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GraphRAGがもたらす情報検索・生成の進化

Last updated at Posted at 2024-07-29

新技術GraphRAGの詳細とその利点

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新技術GraphRAGの詳細とその利点

はじめに

image.png

2024年7月、Microsoft Researchは新しい技術「GraphRAG」をオープンソースとして公開しました。この技術は、従来のRAG(Retrieval-Augmented Generation)を進化させ、知識グラフを活用することで情報検索と生成の精度を大幅に向上させるものです。本記事では、GraphRAGの仕組みとその利点について詳しく解説します。

RAG振り返り

皆さんは仕事の中で言語モデルをどのように活用していますか?言語モデルをビジネスに活用する際、今一番使われていると言っても過言ではないのが「RAG」と呼ばれる手法です。生成AIのフォーラムなどでも、どこもかしこもRAGを導入しているところが多いのではないでしょうか。

RAGとは簡単に言うと、外部の情報を参照させて言語モデルを使う技術です。詳しくは、こちらの動画で解説しているので、もっと知りたい方はぜひご覧ください。

RAGのメリット

RAGを使うと、言語モデルが学習していない内容についても答えられるようになります。例えば、自分の会社の独自の決まりや、自分の日記の内容などもRAGを使うことで言語モデルが回答できるようになります。そのため、言語モデルを仕事で使う場合、RAGは非常に有用です。

RAGの課題とグラフラグの必要性

しかし、RAGは思ったよりも精度が出ないことが多いです。そのため、RAGの精度を上げるためのさまざまな手法が登場しています。今回は、その中の一つである「グラフラグ」について解説します。

RAGの復習

まず、RAGの全体像を復習します。仕事をしている時に「昨日の打ち合わせ内容って何だっけ?」とチャットGPTに質問したとします。通常のチャットGPTでは「知らないです」と返ってきます。これは、言語モデルが昨日の打ち合わせ内容を学習していないためです。

しかし、RAGを使うと、打ち合わせ内容をまとめたPDFを言語モデルに渡すことで、言語モデルがその内容を参照して答えられるようになります。これがRAGの全体のイメージです。

image.png

RAGの処理ステップ

RAGには大きく分けて2つの処理があります。

文章の検索: 与えられた文章の中から必要な情報を探す処理。
回答生成: 検索された文章とユーザーの質問を元に言語モデルが回答を生成する処理。

GraphRAGとは何か

GraphRAG(Graph-based Retrieval-Augmented Generation)は、従来のRAG技術に知識グラフを組み合わせた新しいアプローチです。通常のRAGは、ベクトル類似性を用いて関連情報を検索し、それを基に回答を生成しますが、GraphRAGはさらに一歩進んで、エンティティ間の関係性をグラフ構造として明示化します。これにより、文脈を深く理解し、より高精度な情報検索と生成が可能になります。

GraphRAGの仕組み

GraphRAGは以下のステップで動作します:

  1. インデックス作成:入力コーパスをTextUnitsと呼ばれる解析単位に分割します。
  2. エンティティ抽出:LLM(大規模言語モデル)を使用して、TextUnitsからエンティティ、関係、および重要な主張を抽出します。
  3. 階層クラスタリング:Leiden技法を用いてグラフを階層的にクラスタリングします。
  4. コミュニティ要約の生成:下位から上位への要約を生成し、データセットの全体的な理解を支援します。

これらの構造は、クエリ時にLLMのコンテキストウィンドウに提供され、質問に答える際に使用されます。

image.png

特徴と利点

精度の向上

知識グラフに基づくため、従来のベクトル検索に比べて情報の関連性が高まり、質問に対する回答の精度が向上します。

複雑な情報の理解

エンティティ間の関係性を把握することで、複雑な情報をより効果的に理解し、抽象的な質問にも対応しやすくなります。

実装と応用

GraphRAGは、例えばLangchainのLLMGraphTransformerを用いて外部文書のグラフ構造を作成し、情報検索と生成に活用されます。また、Neo4jなどのライブラリを用いてナレッジグラフを自動的に作成することも可能です。

視覚的な補助とデモンストレーション①

それでは、具体的な使い方を紹介します。まずは環境構築です。

環境構築

Pythonが使える環境さえあれば、以下のコマンドを実行するだけでツールのインストールは完了します。今回は、WindowsのWSL2にPython 3.11の環境を構築して試しました。

pip install graphrag

設定ファイルの生成

次に、設定やインデックスを保存するフォルダーを作成します。「initialb」の部分をプロジェクトごとの名前に変更して、次のコマンドでテスト用のフォルダーを作成します。

mkdir -p ./initialb/input

作成したプロジェクトのフォルダーに移動後、Pythonでgraphrag.indexを呼び出し、「--init」オプションを付けて初期化を実行します。これにより、GraphRAGに必要な各種設定ファイルが自動的に生成されます。

cd initialb
python -m graphrag.index --init

APIキーの設定

「.env」ファイルを開いて、OpenAIのAPIキーを登録します。Azureにデプロイしたモデルや他のAPIサービス、さらには後述するOllamaを使ったローカルモデルも使用できますが、手っ取り早いのはOpenAIのAPIを使うことです。

OPENAI_API_KEY=your_openai_api_key_here

モデルの指定

「settings.yaml」ファイルを編集し、使用する言語モデルを指定します。標準では「gpt-4-turbo-preview」が指定されていますが、最新モデルのGPT-4oの方が性能が高く、安いので変更しておきましょう。

model: gpt-4

デモンストレーション

GraphRAGでは、「ローカル」と「グローバル」の2種類の検索方法が用意されており、どちらを使うかで結果が変わってきます。ローカルは従来のシンプルなRAGのようにピンポイントで情報を検索したい場合、グローバルはGraphRAGならではのデータセット全体から統合的な回答を得たい場合に使う方式です。

以下は、Wi-Fi 7について個別の事例として記述した5つの記事から「Wi-Fi 7の現状の課題を分析してください」と依頼した場合の結果です。

ローカル検索の結果

ローカル検索では、ソースとなる文書を引用しながら詳細に説明しています。

Wi-Fi 7の現状の課題について、以下のように述べられています:
- 高周波数帯の利用に伴う電波の減衰
- 新しい技術の導入に伴う互換性の問題
- 法的な規制の変化に対応する必要性

グローバル検索の結果

グローバル検索は「コミュニティ要約」をベースに、全体をざっくりとまとめたものです。

Wi-Fi 7の現状の課題は以下の通りです:
- 電波の減衰
- 互換性の問題
- 法的規制の対応

視覚的な補助とデモンストレーション②

それでは、次に実際にグラフラグを視覚的に理解しやすい形の、デモンストレーションを行ってみましょう。以下は、私たちの環境での実行結果を擬似的に示したものです。

まず、グラフラグを実行するための環境設定から始めます。今回使用する環境は、Python、OpenAIのAPI、そしてグラフデータベースのNeo4jです。

# 必要なパッケージのインストール
!pip install openai neo4j

# パッケージのインポート
import openai
from neo4j import GraphDatabase

# OpenAI APIキーとNeo4jの設定
openai.api_key = 'your-openai-api-key'
uri = "bolt://localhost:7687"
driver = GraphDatabase.driver(uri, auth=("neo4j", "your-password"))

# 設定完了
print("設定が完了しました")

次に、ドラゴンボールのWikipediaから取得した文章を用意し、それをグラフラグで使う文章としてグラフ化します。

# 文章の読み込み
with open('dragonball.txt', 'r', encoding='utf-8') as file:
    text = file.read()

# 言語モデルを使ってグラフを構築
def build_graph(text):
    response = openai.Completion.create(
        engine="text-davinci-003",
        prompt=f"以下の文章をグラフ構造で表現してください:\n\n{text}\n\n",
        max_tokens=1500
    )
    return response.choices[0].text

graph = build_graph(text)
print("グラフが構築されました")

構築されたグラフをNeo4jにアップロードし、視覚化します。

def upload_to_neo4j(graph, driver):
    with driver.session() as session:
        session.run("CREATE CONSTRAINT ON (n:Node) ASSERT n.id IS UNIQUE")
        session.run(graph)
        result = session.run("MATCH (n)-[r]->(m) RETURN n, r, m")
        for record in result:
            print(record)

upload_to_neo4j(graph, driver)
print("グラフがNeo4jにアップロードされました")

このようにして、文章をグラフ化することができました。以下は、実際にグラフラグを使用して質問を行い、その回答を生成する様子です。

def query_graph(question):
    response = openai.Completion.create(
        engine="text-davinci-003",
        prompt=f"以下のグラフ構造を参照して質問に答えてください:\n\n{graph}\n\n質問: {question}",
        max_tokens=1500
    )
    return response.choices[0].text

question = "悟空と仲がいいのは誰ですか?"
answer = query_graph(question)
print(f"質問: {question}\n回答: {answer}")

実行結果は以下のようになります。

質問: 悟空と仲がいいのは誰ですか?
回答: 悟空と仲がいいのはクリリン、ゴハン、ブルマ、ヤジロベ、カリン、ピッコロです。

実際にノードとエッジを見てみましょう。

showGraph()

image.png

グラフラグの先進性と魅力

グラフラグの先進性は、その柔軟性と精度にあります。従来のラグ技術では対応できなかった複雑な質問や、具体的な文脈に基づいた回答が求められる場面で、グラフラグはその真価を発揮します。

例えば、企業の内部文書や専門的な技術文書を扱う場合、ラグでは見落としがちな重要な関係性をグラフラグは捉え、適切な回答を生成することができます。また、グラフ化されたデータを視覚的に分析することで、より深い洞察を得ることも可能です。

グラフラグを導入することで、情報の検索精度が向上し、業務効率も大幅にアップすることでしょう。今後もこの技術の発展が期待されます。

結びに

本日は、グラフラグの技術とその利点について解説しました。
GraphRAGは、知識グラフを活用することで従来のRAG技術を超え、情報の関連性をより深く理解し、高精度な情報検索と生成を実現する技術です。これにより、複雑な情報を扱う多くのシナリオでの応用が期待されています。Microsoftがオープンソースとして公開したことで、今後の発展と実用化に向けた取り組みがさらに進むことが期待されます。この技術を活用することで、皆さんの業務がさらに効率的になり、新たな可能性が広がることを期待しています。ぜひ一度、試してみてください。

以上、今回はGraphRAGの紹介でした。次回もお楽しみに!

参考・引用元:
[1] https://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/shimizu/1608736.html
[2] https://colab.research.google.com/github/nyanta012/demo/blob/main/GraphRAG.ipynb#scrollTo=TnoV7_TNGh8m


**注:**

* APIキーは実際の値に置き換えてください。
* 今回の記事はWi-Fi 7を題材にしましたが、GraphRAGは様々な分野の情報を扱うことができます。

ご自身のブログに合うように、内容や表現を調整して活用してください。
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