#やりたいこと
多項式の除算をarray環境で組版する。同類項が縦に並ぶようにしたい。
安直にコードを組もうとすると,すぐに思いつくのは次のようなもの。
\begin{math}
\begin{array}{rcrrrr}
& & x & +5 & & \\ \cline{2-6}
x^2-3x+2 & ) & x^3 & +2x^2 & -11x & + 7 \\
& & x^3 & -3x^2 & + 2x & \\ \cline{3-6}
& & & 5x^2 & -13x & + 7 \\
& & & 5x^2 & -15x & +10 \\ \cline{4-6}
& & & & 2x & - 3 \\
\end{array}
\end{math}
この出力には気に食わないところが多々あるので,以下,泥臭く改良を進める。
#除式と被除式の区切り,横棒
除式 $x^2-3x+2$ と被除式 $x^3+2x^2-11x+7$ の区切りに安直に閉じ丸括弧)
を用いた。
もう少し大きくすると見映えがよくなるのではないか。
\begin{math}
\begin{array}{rcrrrr}
& & x & +5 & & \\ \cline{2-6}
x^2-3x+2 & \Big) & x^3 & +2x^2 & -11x & + 7 \\
& & x^3 & -3x^2 & + 2x & \\ \cline{3-6}
& & & 5x^2 & -13x & + 7 \\
& & & 5x^2 & -15x & +10 \\ \cline{4-6}
& & & & 2x & - 3 \\
\end{array}
\end{math}
(大きくした)括弧の直上の横棒について,左に飛び出ているのが気に食わない。
array環境のオプションに @{}
を加えてみる。
\begin{math}
\begin{array}{r@{}crrrr}
& & x & +5 & & \\ \cline{2-6}
x^2-3x+2 & \Big) & x^3 & +2x^2 & -11x & + 7 \\
& & x^3 & -3x^2 & + 2x & \\ \cline{3-6}
& & & 5x^2 & -13x & + 7 \\
& & & 5x^2 & -15x & +10 \\ \cline{4-6}
& & & & 2x & - 3 \\
\end{array}
\end{math}
飛び出しをなくすことはできたが,除式と区切りの間が詰まってしまった。
空白を入れるべく,@{}
を@{~}
にかえる。
\begin{math}
\begin{array}{r@{~}crrrr}
& & x & +5 & & \\ \cline{2-6}
x^2-3x+2 & \Big) & x^3 & +2x^2 & -11x & + 7 \\
& & x^3 & -3x^2 & + 2x & \\ \cline{3-6}
& & & 5x^2 & -13x & + 7 \\
& & & 5x^2 & -15x & +10 \\ \cline{4-6}
& & & & 2x & - 3 \\
\end{array}
\end{math}
横棒とべき指数が重なっているところがある。このような縦の詰まりを避けたい。
区切り括弧のダミー\phantom{\Big)}
を入れると,それなりに揃っているように見えるようになる。
\begin{math}
\begin{array}{r@{~}crrrr}
& & x & +5 & & \\ \cline{2-6}
x^2-3x+2 & \Big) & x^3 & +2x^2 & -11x & + 7 \\
& & x^3 & -3x^2 & + 2x & \\ \cline{3-6}
& \phantom{\Big)} & & 5x^2 & -13x & + 7 \\
& & & 5x^2 & -15x & +10 \\ \cline{4-6}
& \phantom{\Big)} & & & 2x & - 3 \\
\end{array}
\end{math}
#符号の位置を揃えたい
符号の位置を揃えたい。array環境のオプションをより細かく指定しよう。
\begin{math}
\begin{array}{r@{~}crcrcrcr}
& & x &+& 5 & & & & \\ \cline{2-9}
x^2-3x+2 & \Big) & x^3 &+& 2x^2 &-& 11x &+& 7 \\
& & x^3 &-& 3x^2 &+& 2x & \\ \cline{3-9}
& \phantom{\Big)} & & & 5x^2 &-& 13x &+& 7 \\
& & & & 5x^2 &-& 15x &+& 10 \\ \cline{4-9}
& \phantom{\Big)} & & & & & 2x &-& 3 \\
\end{array}
\end{math}
符号の位置は揃った。しかし,符号の前後が空き過ぎた。
この間隔を制御するべく,array環境のオプションに @{\:}
を指定する。
\:
は数式モードにおいて二項演算子の直前直後に挿入される空白(\medmuskip
)。
\begin{math}
\begin{array}{r@{~}cr@{\:}c@{\:}r@{\:}c@{\:}r@{\:}c@{\:}r}
& & x &+& 5 & & & & \\ \cline{2-9}
x^2-3x+2 & \Big) & x^3 &+& 2x^2 &-& 11x &+& 7 \\
& & x^3 &-& 3x^2 &+& 2x & \\ \cline{3-9}
& \phantom{\Big)} & & & 5x^2 &-& 13x &+& 7 \\
& & & & 5x^2 &-& 15x &+& 10 \\ \cline{4-9}
& \phantom{\Big)} & & & & & 2x &-& 3 \\
\end{array}
\end{math}
array環境のオプションが長くなって見難くなってしまった。
繰り返しを*{}{}
でまとめてコンパクトにしよう。
\begin{math}
\begin{array}{r@{~}cr*{3}{@{\:}c@{\:}r}}
& & x &+& 5 & & & & \\ \cline{2-9}
x^2-3x+2 & \Big) & x^3 &+& 2x^2 &-& 11x &+& 7 \\
& & x^3 &-& 3x^2 &+& 2x & \\ \cline{3-9}
& \phantom{\Big)} & & & 5x^2 &-& 13x &+& 7 \\
& & & & 5x^2 &-& 15x &+& 10 \\ \cline{4-9}
& \phantom{\Big)} & & & & & 2x &-& 3 \\
\end{array}
\end{math}
商の項 $x+5$ と被除式 $x^3+2x^2-11x+7$ が縦に揃っていないのが気に入らない。ダミーを入れて揃えよう。
\begin{math}
\begin{array}{r@{~}cr*{3}{@{\:}c@{\:}r}}
& & x^{\phantom{1}} &+& 5\phantom{x^0} & & & & \\ \cline{2-9}
x^2-3x+2 & \Big) & x^3 &+& 2x^2 &-& 11x &+& 7 \\
& & x^3 &-& 3x^2 &+& 2x & \\ \cline{3-9}
& \phantom{\Big)} & & & 5x^2 &-& 13x &+& 7 \\
& & & & 5x^2 &-& 15x &+& 10 \\ \cline{4-9}
& \phantom{\Big)} & & & & & 2x &-& 3 \\
\end{array}
\end{math}
#他の方法はないのか
他の方法がありそう。後日書くことにしたい。
#Beamerと組み合わせてプレゼン用資料を作れる?
試してみて,後日記事にしよう。>自分
Beamer使うなら,tikzpicture 環境での組版がもしかすると賢い?>自分
おしまい