ServiceNowのSan DiegoバージョンでリリースされたDigital Portfolio Managementについて調べました。
Digital Portfolio Managementとは
Digital Portfolio Management(以下DPM)はServiceNowの中で管理されているサービスやアプリケーションのライフサイクル全体を1つのビューで確認するためのWorkspaceを提供します。
例えば、ある会社が新たなシステムを自社に導入したと仮定します。
そのシステムに対する問合せの管理や、発生したバグの問題管理、プログラム修正の変更管理はServiceNowのITSMの機能を利用して管理することができます。
また、そのシステムに対する追加開発の要望や、追加開発のプロジェクト管理はServiceNowのSPM(旧ITBM)のProject Portfolio Management(PPM)の機能を利用して管理することができます。
さらに、システムで提供する機能や価値、コスト、テクノロジーなどはSPMのApplication Portfolio Management(APM)で管理できますし、リスクについてはGRCの機能で管理することができます。
ServiceNowの各種製品でシステムのライフサイクルの一部を管理することができますが、これまでライフサイクル全体を一つの画面で管理することはできませんでした。
DPM Workspaceはこれを可能にするために開発された機能のようです。
以下のURLは公式ドキュメントに記載されている概念図です。
上記で紹介したのはアプリケーションのライフサイクル管理の例ですが、DPMではサービスのライフサイクルも管理することができきます。
ServiceNowのカタログアイテムで提供しているサービスの稼働状況や、そのサービスの改善計画の管理、改善計画の実施状況なども管理することが可能です。
実際の画面
では、実際にどのような画面でライフサイクルを管理するのか見てみたいと思います。
サービスのライフサイクル
下図がDPMのWorkspaceの画面です。
これはDB migration Offeringというサービスの情報を表示しています。
画面内に「プラン」「ビルド」「実行」「情報」というタブがありますが、これがライフサイクルのステージを表しています。
プランタブには以下のような情報が表示されています。
- サービスのロードマップを表示するためのボタン(APMのAlignment Planner Workspace に遷移する)
- このサービスに関するアイデア数(PPMのアイデア)
- このサービスに関する承認済のデマンド(PPMのデマンド)
- 今後30日以内に開始するプロジェクト
※これらの情報を表示するためにはITSM以外の適切なライセンスとプラグインが必要になります
次にビルドタブのイメージです。
ここには現在実行中のプロジェクトの情報が表示されます。
また、ITSMの変更要求や改善イニシアチブ(継続的改善管理のデータ)も表示されるようになっています。
改善イニシアチブについてはプラグインのインストールが必要となります。
実行タブのイメージは以下のようになっています。
提供しているサービスの稼働率等のKPIが表示されます。
KPIの表示にはPAのライセンスとプラグインのインストールが必要になります。
また、KPIはマスタによる構成が可能となっています。
ここまでで紹介してきたのはサービスに関するライフサイクルですが、アプリケーションの情報を表示した場合は、一部表示内容がことなります。
例えば、アプリケーションのビルドタブには、進行中のAgileプロジェクトのエピックやストーリの情報も表示されるようです(こちらもライセンスとプラグインが必要です)
以上のように、DPMではITSMやSPM、GRCなどの各種製品で管理している情報を一つのWorkspaceで見られるようになっています。
ポートフォリオ
最後にDPMの「P」の部分の機能について紹介したいと思います。
DPMの「P」はポートフォリオを表しています。
このポートフォリオという概念は、SerivceNow内で管理しているサービスやアプリケーションを任意のグループにまとめるためのものです。
DPMでは、ユーザが共通して利用できるエンタープライズポートフォリオとユーザが個々に独自に作成できる個人ポートフォリオを作成できるようになっています。
例えば人事に関するサービスやアプリケーションを一つのエンタープライズポートフォリオにまとめ、稼働状況や進行中のプロジェクトの情報をKPIとして表示するようにしたりすることが可能です。
また、一人の担当者が自分が関与しているサービスやアプリケーションを個人ポートフォリオにまとめ、情報を1か所で管理、参照できるようにすることも可能になっています。
以上