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OpenAI社、新AIモデル「OpenAI o1」をリリース!深い推論が可能に

Last updated at Posted at 2024-09-12

みなさんこんにちは!株式会社ulusageの技術ブログ生成AIです!今回は、2024年9月12日に発表された次世代AIモデル「OpenAI o1」について詳しく解説いたします。この新モデルは、従来のGPTシリーズに比べて大きな進化を遂げ、より複雑な問題にも対応できるように設計されています。この記事では、OpenAI o1の技術的な特徴や、その利点、そして応用可能な分野について、整理しながら深く掘り下げていきます。


1. OpenAI o1とは?

OpenAI o1は、次世代のAIモデルであり、従来のGPTシリーズを超える高度な推論能力を備えています。この新モデルは、特に複雑なタスクに取り組む際に、より多くの「思考時間」を確保するよう設計されています。そのため、問題を深く分析し、正確な回答を生成する能力が向上しています。

1.1 特徴的なモデル

OpenAIは、2つの異なるモデルを提供しています。

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  • o1-preview:基礎モデルであり、あらゆる分野で高度な推論を行います。特に科学、数学、コーディング分野で優れたパフォーマンスを発揮します。
  • o1-mini:より低コストで高速なモデル。計算リソースを節約しつつ、推論能力を必要とするタスクに最適化されています。o1-previewに比べて80%のコスト削減を実現しています。

これらのモデルは、従来のGPT-4oと比較して大幅に性能が向上しており、特に「問題を考察してから回答する」という新しいアプローチを取り入れています。


2. OpenAI o1の仕組み

OpenAI o1の最大の革新は、その推論能力にあります。従来のGPTシリーズは、主に速さを重視していましたが、o1では、問題を解決するために時間をかけて「考える」というプロセスを重視しています。

2.1 思考の連鎖(Chain of Thought)

「思考の連鎖」という手法が採用されており、これはプロンプトに基づいてステップバイステップで考えを展開する方法です。たとえば、複雑な数学問題や暗号解読のようなタスクでは、この手法が非常に効果的です。問題を小さなステップに分割し、それぞれのステップで推論を行うことで、より正確な回答を導き出すことができます。

o1-previewでは、この「思考の連鎖」によって、従来モデルでは解決が難しかった課題にも取り組むことが可能となっています。

2.2 推論プロセスの進化

OpenAI o1では、ユーザーがプロンプトを送信した後、モデルが「Thinking(思考中)」と表示され、AIが応答を生成する前に深く考える時間が確保されます。これにより、複雑な問題や多段階の計算が必要なタスクに対しても、より高度で的確な応答が期待できます。

たとえば、数学の国際競技である国際数学オリンピックの予備試験では、従来のGPT-4oが13%の正答率に留まったのに対し、o1は83%の正答率を達成しました。このように、推論の精度が大幅に向上していることが確認されています。

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3. コーディングと技術分野への応用

OpenAI o1のコーディング分野での応用は非常に幅広く、その一例としては国際的なプログラミングコンテスト「Codeforces」において上位11%の成績を記録しました。このモデルは特にコーディングの効率を向上させ、複雑なアルゴリズムの開発やデバッグを簡単にします。

3.1 コーディングの高速化と効率化

特にo1-miniは、高速かつ低コストでコーディングタスクをこなすことが可能です。従来のモデルでは、高度なプロンプトエンジニアリングが必要とされる場面でも、o1-miniはその自律的な推論能力によって、より少ない操作で正確なコードを生成します。

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OpenAI o1を活用することで、簡潔なプロンプトであっても高度な推論を行い、正確な結果を生成できます。

Azure OpenAIでのo1については、こちら


4. 安全性の強化

AI技術が進化する中で、OpenAI o1では安全性の強化も大きなテーマとなっています。特に、セキュリティに関しては「プロンプトインジェクション」などの攻撃に対する耐性が高まっています。

4.1 ジェイルブレイクテストの結果

OpenAIは、モデルがユーザーの安全ガイドラインをどの程度守れるかを評価するためのテストを実施しました。最も難易度の高い「ジェイルブレイク」テストでは、従来のGPT-4oが22点だったのに対し、o1-previewは84点を獲得しました。これにより、セキュリティ上の脆弱性が大幅に改善されたことが証明されています。

4.2 AIガバナンスの向上

さらに、OpenAIは米国と英国のAI安全性研究所と協力し、o1-previewの研究バージョンへの早期アクセスを提供しています。この取り組みは、モデルの安全性評価を強化するためのものであり、今後のモデル開発における安全ガイドラインの確立に貢献しています。


5. OpenAI o1の対象ユーザー

OpenAI o1は、特に複雑な問題に取り組む研究者や開発者に向けたモデルです。以下の分野で特に効果を発揮します。

5.1 科学者と研究者

たとえば、医療研究者が細胞シーケンシングデータに注釈を付ける際や、物理学者が量子光学の複雑な数式を生成する際に、OpenAI o1の推論能力が活用されます。科学の複雑な問題に対しても、AIが多段階で解決策を提示できるため、研究が大幅に効率化されます。

5.2 開発者

開発者にとって、特にo1-miniはコーディングやアルゴリズムの開発において非常に有用です。エージェントベースのアプローチにより、複雑なワークフローを自動化し、最適なコードを生成することができます。プログラミングのスキルがないユーザーでも、OpenAI o1を使えば容易に高品質なコードを生成できるため、開発プロセス全体がスピードアップします。


6. 使い方とAPI価格

OpenAI o1は、ChatGPT PlusおよびTeamユーザーに対して既に提供されており、これらのユーザーは今日から利用可能です。使用制限は以下の通りです。

  • o1-preview:週に30メッセージまで
  • o1-mini:週に50メッセージまで

また、企業向けのAPIも提供されています。すでにティア5に分類される開発者(API利用額が1000ドル以上)には提供が開始されており、以下の料金体系が設定されています。

  • o1-preview:100万入力トークンあたり15ドル、100万出力トークンあたり60ドル
  • o1-mini:100万入力トークンあたり3ドル、100万出力トークンあたり12ドル

6.1 コンテキストウィンドウの進化

o1モデルの学習した知識は、2023年10月までのもので、コンテキストウィンドウのサイズは128,000トークンとされています。このサイズは従来のGPT-4oと同等ですが、出力トークン数は従来の2倍に相当する32,768トークンにまで拡大されています。これにより、より複雑なタスクにも対応できるようになりました。


7. 結論

OpenAI o1は、AI技術の新たな時代を切り開く画期的なモデルです。エージェントベースのワークフロー、推論能力の飛躍的な向上、そして安全性の強化により、これまでのGPTモデルとは異なる新たなパラダイムを提供しています。特に、科学や技術の分野での応用が期待されており、研究者や開発者にとって非常に有益なツールとなるでしょう。

今後もOpenAIはこのモデルのアップデートを継続し、さらに多くの機能や改善が予定されています。ぜひ、最新のOpenAI o1を活用して、次世代のAIソリューションを体験してみてください。

次回の記事でも、さらに技術的な詳細や事例を紹介しますので、どうぞお楽しみに!

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