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Azure FunctionsでPythonとMeCabを使う

Last updated at Posted at 2020-05-05

本記事の目的

Azure Data Factoryの前処理で、MeCabを利用した簡単な自然言語処理(形態素解析+α程度)をしたい。
関数として実装して、後々LogicAppsとか色々なサービスから呼び出せれば便利そう。ということで2つの実装方法を検討した。

  1. Azure Functions(本記事)
  2. Azure DataBricks(Azure DatabricksでPythonとMeCabを使う

機械学習のように重たい処理を行うわけではないのでAzure Functionsで十分だろう、ということで実装してみた。

先に結論を書くと
・Azure FunctionsのHTTP Requestをトリガーとする関数は以下のURLを参考にすれば実装できる

Visual Studio Code を使用して Azure Functions プロジェクトを作成する
https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/azure-functions/functions-create-first-function-vs-code?pivots=programming-language-csharp

・Mecabは.vscodeのrequirements.txtに「mecab-python3」を追記すればFunctions側でも使える

・Azure Functionsの毎月の無料枠がわりと太っ腹なので、しばらくは無料で試せそう

あとはいくつか躓いた点の備忘録です。

理解不足の点も多々あるので、間違いなどあればご指摘下さい。

Azure Functions概要

イベントドリブン型のサーバーレスコンピューティングプラットフォーム。設定したトリガーで起動し、関数の実行中のみコンピューティングリソースを消費するので無駄なコストを削減できる。

課金体系

Functionsのホスティングプランには次の3つがあるが、一番左の「従量課金プラン」がいわゆる通常のサーバーレス。今回はこれを選択した。
スクリーンショット 2020-05-04 19.32.56.png

Azure Functions - 料金設定
https://azure.microsoft.com/ja-jp/services/functions/#pricing

なお、課金は実行数、実行時間、およびメモリの使用量で決まる。毎月リセットされる無料枠があり、「100万実行回数」「400,000GB秒」までは無償らしい。

ランタイムスタック(言語)

.Net Core, Node.js, Python, Java, Powershell Coreから選択できる。
1つ注意する点だが、ランタイムスタックにPythonを選択した場合、OSはLinuxのみ対応となる。Linuxの従量課金プランは現状、日本の両リージョンでは未対応とのことで、別のリージョンを選択する必要がある。(2020年5月現在)
※東日本リージョンでは、2020年の第2QにGA予定
image.png

対応リージョンは「リージョン別の利用可能な製品」から確認できる。

トリガー

Functionsを起動するためのトリガーには、HTTP Request, Timer, BLOB, eventhubなどがある。今回は使い勝手が良さそうなのでとりあえずHTTP Requestで実装。BLOBファイルが作成されたら実行、というのも使いやすそう。

Azure PortalからFunctions Appsを作成

従量課金プランでPythonを使いたかったので、今回はとりあえずリージョンをEast Asiaで作成。(従量課金プラン Linuxに対応していれば別にどこでも良い。地理的にはソウルのKorea Centralの方が近かった。)
スクリーンショット 2020-05-04 20.08.52.png

これでLinuxの従量課金が選択できるようになった。
またFunctionsからリンクするストレージアカウントも用意する必要があるので、今回は新規作成。
スクリーンショット 2020-05-04 20.10.01.png

監視のためのApplication Insightもこのタイミングで作成しておく。
これで実行のログが確認できるようになる。

スクリーンショット 2020-05-04 20.12.17.png

これで作成すると4つのリソースが作成される。

  1. 関数アプリ(Functionsのこと)
  2. Application Insights
  3. ストレージアカウント
  4. App Serviceプラン

料金プランで消費量(サーバーレス)を選択したのに、なぜApp Serviceプランというリソースが作成されるのかは不明。

ローカルでの開発とFunctionsへのデプロイ

.NETの場合はAzure Portalの画面上で関数を作成できるのだが、Pythonの場合には残念ながら対応していない。したがってローカルで開発とテストを実行した後、Functionsにデプロイする、という手順になる。

スクリーンショット 2020-05-04 20.53.27.png スクリーンショット 2020-05-04 20.56.30.png

具体的な手順は以下の記事を参照して進めた。

Visual Studio Code を使用して Azure Functions プロジェクトを作成する
https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/azure-functions/functions-create-first-function-vs-code?pivots=programming-language-csharp

ローカルに以下の環境が必要になるので、インストールしておく。
・Node.js
・Python 3.8、Python 3.7、Python 3.6のいずれか
・Visual Studio Code
・Visual Studio Code 用の Python 拡張機能
・Visual Studio Code 用 Azure Functions 拡張機能
・Azure Functions Core Tools

躓いた点

1. ローカル環境でのAzure Functions実行時のエラー1

FunctionsをLocalで実行する際に権限エラー。

エラーメッセージ
このシステムではスクリプトの実行が無効になっているため、ファイルを読み込むことができません。

PowerShellのExecution Policyを変更する必要があった。
初回だけExecutionPlicyをRemoteSignedにあげて実行すると、その後はRestrictedに戻してもエラーは解消された。
image.png

About Execution Policies
https://docs.microsoft.com/ja-jp/powershell/module/microsoft.powershell.core/about/about_execution_policies?view=powershell-7

2. ローカル環境でのAzure Functions実行時のエラー2

__init__.py上での以下のコードでエラー
import azure.functions as func

エラーメッセージ
Unable to import 'azure.functions' pylint(import-error) [3, 1]

ローカルに複数のPythonバージョンが混在していることによる問題だったようで、他のランタイムに切り替えることによって解決。
image.png

3. FunctionsへのMeCabの追加

.vscodeのrequirements.txtに対してライブラリを追記をするとFunctions側でpip installしてくれるっぽい。
ということで以下を追記。
・mecab-python3

あとはいつも通り。

__init__.py
import MeCab
mecab = MeCab.Tagger("-Ochasen")
parsedsentence = mecab.parse(sentence)

まとめ

FunctionsにおけるMeCab利用は意外にもすぐできた。今回の目的に合致するものはFunctionsで十分。
(ただしmecabの辞書本体がどこにあるのか含め、なぜ動くのかいまいち理解できてません...)

従量課金プランは最大のタイムアウトまでの時間が10分になっているので、あくまでも軽量の実行用。もう少し手の込んだものを実行する場合は、Functionsでも別のホスティングプランを利用するか、いっそDataBricksを採用するのが良さそう。

Azure Functions のスケールとホスティング
https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/azure-functions/functions-scale#service-limits

image.png

費用の確認

Azure PortalからMetricを呼び出すことによって、かかった費用が分かる。
「入力の1文に対してMecabで形態素解析した結果を返す」というシンプルな関数を1回実行した結果が以下の通り。

image.png

単位はFunction Execution Unitを選択すればよい。Function Execution Unitの単位は【MB milliseconds】なので、これを課金の単位である【GB seconds】に変換する。

今回は163.58 k = 163,580 MB millisecondsなので、
163,580 / 1,024,000 = 0.15974609375 【GB seconds】

毎月「100万実行回数」「400,000GB秒」までは無償ということで、多少テストするくらいなら全然無償枠で収まりそう。
もちろん、同時に作成しているBLOBなどの課金は発生するので注意。

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