \\ \cline{4-6}
 & \phantom{\Big)} &   &       &   2x & - 3 \\
\end{array}
\end{math}

縦方向の改善案

#符号の位置を揃えたい

符号の位置を揃えたい。array環境のオプションをより細かく指定しよう。

\begin{math}
\begin{array}{r@{~}crcrcrcr}
         &       & x   &+& 5    & &     & &    \\ \cline{2-9}
x^2-3x+2 & \Big) & x^3 &+& 2x^2 &-& 11x &+&  7 \\
         &       & x^3 &-& 3x^2 &+&  2x &      \\ \cline{3-9}
 & \phantom{\Big)} &   & & 5x^2 &-& 13x &+&  7 \\
         &       &     & & 5x^2 &-& 15x &+& 10 \\ \cline{4-9}
 & \phantom{\Big)} &   & &      & &  2x &-&  3 \\
\end{array}
\end{math}

符号の位置を揃えてみた

符号の位置は揃った。しかし,符号の前後が空き過ぎた。
この間隔を制御するべく,array環境のオプションに @{\:} を指定する。
\: は数式モードにおいて二項演算子の直前直後に挿入される空白(\medmuskip)。

\begin{math}
\begin{array}{r@{~}cr@{\:}c@{\:}r@{\:}c@{\:}r@{\:}c@{\:}r}
         &       & x   &+& 5    & &     & &    \\ \cline{2-9}
x^2-3x+2 & \Big) & x^3 &+& 2x^2 &-& 11x &+&  7 \\
         &       & x^3 &-& 3x^2 &+&  2x &      \\ \cline{3-9}
 & \phantom{\Big)} &   & & 5x^2 &-& 13x &+&  7 \\
         &       &     & & 5x^2 &-& 15x &+& 10 \\ \cline{4-9}
 & \phantom{\Big)} &   & &      & &  2x &-&  3 \\
\end{array}
\end{math}

符号の前後の間隔を調整

array環境のオプションが長くなって見難くなってしまった。
繰り返しを*{}{}でまとめてコンパクトにしよう。

\begin{math}
\begin{array}{r@{~}cr*{3}{@{\:}c@{\:}r}}
         &       & x   &+& 5    & &     & &    \\ \cline{2-9}
x^2-3x+2 & \Big) & x^3 &+& 2x^2 &-& 11x &+&  7 \\
         &       & x^3 &-& 3x^2 &+&  2x &      \\ \cline{3-9}
 & \phantom{\Big)} &   & & 5x^2 &-& 13x &+&  7 \\
         &       &     & & 5x^2 &-& 15x &+& 10 \\ \cline{4-9}
 & \phantom{\Big)} &   & &      & &  2x &-&  3 \\
\end{array}
\end{math}

オプションは本質的には変わっていない

商の項 $x+5$ と被除式 $x^3+2x^2-11x+7$ が縦に揃っていないのが気に入らない。ダミーを入れて揃えよう。

\begin{math}
\begin{array}{r@{~}cr*{3}{@{\:}c@{\:}r}}
 & & x^{\phantom{1}} &+& 5\phantom{x^0} & & & & \\ \cline{2-9}
x^2-3x+2 & \Big) & x^3 &+& 2x^2 &-& 11x &+&  7 \\
         &       & x^3 &-& 3x^2 &+&  2x &      \\ \cline{3-9}
 & \phantom{\Big)} &   & & 5x^2 &-& 13x &+&  7 \\
         &       &     & & 5x^2 &-& 15x &+& 10 \\ \cline{4-9}
 & \phantom{\Big)} &   & &      & &  2x &-&  3 \\
\end{array}
\end{math}

商の項を揃えた

#他の方法はないのか

他の方法がありそう。後日書くことにしたい。

#Beamerと組み合わせてプレゼン用資料を作れる?

試してみて,後日記事にしよう。>自分

Beamer使うなら,tikzpicture 環境での組版がもしかすると賢い?>自分


おしまい

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