こんにちは、
InfraAcademyというインフラエンジニア学習サービスを運営しております、ryuと申します。
はじめに
私は、エンジニアやプロダクトマネージャーなどの経験を経て、現在は自身でサービスの開発・運営しております。
自社サービスの運営の傍ら、さまざまな新規サービスの立ち上げもしております。
そのような経験から、
「このサービスはニーズがないな・・・」
「収益化できないな・・・」
と、思うことが何度もありました。
そこで、私自身がどのようにニーズがあるのか、ニーズがないのかを判断しているかを、お話ししたいと思います。
ちなみに、数週間前、こちらの個人開発のサービスをリリースしました。
このサービスは、ニーズがないと判断して2週間程度で閉鎖しました。
サービスをリリースする前から、リリースしてからどのようなことをしたらいいのかを具体的に解説します!
開発前・リリース前にすること
ここでは、開発前やリリース前にすることを解説します。
今回は個人開発もしくは、数人で作成するサービスを前提としております。
個人開発で収益化するということは、個人で新規事業を一つ作るということです。
新規事業の成功率は1割程度なので、ほとんどのサービスは失敗するということです。
そのため、「いかに失敗を早くするか」、「失敗時のダメージを少なくするか」が大切になります。
そのような観点から、開発前・リリース前にすることは、以下の3つです。
- スケジュールを立てる
- 顧客の解像度を上げる
- 市場の解像度を上げる
スケジュールを立てる
まずは、スケジュールを立てましょう。
いつまでに、開発に着手して、いつまでにリリースする、いつまでに収益化するといった簡単なスケジュールで大丈夫です。
私、個人的にはアジャイルのように1週間ごとで何をするのか、1ヶ月単位で何が達成できれば良いのかをスケジュールしています。
新規事業はスケジュール通りに行かないことがほとんどですが、ある程度のスケジュールがないと、何をやるべきなのかが分からなくなります。
例えば、1年後に50万円/月の売り上げを達成するために、今月はどのくらいの売り上げを達成しておくべきかの逆算をしておきましょう。
顧客の解像度を上げる
次は、顧客の解像度を上げることをやります。
具体的には、ユーザーインタビューだったり、顧客の仕事を体験したりします。
個人開発の場合は、開発者自身が顧客であると思います。
その場合、自分だけが欲しいサービスを作って、だれも欲しがらないということになりかねません。
同じ悩みを抱えている方に話しを聞きに行きましょう。
その際、以下の点を聞いてみる(検証してみる)と良いでしょう。
- 課題、悩みは何か?
- その課題はなぜ発生するのか?
- 課題や悩みに対してどのように対処しているのか?
基本的には、顧客の課題を深掘りします。
例えば、「Webサービスの死活監視が面倒」という課題がありました。
これをさらに、なぜなぜを繰り返して、深掘りしていきます。
どのような作業が面倒だと感じるのか?どのくらい時間・コストがかかるのか?5W1Hを意識して、網羅的に聞いてみましょう。
そして、その課題に対して、どのように現状対処しているかも聞き取りします。
例えば、A社の死活監視サービスを使っているなどです。
ここで重要なことは、課題が大きいかどうか、つまりお金を払ってでも解決したい課題かどうかを見極める必要があります。
例えば、ランチを一緒に行く人がいないという課題があった場合、お金を払って解決しようとする人は少ないでしょう。この場合、ランチを一緒に行く人を探すアプリを開発したとしても収益化することは難しいでしょう。(広告モデルなど、ユーザー以外から収益化する方法の検討が必要)
市場の解像度を上げる
顧客の解像度が上がったら、次は市場の解像度を上げましょう。
「市場規模が〇〇億円で・・・」のように難しいことを考える必要はありません。
顧客の深掘りをした際に、その顧客の悩みと同じような悩みを持っている人が、だいたい何人いるのかを導き出しましょう。
例えば、監視サービスで悩みがある方は3万人、3万人が2000円/月課金するとしたら、6000万/月=7.2億/年の市場規模となります。このうちの1%が購入してくれたら、60万円/月の売り上げになります。(ちなみに、この数字は適当なものなので、あくまで参考としてみてください)
市場規模が多きすぎる場合(数百億以上)は、大企業や上場企業の新規事業として狙う市場規模です。ここに個人開発で参入しても、勝ち目はありません。
また、現在の市場規模は少なく、数年後に大きくなる市場の場合は、これはスタートアップが狙う領域です。この市場は不確実性が高く、資金調達をしながら市場を作っていく必要があります。
個人開発の場合は、ある程度市場があり、他の企業が参入しない(=企業としては売り上げが立たない)ところを狙うのがオススメです。
ちなみに、私が開発したInfraAcademyは初心者インフラエンジニア向けの学習サービスです。初心者インフラエンジニア(Linuxを勉強したい人)はそこまで多くないので、他社は参入してこないと思います。他社が参入してきたところで、月額1,980円で売っても赤字になると思います。個人でやると採算の合うビジネスモデルが最適です。
市場規模がどの程度かを見極めたら、ライバルとなる商品も一通り使ってみましょう。
学習サービスの場合は、他社の学習サービスはもちろん、参考書などもライバルとなる商品になります。顧客の解像度を上げる際に、顧客がすでに使っているものがあれば、その商品のメリット、デメリットは必ず調査しておきましょう。
MVPを作成する
ここまでは、開発前・リリース前にすることについて解説しました。
次は、実際にサービスを開発するところです。
サービスを開発する際は、MVPを作ります。
MVPとは?
MVPとは、Minimum Viable Productの略で、顧客のニーズを満たす最小限のプロダクトのことです。
例えば、監視アプリを作成した際は、URLを入力したら、監視する。監視に失敗したらメールをおくるのようなMVPを作成しました。監視URLのダッシュボードや、監視の詳細な設定などは開発していません。
このように、機能として使える最低限のものがMVPです。
早く開発・リリースして、フィードバックを得る
MVPは、1〜2週間程度でユーザーに届けられる機能のみを開発します。
MVPを開発する上で重要なことは、ユーザーからのフィードバックから学習することです。
おそらく、ニーズが深い場合(開発したアプリを本当に必要としている場合)は、ユーザーから問い合わせが来るはずです。「この機能はないのか?」「どうやったら使えるのか?」といった内容です。
また、Google AnalyticsやClarityを使って、ユーザーがどのようにMVPを使っているのかを調べましょう。その後、優先度の高いものからどんどん開発をすすめていきます。
MVPを早く作るコツ
MVPを早く作るコツは既存のシステムをうまく活用することです。
例えば、以下のようなツールを使います。
- StudioやBubbleなどのノーコードツール
- Wordpressのテーマ
- FigmaやXDなどのプロトタイプ機能
個人的なおすすめはWordpressを使うことです。
ドキュメントやプラグインが豊富で、カスタマイズもある程度は可能です。
コーディングは最低限(もしくはコーディングしない)でMVPを完成させることをめざしましょう。
逆に、コーディングが多く必要な場合は作りすぎているかもしれないので、MVPにどのような機能が必要なのかを再度考えてみましょう。
ただ、コーディングに時間がかからないエンジニアの方は、そのままコーディングした方が効率の良い場合もあります。既存ツールでカスタマイズするよりも、1から作った方が早いと思う方はコーディングしても大丈夫です!
リリースしてから
リリースしてからは、ユーザーのフィードバックを集めます。
先ほど記述した通り、Google AnalyticsやClarityといった分析ツールを使ったり、実際に使ったユーザーにアンケートやインタビューをしてみましょう。
エンジニア出身の方の場合、顧客と対面する経験が少なく、インタビューを嫌煙する傾向にあります。私自身もそうでした。
ただ、ユーザーの生の声を聞くことで、どれだけ熱狂しているかの温度感が分かります。
直接的に、「このアプリは良いと思いますか?」「欲しいと思いますか?」だけ聞いても、「はい」としか答えません。非言語的な部分でも、ユーザーに刺さっているかどうかを判断する必要があります。(開発者に面と向かって、このアプリはいらないですと言うユーザーは少ないです)
また、MVPリリース後か前でもいいのですが、ユーザーがお金を払うかどうかの検証も行いましょう。
Stripeなどの決済サービスを使うと、決済画面が簡単に作成で決まる。MVPをリリース時点かその直後あたりに決済機能も含めおくと良いです。ユーザーがお金を払う価値を感じてくれているかどうかは、とても重要です。
私が、2週間で閉鎖したサービスは、顧客がお金を払う価値があまりありませんでした。個人開発者向けに、Webサービスの監視アプリを提供しました。2URLの登録は無料3URL目の監視から有料というプランにしたのですが、個人開発者で3URLも登録する人はいませんでした。その他、課金の方法をいくつか検証してみたものの、あまり良い反応はなかったので、こちらのサービスは閉鎖すると決めました。
リリースから2週間で閉鎖をしたため、コストはほとんどかかっていません。
開発に少し時間がかかりましたが、次の個人開発に流用できる部分も多いため、失敗してもすべてが無駄になるわけではありません。
なぜ立ち上げたサービスを2週間で閉鎖したのか?
ここまで、個人開発でニーズを探る方法について説明しました。
私が立ち上げたサービスは、ニーズがないと判断したのでリリースから2週間で閉鎖しました。
なぜ閉鎖したのか、なぜニーズがないと判断したのかについて解説したいと思います。
まず、開発前、リリース前の段階では、一定のニーズがあるとおもっていました。
監視サービスを開発しましたが、既存のものは「設定が煩雑」「コストがかかる」という2つの課題があったため、簡単に低コストで監視するサービスがあれば良いと思っていました。
他社の製品を使ってみたり、ユーザーインタビューを進めましたが、上記の課題と一致していたため、開発を進めていきました。
開発は、必要最低限の機能だけを作成して、1週間で作成しました。
機能としては、LP(HOME)、ログイン、監視、決済機能をつけました。
フロントエンドに時間をかけないためにも、Bootstrapで既につくられたデザインを流用しました。
リリースしてからは、Qiitaやブログでの宣伝を行いました。
流入数に対しての会員登録率や再訪率などの数字を検証しましたが、どれもパッとした数値は出ませんでした。ある程度想定した数値を下回るレベルであれば、改善することもできたのですが、それよりもさらに数字は下回っていました。
また、ユーザーインタビューを進めていても、熱量を持ったユーザーはいませんでした。
このような理由から、サービスの閉鎖を決めました。
最後に
ここまでお読みいただきありがとうございました。
個人開発で収益化するのは、難しいなと常に実感します。
私自身、何個もの新規事業や個人開発を行いましたが、黒字化できるものはわずかです。
失敗しているアプリの方が多いです。
しかし、諦めることなく、さまざまなアプリをこれからも作っていこうと思います!
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参考文献
・ビジネス・クリエーション! ---アイデアや技術から新しい製品・サービスを創る24ステップ
・リーン顧客開発 ―「売れないリスク」を極小化する技術