Synology NASのバックアップファイルをAWS S3に移行した話【低コスト&災害対策】
はじめに
家庭用NASのバックアップ先として、これまでRAID1のみで冗長性を確保していましたが、
災害(地震・火災・盗難など)リスクには弱いことから、クラウドへのバックアップ構築を決意しました。
構築にあたり、ChatGPT-4oを活用し、Amazon S3 Glacier Deep Archive への
コスト最適かつ安全な自動バックアップ構成を完成させました。
この記事では、その設定内容・料金・注意点をまとめます。
✅ 構成概要
項目 | 内容 |
---|---|
NAS機種 | Synology DS218j |
ディスク構成 | RAID1 → JBOD(実容量を約2倍に拡張) |
バックアップ方式 | Synology Hyper Backup(差分・圧縮・暗号化) |
バックアップ先 | AWS S3(リージョン:us-west-2/オレゴン) |
ストレージクラス | S3 Standard → 自動で Glacier Deep Archive |
容量 | 約5TB |
実行頻度 | 毎週 月曜 1:00 |
バージョン管理 | Smart Recycle(最大10世代) |
整合性チェック | 毎週 日曜 17:30 |
コスト見積(保存) | 約 $5.07/月(≒¥740) |
✅ AWSの設定
IAMユーザー作成
- 「プログラムによるアクセス(API)」を許可
- 以下のカスタムポリシーを割り当て、バケットの一覧取得と操作を最小限許可:
{
"Version": "2012-10-17",
"Statement": [
{
"Effect": "Allow",
"Action": ["s3:ListBucket"],
"Resource": "arn:aws:s3:::<バケット名>"
},
{
"Effect": "Allow",
"Action": ["s3:GetObject", "s3:PutObject", "s3:DeleteObject"],
"Resource": "arn:aws:s3:::<バケット名>/*"
},
{
"Effect": "Allow",
"Action": ["s3:ListAllMyBuckets", "s3:GetBucketLocation"],
"Resource": "*"
}
]
}
<バケット名>
は任意の小文字英数字で作成(例:my-nas-backup-bucket
)
S3バケット設定
- バケット作成リージョン:
us-west-2(オレゴン)
- プレフィックス:
backup/
(Hyper Backup側で指定) - ライフサイクルルールを設定:
アクション: アップロードから0日で Glacier Deep Archive に自動移行
✅ Hyper Backupの設定内容
- バックアップ先:S3 カスタムサーバー
- サーバーアドレス:
s3.us-west-2.amazonaws.com
- バケット名:作成したバケット名を指定(例:
my-nas-backup-bucket
) - ディレクトリ:
backup
(任意) - アクセスキー/シークレットキーを入力
- 圧縮:有効化
- 転送時暗号化:有効化(ローカル暗号化は任意)
- スケジュール:毎週月曜 1:00
- 整合性チェック:毎週日曜 17:30
- バージョン管理:Smart Recycle/最大10世代
✅ コスト試算(5TB想定)
内訳 | 金額(USD) |
---|---|
Glacier Deep Archive保存費 | $0.00099 × 5120GB = 約 $5.07/月 |
S3 Standard初日分(移行前) | $0.023 × 5120GB ÷ 30 ≒ 約 $3.83(初回のみ) |
✅ 初月のみ合計約 $ 8.90ドル、それ以降は毎月 $ 5.07ドル 前後
✅ なぜGlacier Deep Archiveか?
- 復元には最大12時間かかるが、災害用バックアップとしては問題なし
- 月額コストは最安クラス(Standardの約1/20)
- Hyper Backupから直接保存できないため、S3 Standard → 自動移行がベストプラクティス
✅ ChatGPT-4oを使って良かったこと
- IAMポリシーやストレージクラス選定など、技術的判断が高速でできた
- NAS・AWS両者の仕様に合わせた設定案内が的確
- 疑問点をその場で解消できるので、学習しながら構築が進む
✅ この構成が向いている人
- NASを自宅で運用しており、災害リスクが気になる
- バックアップ先のコストを最小限にしたい
- 手間をかけず、放置で自動化したい
- 復元に時間がかかっても構わない(≒最終防衛手段)
✅ おまけ:次に検討してもよいこと
- Hyper Backup Explorer(PC用アプリ)で復元テスト
- AWS請求ダッシュボードの定期確認
- DSM通知設定による成功/失敗通知のメール受信
✅ まとめ
ChatGPT-4oを活用しつつ、手元のSynology NASから
月数百円で災害に強いクラウドバックアップ構成を作ることができました。
構築が終わってからは完全自動化されており、放っておいても安全にバックアップが継続されています。
同様の構成を考えている方の参考になれば幸いです。