今回は因果推論について、ご紹介をしたいと思います。私も、初学者として勉強中のため誤り等がある可能性があります。その際は、ご指摘いただけますと幸いです。
近年、日本でも流行りつつある因果推論ですが、まだまだ日本語の出版物等が少ないため、色々としらべました。自分が躓いたポイントや文系の私にとって理解しずらかったポイントなどを纏めながら記事を作りたいと思います。
突然ですが、私が大学生となったばかりの頃、統計学の講義を取った際、最初の授業で面白い問題が出されました。(有名な問題ですが、もし初見であれば皆さんも一度考えてみてください。)
◇問題内容◇
アメリカのある州では、アイスクリームが売れる日は凶悪犯罪がよく起こる。それはなぜか。
当時の私は統計に関する知識が全くなかったため、頭の中では次の様な妄想が膨らんでいました。
真面目に働いていたサラリーマンが、アイスクリームを食べると、突然世紀末の様な風貌に変身を遂げてしまうのか・・・、あるいは、アイスクリームにドラッグなどが入っていて、人格を変えてしまったのか・・・。(想像力が豊かですね(笑))
これは、有名な疑似相関の問題です。実は、アイスクリームがよく売れる日と言うのは、暑い夏の日のことを指しています。次のグラフをご覧ください。
ICBS Everywhere "The Logic of Causal Conclusions: How we know that fire burns, fertilizer helps plants grow, and vaccines prevent disease",October 1, 2014,
http://icbseverywhere.com/blog/2014/10/the-logic-of-causal-conclusions/
横軸は一年間の月を表しています。赤色のラインはアイスクリーム販売量、黄色のラインは犯罪数を表しています。
確かに、アイスクリームがよく売れる日は夏真っ盛りであることは納得できます。また、諸説ありますが、夏に犯罪数が増加する理由は、夏は薄着で外出することが多く、その女性が犯罪に巻き込まれてしまうためや、暑さによってイライラするためと考えられています。日本ではあまりピンとこないかもしれませんが、実際のデータからそのような相関関係があると認識できます。
上記の例は、因果関係を表したものではありません。アイスクリーム屋さんの販売を停止し、アイスクリームの販売量を下げたとしても、おそらく犯罪数が減少することはないでしょう。それどころか、よりイライラしてしまい、犯罪が増加してしまう可能性も考えられます。
因果推論の第一人者でもあるジューディア・パールによると、今までの古典的な統計学は、相関関係のみを取り扱っており、原因や因果は全く考慮にいれていないとの事です。それに比べて、因果推論という新しい道具を使うことによって、「原因とそれによって生じる結果の関係」という因果関係を推定することができます。
もう少し具体的な例を考えてみます。現在、私は銀行に勤めていますので、実際に金融営業で起こり得そうなケースを考えてみます。
ここでは、広告効果について考えてみたいと思います。架空の銀行の一場面ですが、サービスインした新しい投資信託商品の売れ行きが乏しかったため、インターネット等に広告を打ち出すことにしました。すると投資信託の売れ行きは上昇しましたが、インターネット広告を打ち出した同時期に、専門の投資信託販売員の人員強化も行っていました。同時期に色々な施策を行っていると、何が原因で投資信託の販売量が増えたのか分かりません。そのような際に役立つのが、因果推論・因果探索というツールです。
次回以降の記事で、実際のpythonにおけるコード等を解説したいと思います。
◇参考にした文献
【1】「つくりながら学ぶ! Pythonによる因果分析 ~因果推論・因果探索の実践入門」
→ かなり初心者向けにかかれている書籍です。数式等も理解しやすく、文系でもなんとかくらいつけそうです。
【2】因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか
→ ジューディア・パールによる入門書。数式等は一切でてこない。歴史書のようなもの。
【3】入門 統計的因果推論
→ 数式ばかりで、因果推論を勉強する初めの書籍としては高難易度。