目次
はじめに
はじめまして!皆さまお疲れさまです。
CS(カスタマーサポート)歴10年超、アドベントカレンダー3回目のRyusei55と申します。本記事へのご訪問ありがとうございます!
本記事では「海外リリースされるゲームタイトルのCS一次拠点の選び方」について紹介させていただきます。
自社が開発/運営(もしくはパブリッシャー)として海外へリリースするケースを想定して記事を書きました。
CSにご興味のある方、海外リリースタイトルの運営に関わっている方など、ぜひ最後までご覧ください。
海外リリースタイトルのCS事情
海外CSニーズが上がっていくのは必然!?
モバイルゲームにおける市場感としては、日本は減少、グローバルでは拡大見込みというのが2024年上半期までの見方になるかと思います。
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000073.000100064.html
モバイルゲームの世界収益は2021年に過去最高を記録して以降、徐々に減退していましたが、2024年以降再び回復することが見込まれており、2028年には1,000億ドルを突破することが予想されています。
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000057.000100064.html
上記の傾向もあるのか国内のゲーム各社においても、国内・海外の同時リリースを視野に動くことが顕著になっており、弊社も例外ではありません。
そのような状況の中で、私たちCS部門としても海外へリリースされることを前提にCS体制・およびCS運用を構築することが求められるようになりました。
国内CSと海外CSの違い
①CS対応に関する違い
②拠点の人員事情の違い
③コミュニケーションスタイルの違い
海外CSチームを構築するにあたって前提として私が考える国内・海外のCSの違いの多くは上記3つに起因しています。
※もちろん海外といっても国・文化・言語などによって異なるため、あくまで所感となります
①CS対応に関する違い
日本は”おもてなし文化”があり、お客さまとしてもCSのサービスレベルや気遣いに一定の期待値を持たれています。また日本語としても丁寧語や謙譲語などがあり、どのような言い回しで伝えるか、またそれがお客さまにどう伝わったかに気を配る必要があります。
一方で海外のお客さまニーズでいうと、正確に伝える、的確に伝える、スピード感をもって対応するということが求められてる傾向にあります。
②拠点の人員事情の違い
これは一般的にも言われることですが、いわゆる定着率(1つの場所で継続して働き続けるかどうか)は海外の方が低い傾向にありますし、背景にある経済状況も海外の方が変化が大きいのが実情です。特に昨今の円安の影響で、対日本と海外各国の関係性においては平均賃金の上昇幅や為替の値動きの影響により、数年前とはまるで景色が違うということもざらにあります。
③コミュニケーションスタイルの違い
①でお伝えしたお客さまの違いにも通じるところがあるのですが、日本のビジネスパーソンの間でしばしばみられる間接的な表現(気を遣った表現)や、いわゆる空気を読む的なコミュニケーションは海外では通じない(求めても理解されない)ことも多いです。
主に上記のような事情に配慮しながらどうCS運用体制を構築していくのか、そのカギとなる「一次応対拠点の選び方」について、掘り下げてみたいと思います。
一次拠点の選び方
海外CS一次拠点を検討する上でまず考えること
まず国内・海外で共通する軸としては主に以下3つではないでしょうか。
・価格
・品質
・実績
そして上記に付随するものとして以下となるかと思います。
・運用体制(特に管理体制、SV体制)
・事業規模(拡張性や付加価値など)
・営業力
ですが、海外のCS対応でまず考えることは、一次拠点を国内に置くか、海外に置くかです。
そして上記を検討する前提として、拠点とのやり取りをする際の公用語をどうするかという点も考慮が必要です。
<国内体制のメリデメ>
・日本時間で稼働できる(開発/運営が日本の場合は時差が無い)
・円精算(円払い)ができる(ので為替レート変動の影響を受けない)
・日本語でコミュニケーションできる可能性が高い
・基本的にはASEANと比較すると賃金が高い
<海外拠点体制のメリデメ>
・高い言語能力や現地の文化への理解力が期待できる
・平均賃金が安い(ASEAN諸国と比較して)
・時差がある
・現地通貨支払いの場合、為替の影響を受ける
上記メリデメを踏まえて、どのようなターゲットで一次拠点を選定するのか、また両方とも対応できるようなパートナーを探すのか、パートナーとしての前提条件を検討する必要があります。
軸として検討すべき重要なポイント
上記で検討する軸についていくつか挙げさせていただきましたが、その中でも海外CS一次拠点において特に重要と考えるのは以下の2点です。
・実績
・運用体制
実績
実績とは特に日本との連携を前提とした実績があるかがポイントになってきます。なぜなら最初の前提のご説明の際にあげた①~③の3つの違いについて理解しているかというのがある程度実績と比例すると考えているからです。ある意味日本の仕事スタイル・開発/運営スタイルを理解した上でCS対応を実施している実績があれば、CS体制構築やCS運営もスムーズにいくことができます。
運用体制
もう1つは運用体制、特に日本語のできる管理者(SV)の体制がポイントです。なぜなら海外CSとして求められる「正確性」「的確性」「スピード感」においては、管理者の存在が非常に重要になってくるからです。開発・運営との連携において、お客さまのお困りごとを正確に情報提供できることと、返ってきたFBを的確に正確に理解し返信に生かすことは、日本語での理解、およびそれの翻訳スキルに依存しています。そのため日本語のできる管理者(SV)がいかに日本語力が高いか、またサービスについての理解が深いかが、正確・的確・スピード感に直結すると考えます。
また海外拠点の場合には、土日に管理者がいるかというのも確認ポイントの1つです。国によっては土日に働く人が少ない、または賃金が上がることから土日に管理者を置かない体制での提案がくることもしばしばあるため、確認しておきたいポイントです。
重要なポイントを確認するためには
一次拠点を選ぶ際に絶対にお勧めするのは”web会議で直接話すこと”です。特に営業サイドだけでなく、実際の拠点の管理者の方と直接話してみるというのを強くお勧めします。直接日本語でのコミュニケーションをとってみることで、日本語力をはかれるのはもちろん、実際の日々の連携がどれだけスムーズにいくのかイメージをつけることができます。
一次拠点の品質をはかるためにはミステリーメールを送るという手もありますし、それによって品質の程度を確認することはできます。ただし、テンプレートで回答している場合もあったり、日本人が英語のお問い合わせを評価するのに限界があったり、実際のCS体制に直結する部分が見えない場合もあるので、うまく使い分けるのが良いと思います。
その他のポイント
この章の最初に挙げたその他の軸については、事業状況やCSとしての考え方をもとに検討すればよいと思いますが、個人的にはそれぞれのポイントは以下と考えます。
・価格:何に重きを置くかかと思います。変動が少ないことなのか、価格の根拠なのか、自社で価格が適正だと感じる軸は何なのか、ステークホルダーと事前に確認しておくのが良いと思います。
・事業規模:海外展開においては、言語の追加や縮小が多いに考えられますので、拡張性や柔軟性が高い方が高ポイントと考えます。またBCP観点においても、拠点候補が複数あるに越したことはないと考えます。
・営業力:こちらは柔軟性に直結すると考えていて、海外の運用については蓋を開けてみないと分からないことがあるのもまた事実です。想定と異なる状況になったときに柔軟な提案がもらえるのか、それは営業力にかかってくる部分も大きいです。
さいごに
今回はこれからニーズがさらに拡大していくと思われる海外CSについて、一次拠点の選び方という観点で記事にしてみましたが、いかがでしたでしょうか。開発・運営が日本で、一次対応を委託するという前提なので限定的なケースかもしれませんが、実際に私が日本国内と海外展開タイトルの両方のCS運用構築を経験してみて、感じたポイントになりますのでぜひ参考にしていただけたら嬉しいです。
そして海外CS体制の構築においては、まだ様々な課題があると思いますし、そういった悩みをシェアして情報交換できるようになると、日本企業における海外タイトルのCS運用レベルが全体的に上がっていくと思いますので、よろしければCS関係者の皆さま(それ以外の方も)、コメント・ご連絡お待ちしております!
最後までご覧いただきありがとうございました!!