はじめに
Amazon Bedrockを利用されているみなさん、モデルを利用する際、EULAを確認していますか?(以下画像のマーキング部分)
私は恥ずかしながら今まで確認したことがありませんでした。
本記事では、EULAとは何か、その目的は何かを簡単に説明した後、実際にAmazon BedrockでのAnthropic(Claude)のEULAを読んでいきます。AIサービス特有の条項や、クラウド環境での提供における責任分担など、従来のソフトウェアEULAとは異なる特徴についても確認してみたいと思います。
本記事が新たな気づきのきっかけになれば幸いです。
EULAとは
End-User License Agreement(エンドユーザーライセンス契約)の略称です。ソフトウェアやデジタルサービスの提供者とそれを利用する個人やビジネスユーザー(エンドユーザー)との間で交わされる法的な契約のことを指します。
目的
EULAは以下のようなことを目的としています。
-
利用条件の明確化
- ユーザーがソフトウェアやサービスをどのように使っていいのか、使ってはいけないのかを明確に定義
-
法的保護
- 開発会社や提供者の知的財産権を保護し、法的リスクを軽減
-
責任範囲の設定
- 製品やサービスに問題が発生した場合の責任の範囲や限度を設定
-
権利と義務の定義
- 両者(提供者とユーザー)の権利と義務を明確に示す
参考
実際に読んでみる
今回はAmazon Bedrockのモデルアクセス設定画面から参照できる、Anthropic on Bedrock - Commercial Terms of Service
を読んでみたいと思います。
要約すると、以下のような内容になっています。
A. サービス
- 定義:Anthropicが開発した人工知能技術(AWS Bedrockを通じて提供)
- 利用方法:お客様はプロンプトを送信し、アウトプットを受け取ることができる
- AWS責任:AWSアカウントの安全確保はお客様の責任であり、AnthropicはAWSサービスに責任を負わない
B. お客様コンテンツ
- 所有権:お客様はすべてのアウトプットを所有する
- アクセス:AnthropicはAWSインスタンス内のお客様コンテンツにアクセスできない
- モデルトレーニング:Anthropicはお客様コンテンツを使用してモデルをトレーニングしない
C. 制限事項
- 評価責任:アウトプットの適切性評価はお客様の責任である
- 禁止事項:競合製品開発のためのアクセス、リバースエンジニアリング、第三者支援の禁止
- サポート地域:Anthropicがサポートする国・地域でのみ使用可能
D. 機密保持
- 機密情報: お客様コンテンツはお客様の機密情報として扱われる
- 保護義務: 両当事者は相手方の機密情報を保護する義務を負う
E. 知的財産
- 権利付与なし:本規約は明示的に記載されている場合を除き、相手方のコンテンツや知的財産に対する権利を付与しない
F. 広報
- 公表制限:両当事者は相手方の許可なくお客様のサービス利用に関する公式声明を発表できない
G. 料金
- 支払義務:お客様はAWSにAnthropicの公表料金で使用料と税金を支払う
- 料金更新:Anthropicは30日前の通知で料金を更新可能
H. 解約・停止
- 解約条件:お客様はいつでも解約可能、Anthropicは30日前通知で解約可能
- 停止条件:セキュリティリスク、規約違反、法的制限等の場合に実施可能
I. 紛争解決
- 解決プロセス:法的手続きに入る前に非公式で解決を試みる→解決に至らなかった場合、仲裁手続きに移行
- 仲裁地:EEA/スイス/英国はアイルランド・ダブリン、その他はカリフォルニア州サンフランシスコ
- 権利放棄:陪審裁判およびクラスアクション参加の権利を放棄
J. 補償
- 相互補償:第三者請求に対する相互防御・補償義務
- 除外事項:詐欺、故意の違法行為、法律違反、契約違反などは補償対象外
K. 保証と責任の制限
-
「現状有姿」提供:サービスは保証なしで「現状有姿」で提供
- ※現状有姿
- サービスやアウトプットの正確性、完全性、エラーのなさを保証しない
- サービスが中断なく利用できることを保証しない
- 特定の目的に適合することを保証しない
- 問題が発生した場合の法的責任を限定
- ※現状有姿
- 責任制限:責任は過去12か月間の支払料金に限定
- 除外損害:結果的・間接的損害の責任は除外
L. 雑則
- 準拠法:EEA/スイス/英国はアイルランド法、その他はカリフォルニア州法
- 修正:30日前通知で更新可能(法的変更は即時適用)
- 輸出制限:米国法等で禁止されている国・個人・用途への提供禁止
特記事項
- ファインチューニングサービスにはお客様データの使用が含まれるが、これは通常のトレーニング禁止の例外
- アウトプットの事実的主張は独自に正確性を確認する必要がある
- 紛争は仲裁で解決され、集団訴訟の権利は放棄される
また、おまけとして全文翻訳結果も添付いたします。
全文翻訳(claude利用)
# Anthropic on Bedrock - 商用利用規約
*バージョン: 2024年9月17日*
Anthropicへようこそ!サービスにアクセスする前に、この「Anthropic on Bedrock - 商用利用規約」をお読みください。
この「Anthropic on Bedrock - 商用利用規約」(以下「本規約」)は、Anthropic(以下「Anthropic」)とお客様または代表する組織、会社、もしくはその他の事業体(以下「お客様」)との間の契約です。「Anthropic」とは、お客様が欧州経済領域(「EEA」)、スイスまたは英国に居住する場合はAnthropic Ireland, Limitedを、それ以外の地域に居住する場合はAnthropic, PBCを意味します。本規約はお客様のサービス(以下に定義)の利用を規定します。本規約は、お客様が最初に本規約の電子版に同意した日と、お客様が最初にサービスにアクセスした日のいずれか早い日(以下「発効日」)に発効します。
## A. サービス
1. **概要**. Anthropicは、ユーザーがコンテンツを送信して結果を受け取ることができる人工知能技術(関連ドキュメント、資料、ツールと共に「サービス」)を開発しました。本規約に従い、お客様はサービスに対して送信(「プロンプト」)を行い、プロンプトに対する応答(「アウトプット」)を生成することができます。本規約で定義されるサービスは、具体的にAmazon Web Services, Inc.(「AWS」)によってホストおよび管理されるAmazon Bedrockと呼ばれる技術環境(「Bedrock」)を通じて提供されるものを指します。
2. **AWSアカウントとサービス**. お客様はAWSアカウントの安全確保に責任を持ち、権限のない第三者がサービスにアクセスしたと判断した場合は、速やかにAnthropicに通知する必要があります。お客様は、AnthropicがBedrockやその他のAWSサービスに責任を負わないこと、およびBedrockや他のAWSサービスの変更がサービスの利用に重大な影響を与える可能性があることを認め、同意します。お客様は、適用されるAWSポリシーおよびAWSとの契約に準拠してのみサービスを利用することができます。
3. **ベータサービス**. Anthropicはプレリリース、ベータ、またはトライアル形式のサービス(「ベータサービス」)を提供することがあります。これは本番環境での使用に適しておらず、「現状有姿」で一時的に提供されるものです。Anthropicはお客様のベータサービスの使用または依存に対して責任を負いません。
4. **フィードバック**. お客様が独自の判断でサービスに関するフィードバックをAnthropicに提供することを決定した場合、Anthropicはお客様に対する義務を負うことなく自己責任でそのフィードバックを使用することがあります。
5. **サービス固有の条件**. 本第5項(サービス固有の条件)の条件には、特定のサービスに適用される補足条件(「サービス固有の条件」)が含まれています。矛盾する規定にかかわらず、サービス固有の条件と本規約の他の部分との間に矛盾がある場合、該当するサービスについてはサービス固有の条件が優先されます。
a. **ファインチューニングサービス**. Anthropicは、お客様がファインチューニングまたはその他の形式のモデルカスタマイズ(「ファインチューニングサービス」およびそのような結果生じるモデル「ファインチューニングモデル」)を行うことができるサービスを提供することがあります。これにはお客様が提供するデータ(「ファインチューニング素材」)の使用も含まれます。ファインチューニングサービスは、ファインチューニングモデルの生成または検証のみを目的としてファインチューニング素材を使用します。ファインチューニング素材は、お客様コンテンツ(以下に定義)に含まれます。お客様のファインチューニングサービスの使用は、第B項(お客様コンテンツ)のトレーニング禁止規定の違反を構成しません。ただし、実施されるトレーニングがお客様のファインチューニングサービスの使用目的に限られている場合に限ります。ファインチューニング素材は、J.2(a)項の目的において、お客様が提供するその他のデータを構成します。ファインチューニングモデルの生成、検証またはファインチューニングは、J.3項(除外)の目的においてお客様による修正を構成します。
## B. お客様コンテンツ
お客様のサービスへのアクセスを可能にするためにAnthropicがAWSに提供する技術は、プロンプトやアウトプットを含むお客様のAWSインスタンス(「お客様コンテンツ」)へのアクセスをAnthropicに与えるものではありません。Anthropicは本規約に基づいてお客様コンテンツに関する権利やアクセスを取得することを予定していません。両当事者間において、また適用法で許される範囲内で、Anthropicはお客様がすべてのアウトプットを所有することに同意し、Anthropicは本規約に基づいてお客様コンテンツに関して受け取る権利を放棄します。お客様が本規約を遵守することを条件に、Anthropicはアウトプットに対する自らの権利、権原および利益(もしあれば)をお客様に譲渡します。Anthropicはサービスからのお客様コンテンツでモデルをトレーニングすることはできません。AnthropicはAUP(以下に定義)の遵守を監視し、サービスのパフォーマンスを理解するために、AWSから使用データ(「使用データ」)を受け取ります。使用データにはお客様コンテンツは含まれません。例えば、Anthropicはお客様のサービス使用量や、サービスに有害なコンテンツが提出された場合に通知を受け取ります。
## C. 信頼と安全性;制限事項
1. **コンプライアンス**. 各当事者は、サービスの提供(Anthropicの場合)および使用(お客様の場合)に適用されるすべての法律を遵守するものとします。
2. **利用規約**. お客様は、参照により本規約に組み込まれ、Anthropicによって更新される可能性のある利用規約(「AUP」)を含む本規約に準拠してのみサービスを使用することができます。お客様はお客様の顧客またはその他のエンドユーザー(「ユーザー」)についても同様の遵守を確保するための合理的な努力を行う必要があります。お客様は、AUP遵守をサポートするためのAnthropicからの合理的な情報提供要求に協力しなければなりません。これにはお客様の身元確認やサービス使用の確認が含まれます。
3. **アウトプットの制限;ユーザーへの通知**. アウトプットがお客様のユースケースに適切かどうかを評価するのはお客様の責任であり、これにはアウトプットを使用または共有する前に、人間によるレビューが適切な場合も含まれます。お客様は、アウトプット内の事実の主張は、それらが誤り、不完全、誤解を招く、または最近のイベントや情報を反映していない可能性があるため、独自にその正確性を確認せずに信頼すべきではないことを認識し、ユーザーに通知する必要があります。さらにお客様は、アウトプットにAnthropicの見解と一致しないコンテンツが含まれる可能性があることを認識します。
4. **使用制限**. お客様は以下を行ってはならず、また試みてはなりません:(a) 競合製品やサービスを構築するためにサービスにアクセスすること(Anthropicによって明示的に承認された場合を除き、競合するAIモデルをトレーニングすることを含む);(b) サービスのリバースエンジニアリングまたは複製を行うこと;または (c) 本文で制限されている行為を第三者が試みることを支援すること。お客様およびそのユーザーは、Anthropicが現在サポートしている国および地域でのみサービスを使用することができます。
## D. 機密保持
1. **機密情報**. 両当事者は、機密、専有またはこれに類似するものとして特定された情報、あるいは当事者が合理的に機密または専有と理解する情報(「機密情報」)を共有することがあります。お客様コンテンツはお客様の機密情報です。
2. **当事者の義務**. 受領当事者(「受領者」)は、開示当事者(「開示者」)の機密情報を、本規約に基づく権利を行使し、義務を履行する目的でのみ使用することができます。受領者は、開示者の機密情報を知る必要がある受領者の従業員、代理人および顧問(「代表者」)にのみ、そして少なくとも本規約で規定されているものと同等の保護レベルの機密保持義務に拘束されている場合に限り、開示者の機密情報を共有することができます。受領者は、受領者が自身の機密情報を保護するのと同じ方法で、かつ合理的な注意を下回らない方法で、開示者の機密情報を不正使用、アクセス、または開示から保護します。受領者は、その代表者のすべての行為および不作為に責任を負います。受領者は、開示者の機密情報が漏洩された疑いまたは事実を知った場合、速やかに開示者に通知し、さらなる損失や誤用のリスクを軽減するために協力することに同意します。
3. **除外事項**. 受領者が、開示者の機密情報が (a) 開示者による開示時に既に受領者に知られていたこと、(b) 機密保持義務のない第三者から受領者に開示されたこと、(c) 受領者の過失なく公に入手可能であること、または (d) 開示者の機密情報の使用またはアクセスなしに受領者によって独自に開発されたことを証明する場合、受領者の機密情報に関する義務は適用されません。受領者は、法律、裁判所または行政命令により要求される範囲で開示者の機密情報を開示することができますが、明示的に禁止されている場合を除き、開示者に必要な開示を速やかに通知し、開示者に全面的に協力します。
4. **破棄要求**. 受領者は要求に応じて開示者の機密情報を速やかに破棄します。ただし、受領者の自動バックアップシステム内のコピーは除きます。これらは保持されている間、機密保持義務の対象となります。
## E. 知的財産
本規約に明示的に記載されている場合を除き、本規約は黙示的またはその他の方法により、相手方のコンテンツまたは知的財産に対するいかなる権利も付与するものではありません。
## F. 広報
いずれの当事者も、相手方の許可なくお客様のサービス利用に関する公式声明を発表することはできません。
## G. 料金
お客様は、両当事者間で別途合意がない限り、Anthropicの公表料金でサービスの使用に関連するすべての適用料金および税金をAWSに支払う必要があります。Anthropicは公表料金を更新することができ、更新はAWSまたはAnthropicによって掲載されてから30日後、またはお客様が別途通知を受けた日のいずれか早い日に有効となります。
## H. 解約;停止
1. **期間**. 本規約は発効日に開始し、解約されるまで継続します(「期間」)。
2. **解約**.
a. 各当事者は、通知によっていつでも本規約を便宜上解約することができます。ただし、Anthropicは30日前の通知を提供する必要があります。
b. いずれの当事者も、相手方の重大な違反について、違反の性質を詳述した30日前の通知を提供することにより、その期間内に是正されない限り、本規約を解約することができます。
c. Anthropicは、適用法によりAnthropicがお客様にサービスを提供することが禁止されていると合理的に信じるか判断した場合、通知により直ちに本規約を解約することができます。
3. **停止**.
a. 以下の場合、Anthropicはお客様のサービスの一部または全部へのアクセスをAWSに停止するよう要求することがあります:(a) Anthropicが合理的に信じるか判断した場合 (i) サービスに対するリスクまたは攻撃がある;(ii) お客様またはユーザーがC.1項(コンプライアンス)、C.2項(利用規約)またはC.4項(使用制限)に違反してサービスを使用している;または (iii) Anthropicがお客様にサービスを提供することが適用法により禁止されているか、サービス提供コストの重大な増加をもたらす;または (b) AWSまたはAnthropicもしくはAWSのベンダーがお客様がサービスにアクセスするために必要な第三者サービスまたは製品の使用を停止または終了した場合(それぞれ「サービス停止」)。
b. Anthropicは、サービス停止についてお客様に書面による通知を提供し、サービス停止の原因となった事象が解決された後(解決可能な場合)、合理的に可能な限り速やかにAWSにサービスへのアクセス再開を要求するよう合理的な努力を行います。Anthropicは、サービス停止によりお客様が被る可能性のある損害、責任、損失(データまたは利益の損失を含む)、またはその他の結果について一切の責任を負いません。
4. **解約の効果**. 解約後、お客様はサービスにアクセスできなくなります。本規約の解約後も次の規定は存続します:(a) D項(機密保持)、F項(広報)、G項(料金)、H.4項(解約の効果)、I項(紛争)、J項(補償)、K.2項(保証の免責事項)、K.3項(責任の制限)およびL項(雑則);および (b) その本質的な目的を達成するために存続しなければならない規定または条件。
## I. 紛争
1. **紛争**. 本規約に関連する紛争、申し立てまたは論争(「紛争」)が発生した場合、両当事者はまず誠意をもって非公式に解決を試みます。紛争を提起する当事者は相手方に通知(「紛争通知」)し、相手方は紛争通知の配達日から15日以内に、適切なレベルの役員が紛争解決を試みるための会議時間を提案します。紛争通知の配達から45日以内に紛争が解決されない場合、いずれの当事者もI.2項に記載されている仲裁を通じて紛争解決を求めることができます。
2. **仲裁**. すべての紛争は、以下の地域固有のプロセスに従い、英語による最終的かつ拘束力のある仲裁によって決定されます:
a. EEA、スイスまたは英国に居住するお客様の場合、紛争は現在施行中のUNCITRAL仲裁規則に従いアイルランドのダブリンにおいて単独仲裁人によって決定されます。任命権者は当時のアイルランド法曹協会会長とします。
b. それ以外の地域に居住するお客様の場合、紛争はカリフォルニア州サンフランシスコにおいてJudicial Arbitration and Mediation Services, Inc.の包括的仲裁規則および手続きに従い単独仲裁人によって決定されます。
本I.2項(仲裁)の仲裁プロセスを通じて発行された裁定に対する判決は、管轄権を有する裁判所に登録することができます。各当事者は、本規約に関連して、法律で許可される最大限の範囲で、陪審裁判を受ける権利およびクラスアクションに参加する権利を放棄することに同意します。
3. **衡平法上の救済**. 本I項(紛争)は、いずれの当事者も衡平法上の救済を求める権利を制限するものではありません。
## J. 補償
1. **お客様に対する請求**. Anthropicは、お客様請求(以下に定義)からお客様およびその人員、後継者および譲受人を防御し、そのような請求について管轄権を有する裁判所が第三者に与える判決または仲裁人がAnthropicの承認した和解に基づいて第三者に与える裁定について補償します。「お客様請求」とは、本規約に従ったサービスの使用(Anthropicがサービスの一部であるモデルをトレーニングするために使用したデータを含む)または許可された使用を通じて生成されたアウトプットが第三者の特許、営業秘密、商標または著作権を侵害していると主張する第三者の請求、訴訟または手続きを意味します。
2. **Anthropicに対する請求**. お客様は、Anthropic請求(以下に定義)からAnthropicおよびその人員、後継者および譲受人を防御し、そのような請求について管轄権を有する裁判所が第三者に与える判決または仲裁人がお客様の承認した和解に基づいて第三者に与える裁定について補償します。「Anthropic請求」とは、以下に関連する第三者の請求、訴訟または手続きを意味します:(a) お客様またはそのユーザーのプロンプトまたはお客様が提供したその他のデータ、または (b) AUPまたはC.4項(使用制限)に違反するサービスの使用。Anthropic請求とお客様請求は、それぞれ該当する「請求」です。
3. **除外事項**. いずれの当事者の防御または補償義務も、根底にある申し立てが被補償当事者の詐欺、故意の違法行為、法律違反、または本契約違反から生じる範囲には適用されません。さらに、Anthropicの防御および補償義務は、お客様請求が以下から生じる範囲には適用されません:(a) お客様によるサービスまたはアウトプットの修正;(b) Anthropicが提供していない技術またはコンテンツとサービスまたはアウトプットの組み合わせ;(c) お客様が提供したプロンプトまたはその他のデータ;(d) お客様が他者の権利を侵害すると知っているか合理的に知るべきサービスまたはアウトプットの使用;(e) アウトプットに含まれる特許発明の実施;または (f) アウトプットの商取引での使用に基づく商標侵害の申し立て。
4. **プロセス**. 被補償当事者は関連する請求について速やかに補償当事者に通知し、防御に合理的に協力するものとします。補償当事者は、弁護士の選択、訴訟または上訴の戦略および過程、および交渉または和解または妥協を含む、そのような請求の防御を管理する権利を保持します。ただし、被補償当事者は、不当に行使されない権利として、自らに違法行為または責任を認めることを要求するか、または継続的な積極的義務を課す和解または妥協を拒否する権利を有します。次のいずれかが防御を実質的に損なう場合、補償当事者の義務は免除されます:(a) 被補償当事者が請求の速やかな通知を提供しなかった場合;または (b) 防御に合理的に協力しなかった場合。
5. **唯一の救済手段**. 本J項(補償)の対象となる範囲内で、補償は第三者の請求に対する本規約に基づく各当事者の唯一かつ排他的な救済手段です。
## K. 保証と責任の制限
1. **保証**. 各当事者は以下を表明し保証します:(a) 本規約を締結する権限を有すること;および (b) 本規約の締結および履行が、該当する場合、その企業規則に違反しないこと。さらにお客様は、サービスにプロンプトを提出するために必要なすべての権利と許可を有することを表明し保証します。
2. **保証の免責事項**. 本規約で明示的に規定されている場合を除き、法律で許可される最大限の範囲内で (A) サービスおよびアウトプットは「現状有姿」および「利用可能な状態」で提供され、いかなる種類の保証もなく提供されます;および (B) Anthropicは第三者製品またはサービス(第三者インターフェースを含む)に関して、明示または黙示を問わず、いかなる保証も行いません。Anthropicは、商品性、非侵害および特定目的への適合性の黙示的保証、ならびに法令、取引過程または取引慣行から生じる黙示的保証を明示的に否認します。Anthropicは、サービスまたはアウトプットが正確、完全またはエラーフリーであること、あるいはその使用が中断されないことを保証せず、否認します。アウトプットにおける第三者への言及は、彼らがAnthropicを支持しているか、あるいはAnthropicと協力関係にあることを意味するものではありません。
3. **責任の制限**.
a. K.3.b項に記載されている場合を除き、本規約に起因または関連して生じるいかなる損害に対する各当事者およびその関連会社およびライセンサーの責任は、(i) 結果的、付随的、特別、間接的または懲罰的損害(利益、事業、契約、収益、のれん、生産、予想される節約またはデータの損失、ならびに代替商品またはサービスの調達コストを含む)を除外し、(ii) 過去12か月間にお客様がサービスに対して実際に支払った料金に限定されます。
b. 本K.3項(責任の制限)の責任制限は、J項(補償)に基づく当事者の義務には適用されません。
c. 本K.3項(責任の制限)の責任制限は:(A) 適用法で許可される最大限の範囲で;(B) 過失を含む不法行為責任に;(C) 訴訟形態にかかわらず、契約、不法行為、厳格製造物責任またはその他の形態にかかわらず;(D) 違反当事者が問題となる損害の可能性について事前に通知を受けていた場合でも、そのような損害が予見可能であった場合でも;および (E) 被害当事者の救済手段がその本質的な目的を達成できない場合でも適用されます。
d. 両当事者は、本K.3項(責任の制限)の条件に依拠して本規約を締結したこと、およびこれらの条件が両当事者間の取引の本質的な基礎を形成することに同意します。
## L. 雑則
1. **通知**. 本規約に基づくすべての通知、要求、放棄およびその他の通信(それぞれを「通知」)は書面によるものとします。仲裁要求に関する通知または衡平法上の救済が求められる場合を除き、本規約に基づいて提供される通知は、電子的にお客様のアドレスまたはAnthropicに提供されたその他の承認されたアドレスに、またAnthropicへの場合はnotices@anthropic.comに配信することができます。通知は、(a) 受領当事者による受領時、および (b) 通知を行う当事者が本L.1項(通知)のすべての要件を満たしている場合にのみ有効です。
2. **電子通信**. お客様は、サービスの使用に基づいて、および本規約に関連してAnthropicから電子通信を受け取ることに同意します。適用法で禁止されている場合を除き、電子通信には電子メール、サービスまたはお客様の管理ダッシュボードを通じた通信、またはAnthropicのウェブサイト上での通信が含まれることがあります。Anthropicはまた、お客様のサービス使用に関する、またはお客様がAnthropicから別途要求する電子通信をテキストまたはSMSで提供することがあります。お客様がそのようなメッセージの受信を停止したい場合、お客様はAnthropicに要求するか、またはそのようなテキストに「STOP」と返信することができます。
3. **修正**. Anthropicは本規約をいつでも更新することができ、更新はAWSまたはAnthropicによって掲載されてから30日後、またはお客様が別途通知を受けた日のいずれか早い日に有効となります。ただし、法律または規制の変更に対応するための更新は、掲載または通知のいずれか早い時点で直ちに有効となります。変更は遡及的に適用されません。本規約のその他の修正は、両当事者によって署名された書面による場合を除き、効力を持ちません。本規約から生じる権利または救済の行使の怠りまたは遅延は、権利放棄と解釈されず、解釈されないものとします。また、権利または救済の単一または部分的な行使は、そのような権利または救済の将来の行使を妨げるものではありません。
4. **譲渡と委任**. いずれの当事者も、相手方の事前の書面による同意なしに、本規約に基づく権利を譲渡したり義務を委任したりすることはできません。ただし、Anthropicはその事業のすべてまたは実質的にすべての売却の一部として、その権利を譲渡し義務を委任することができます。上記で許可されている場合を除き、譲渡または委任の試みは無効です。許可された譲渡または委任は、契約当事者または譲受人を本規約に基づく義務から解放するものではありません。本規約は両当事者およびそれぞれの許可された後継者および譲受人を拘束し、その利益のために効力を持ちます。
5. **分離可能性**. 本規約の規定が任意の管轄区域において無効、違法、または執行不能である場合、そのような無効性、違法性、または執行不能性は、本規約の他の条項または規定に影響を与えず、また他の管轄区域においてそのような条項または規定を無効または執行不能にするものでもありません。いずれかの条項またはその他の規定が無効、違法、または執行不能であると判断された場合、両当事者は両当事者の元の意図をできるだけ反映するよう本規約を修正するために誠意をもって交渉します。
6. **解釈**. 本規約は、いずれの当事者も起草者とみなされることなく、相互に解釈されます。文書およびセクションのタイトルは便宜上提供されており、解釈されるものではありません。「例えば」または「含む」または「または」という語句は限定的ではありません。
7. **準拠法;裁判地**.
a. 本規約は、法の選択に関する規定を適用することなく、準拠法に従って解釈されます。「準拠法」とは、(i) EEA、スイスまたは英国のお客様の場合、アイルランドの法律、および (ii) その他すべてのお客様の場合、カリフォルニア州の法律を意味します。
b. I項(紛争)に従って仲裁によって解決することが要求されていない本規約に関連する訴訟、行動、または手続きは、裁判地において専ら提起され、各当事者はその専属管轄権に取消不能の形で服します。「裁判地」とは、(i) EEA、スイスまたは英国のお客様の場合、アイルランドの裁判所、および (ii) その他すべてのお客様の場合、カリフォルニア州に所在する連邦または州裁判所を意味します。
8. **輸出および制裁**. お客様は、米国またはその他の適用される国際法の下で禁止されている人物または事業体または国に対して、または禁止されている用途のためにサービスを輸出または提供してはなりません。前述の文を制限することなく、この制限は (a) 米国からの輸出または当該国への輸出が適切なライセンスを最初に取得せずに禁止または違法とされる国、および (b) 米国の制裁の対象となる個人、事業体、または国に適用されます。
9. **統合**. 本規約(AUP、Anthropicの公表料金および本規約によって参照により組み込まれるその他の文書または条件を含む)は、サービスの提供および使用に関する両当事者の完全な理解を構成します。本規約は、サービスに関する両当事者間の他のすべての理解および合意に優先します。
10. **不可抗力**. いずれの当事者も、合理的な制御を超えた状況により引き起こされた範囲において、履行の不履行または遅延について責任を負いません。
本EULAならではの内容
ざっと確認してみましたが、今回読んでみたEULAならではの内容について簡単に整理します。
クラウドサービス特有の条件
- 一般的なEULAがソフトウェアの使用許諾に焦点を当てるのに対し、この規約はAWS Bedrockという特定のクラウド環境を通じて提供されるAIサービスに特化
- AWSアカウントとの関係性やAWSに対する支払いについての条項が含まれている
AIサービス特有の規定
- アウトプット(AI生成物)の所有権を明示的にユーザーに帰属させている
- AIモデルのトレーニングに関する制限事項(お客様データでのトレーニング禁止)
- ファインチューニングサービスに関する特別規定
責任分散の構造
- 3者構造(ユーザー、Anthropic、AWS)における責任の明確な区分
- AWSが提供する基盤技術についてAnthropicが責任を負わない旨を明記
地域による法的差異の明確化
- EU/EEA/UKのユーザーとその他の地域のユーザーで適用法や紛争解決場所を明確に区別
- 国際的なサービス提供を意識した構造
出力に関する特別な警告
- AI生成コンテンツの限界と潜在的な問題(事実の不正確さなど)についてユーザーに通知する義務
- ユーザーによる出力評価の責任を強調
データの扱いに関する透明性
- 使用データとお客様コンテンツの明確な区別
- Anthropicがお客様のAWSインスタンスにアクセスできないことの明示
これらの違いは、AIサービスという新しい技術領域の特性と、クラウド環境での提供形態に合わせて調整されたものです。特に、生成AIの出力に関する責任の明確化、データの取り扱い、およびマルチクラウド環境での責任分担に重点が置かれています。
まとめ
EULA読んでみると以下のようなことがわかりました。
- AIサービスの利用においては、従来のソフトウェアEULAとは異なる条項が含まれている
- 生成された内容の所有権、データのトレーニング禁止、出力の評価責任 など
- ユーザー、AIサービス提供者(Anthropic)、クラウドプラットフォーム(AWS)という3者間の責任分担も明確に規定されている
おわりに
今回初めてEULAをちゃんと確認し、どのようなことが書かれているのかを知ることができました。もしかすると(運がよければ?)、読まなくても困ったり不利益を被ったりすることはないかもしれませんが、どういった取り決めでモデルを使うことができているのかを知っておくことはとても大事なことだと感じました。(エンジニアとして当たり前であるべきことだとも思いました)
今後は、こういったことにも意識を向けられるようになれればと思います。
ありがとうございました。