株式会社オルツは日本語LLM LHTM (ラートム) を開発し、それを個人を代行できるパーソナルAIとして応用している会社である。昨年、今年とオルツコンファレンスに参加させてもらい、その勢いを感じてきた。
その代表取締役の米倉千貴氏からLinkedInでスカウトのメッセージが来た。私の経験を高く評価してもらってうれしい。現在フルタイムで働くことはできない状況にあるが、業務委託での参画も可能だということで、魅力的な話だ。
まずはAI面談でということで、オルツのパーソナルAI alt BRAINによって作られた米倉氏のクローンとの面談をすることになった。単なるチャットボットではなく、CEOのクローンともなれば、きっと実りのある対話ができるに違いない、とこの点でも魅力を感じた。
AI面談までの事前のやり取りは、米倉氏本人ではなく、採用担当の方から回答が来ていた。
実際のAI面談は先方の質問に答える形で進んだが、私からの回答には、他組織とのコラボレーションやキラーアプリの提案など、CEOだったら反応するだろうと思われる内容を混ぜ込んだつもりである。それに対する言及が相手からなかったので、その点ではちょっと期待はずれだった。
面談後の報告メッセージの中に、米倉氏あてに以下のようなAI面談を行った感想を含めた。
AI面接の機会をいただきありがとうございました。貴重な体験だったと思います。少しディレイはあるものの、会話の流暢さや相手の話に合わせた会話など感銘を受けました。
ただ気になる点もありました。
一つはこれってCEOのクローン = CEOの仕事の代行ができるエージェントになっているのか、ということです。今回のような一次面接ですと、もともとCEOが行う業務ではないように思います。それでも採用担当の仕事の軽減になるからよいではないかという議論もあるかと思いますが、結局採用担当者は今回の録画を同じ時間かけてみることになり、時短にはつながらないのではないでしょうか。ただ、スケジュール調整のコストが削減されるというメリットは分かります。
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もう一つは会話の流れです。もともと決めてあるステップに沿って進んでいたのですが、これはIF-THEN-ELSEで会話の流れを定義するチャットボットと変わらないではないでしょうか。相手がインタラプトをかけて質問するようなことは可能なのでしょうか。業務を代行するクローンとしては、臨機応変に会話が必要になると思います。
この感想に関しても米倉氏ではなく採用担当の方から回答があった。CEOの代行とは言えないが採用の効率化に役に立っている。面接から評価までの一連の流れを自動化できるとのこと。また、採用面接の流れにそった会話になるように設定しているとのこと。
AI面接の次のステップに関しては、人事部で調整ということだったが、1か月たっても何のメッセージも来ていない。途中で状況の問い合わせも行ったが、これに対しても回答は来ていない。
という訳で、まだ米倉氏とは直接話ができていない。もしかしたら最初のメッセージから米倉氏ではなく採用担当の方からきていたのかもしれない (ぬか喜びだったということになる)。さらに言うとこれらすべてのメッセージをAIが書いて出しているのかもしれない。オルツはAIクローンが行う仕事にも報酬を出すとのことだが、そうすると従業員の知らないところでAIが暴走する可能性があるのではないか。オルツが推進するパーソナルAIも怖くて使いどころが分からないということになりかねない。
これとは別件で、オルツのAI GIJIROKU の売り込みの電話があった。Zoom面談で説明させてほしいとのことで、スケジュールを設定し、会議室に入って待っていたが、結局相手は入ってこなかった。最初の電話もAIの暴走だったのだろうか。
また、6月26日に行われた新規事業カンファレンス OFFROAD 2024で、オルツの人もプレゼンされていたので、メッセージを送ったのだが、こちらも反応がない。