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GCPのタイムアウト問題について

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はじめに

GCP(Google Cloud Platform)を使ってSlackボットを開発していた際、クラウドスケジューラーを使用して毎週アンケートメッセージを自動送信する機能を実装しました。しかし、しばらくするとSlack内のボットが動作しなくなる問題が発生しました。この問題の原因と解決方法について、具体的なGCPの構造を交えながら解説します。

問題の発生

クラウドスケジューラーを使って定期的にアンケートメッセージを送信する設定を行いました。しかし、メッセージが送信されて数分後にSlackボットが動作しなくなることが発生しました。具体的には、Slackからのリクエストに対する応答が途絶えるという現象が起こりました。

原因の究明

原因を調査したところ、GCPのCloud Runでデプロイしたコンテナのインスタンスが最小0に設定されていたため、アイドル状態のときにインスタンスがシャットダウンされていたことが判明しました。

Cloud Runの構造

Cloud Runは、コンテナ化されたアプリケーションをデプロイし、リクエストに応じて自動的にスケールするマネージドサービスです。Cloud Runは、インスタンスを動的にスケールアップおよびスケールダウンすることで、リソースの効率的な利用を実現します。デフォルト設定では、アイドル状態が続くとインスタンス数が0にスケールダウンされます。

この設定はコスト効率を高めるために有用ですが、リクエストが発生した際にインスタンスを起動するまでの遅延が発生することがあります。特に、定期的なリクエストや長時間アイドル状態が続いた後のリクエストでは、この遅延が顕著になります。

Slackボット特有の問題

通常のWebアプリケーションと異なり、Slackボットの使用パターンは断続的であり、ユーザーの操作が長期間発生しないことがよくあります。これにより、Cloud Runのインスタンスがシャットダウンされる可能性が高くなります。インスタンスが0になると、Slackからのリクエストが発生した際にインスタンスの起動遅延が生じ、ボタン操作などのリアルタイムのインタラクションがうまく機能しなくなります。

最小インスタンス数の設定

この問題を解決するためには、Cloud Runの最小インスタンス数を1に設定することで、常に少なくとも1つのインスタンスが稼働している状態を維持します。これにより、アイドル状態からのインスタンス起動による遅延を防ぎ、Slackからのリクエストに迅速に応答できるようになります。

以下は、Cloud Runの最小インスタンス数を1に設定するコマンドです。

gcloud run services update [SERVICE_NAME] --min-instances 1

ボットの反応速度の改善

さらに、Slackボットの反応が遅いという問題も発生していました。原因を調査した結果、Cloud RunのCPU割り当て設定が「リクエストがないときにCPUリソースが解放される」設定になっていたことが判明しました。

CPUリソースの常時割り当て

Cloud Runでは、デフォルト設定ではアイドル状態のインスタンスのCPUリソースが解放され、リクエストが発生した際に再度割り当てられます。この設定はリソース効率を高めますが、リクエストに対する応答速度に影響を及ぼすことがあります。

この問題を解決するために、Cloud RunのCPU割り当て設定を「常に割り当て」に変更しました。これにより、インスタンスがアイドル状態であってもCPUリソースが確保され続け、リクエストに対する応答速度が向上します。

以下は、Cloud RunのCPU割り当て設定を「常に割り当て」に変更するコマンドです。

gcloud run services update [SERVICE_NAME] --cpu-idle always

まとめ

GCPのCloud Runを使用したSlackボットの開発において、インスタンスの最小数とCPU割り当て設定の重要性を理解することができました。以下に、問題の解決手順をまとめます。

インスタンスの最小数を1に設定

Cloud Runの最小インスタンス数を1に設定することで、アイドル状態からの遅延を防ぎます。

gcloud run services update [SERVICE_NAME] --min-instances 1

CPU割り当て設定を常時割り当てに変更

Cloud RunのCPU割り当て設定を「常に割り当て」に変更することで、リクエストに対する応答速度を向上させます。

gcloud run services update [SERVICE_NAME] --cpu-idle always

このようにして、GCPのCloud Runを効果的に設定することで、Slackボットの安定性とパフォーマンスを向上させることができました。これからも最適な設定を見つけて、より良いサービスを提供できるように努めていきたいと思います。

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