割り当て可能な IP アドレス数の算出について (身内向け)
質問を頂いたので回答します。
ISPはあなたの使用のためのIPブロックを与えています。
ブロックは192.168.112.64/29です。
ネットワーク管理者は、彼があなたのネットワークにインストール
されているルータの使用可能な最初のIPアドレスを
使用している場合、いくつの使用可能IPアドレスが
残っているのですか?
相変わらず日本語が難解ですが, ポイントは以下の通りです。
- ネットワークアドレスは 192.168.112.64/29
- 既にルーターが設置されている. つまり, IP アドレスが 1 つ割り当てられている。
- IP アドレスは, あといくつ割り当てることが出来るか?
まずは, 以下の通りに算出していくのが正攻法でしょうか。
- サブネットマスク を算出する。
- ネットワークアドレス と ブロードキャストアドレス を算出する。
- 割り当てることが出来る IP アドレスの数 を算出する。
サブネットマスク を算出する。
192.168.112.64/29 の /29 がヒントです。
/29 は CIDR (サイダー) 形式と言って, サブネットマスクを短く表記したものです。(と, 今は理解してください。)
CIDR の正体は 1 がいくつ並んでいるか, を示したものになります。
今回の場合, 1 が 29 個ですので, 11111111 11111111 11111111 11111
となります。
ただ, IP アドレスは 32 ビットですので, 32 桁にする必要があります。
足りない部分は 0 で補いましょう。
そのため, 最終的には 11111111 11111111 11111111 11111000
となります。
さて, これを 8 桁ずつ区切って 10 進数に直したものがサブネットマスクになります。
8 桁の場合, 左の桁から 128, 64, 32, 16, 8, 4, 2, 1
と表すことが出来ます。
1111 1111
は 128 + 64 + 32 + 16 + 8 + 4 + 2 + 1
なので, 255 になります。
同様に, 1111 1000
は 128 + 64 + 32 + 16 + 8
なので, 248 となります。
(0 に相当する 4 と 2 と 1 は足しません。)
そのため, サブネットマスクは 255.255.255.248 となります。
ネットワークアドレス と ブロードキャストアドレス を算出する。
IP アドレスには割り当てることが出来ないアドレスが 2 種類あります。
ホスト部が全て 0 の ネットワークアドレス と,
ホスト部が全て 1 の ブロードキャストアドレス です。
どうやって算出するかというと, サブネットマスクが 255 と 0 でない 部分を使います。
今回の場合は, 255.255.255. 248 の 4 つ目の部分です。第 4 オクテット, と言います。
IP アドレスは 192.168.112.64 なので, IP アドレスの第 4 オクテットは 64 です。
64 を 2 進数に変換すると, 0100 0000
になります。
ここで, IP アドレスとサブネットマスクを比較しましょう。
種別 | 8 桁目 | 7 桁目 | 6 桁目 | 5 桁目 | 4 桁目 | 3 桁目 | 2 桁目 | 1 桁目 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
IP アドレス | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
サブネットマスク | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 |
サブネットマスクの 1 桁目から 3 桁目が 0 となっていますね。
つまり, 1 桁目から 3 桁目が全部 0 の IP アドレスがネットワークアドレス。
逆に, 1 桁目から 3 桁目が全部 1 の IP アドレスがブロードキャストアドレスになります。
- ネットワークアドレスの第 4 オクテット:
0100 0000
(10 進数で 64) - ブロードキャストアドレスの第 4 オクテット:
0100 0111
(10 進数で 71)
というわけで, ネットワークアドレスとブロードキャストアドレスはそれぞれ以下の通りになります。
- ネットワークアドレス: 192.168.112.64
- ブロードキャストアドレス: 192.168.112.71
割り当てることが出来る IP アドレスの数 を算出する。
ここまで来ればあと一息。
割り当てることが出来る IP アドレスの数は,
「ホスト部が全て 0 のアドレスから, ホスト部が全て 1 のアドレスまでの中で,
割り当てちゃいけないアドレスを引いたもの。」になります。
ややこしいですね。
今回の場合, ネットワークアドレスからブロードキャストアドレスまでを表にすると, 以下のようになります。
10 進数 | 第 4 オクテットを2 進数にしたもの | 備考 |
---|---|---|
192.168.112.64 | 0100 0000 |
ネットワークアドレス (割り当て不可) |
192.168.112.65 | 0100 0001 |
|
192.168.112.66 | 0100 0010 |
|
192.168.112.67 | 0100 0011 |
|
192.168.112.68 | 0100 0100 |
|
192.168.112.69 | 0100 0101 |
|
192.168.112.70 | 0100 0110 |
|
192.168.112.71 | 0100 0111 |
ブロードキャストアドレス (割り当て不可) |
192.168.112.65 から 192.168.112.70 までが割り当てられる, ということが見えるでしょうか。
そのため, 192.168.112.65 から 192.168.112.70 までの 6 つが割り当て可能な IP アドレス数,
と答えたいところですが, 罠があります。
- 既にルーターが設置されている. つまり, IP アドレスが 1 つ割り当てられている。
コレです。
65 から 70 の内, 既に 1 つ割り当てられてしまっています。
そのため, 最終的な答えは 6 - 1 = 5
となります。
出来れば以下の参考文献も読んでみてください。
参考文献
以上。