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既存RailsアプリでNext.jsへの段階移行を始めた話

Last updated at Posted at 2022-09-30

背景

あるRailsアプリの新機能開発の様子

PM

「〜〜という新機能を追加します」

BE

「(routerに新しいリソース書いて)」
「(新しいモデルとDBマイグレーション書いて)」
「(コントローラとモデルにロジック書いて)」
「(viewテンプレートには仮でマークアップして)」

<仮のdiv>
  <% @items.each do |item| %>
     <仮のdiv>
       <%= item.name %>
       <%= button_tag :item_button %>
     </仮のdiv>
  <% end %>
</仮のdiv>

「マークアップお願いします」
「それとボタンクリックしたら〜〜するようにお願いします」
「>FE」

FE

「マークアップして」

<適切なタグ class="適切なクラス">
  <% @items.each do |item| %>
     <適切なタグ class="適切なクラス">
       <%= item.name %>
       <%= button_tag :item_button,
           id: "item-button-#{item.id}" %>
     </適切なタグ>
  <% end %>
</適切なタグ>

「JS,CSS書いて」

// 略

問題点

BE/FEが終わるまで双方待ちが発生する

「(viewテンプレートには仮でマークアップして)」

が終わるまでFEに引き渡せません。
その逆の、FE工程が終わらないとBEが始められないケースもしばしばあります。

BEの人にFEの知識が必要になる

<仮のdiv>

後続のFEの人に渡せる程度にはHTMLを仮組みできる必要があります。
JSやCSS事情の把握が必要なケースもたまにあります。

FEの人にBEの知識が必要になる

       <%= button_tag :item_button,
           id: "item-button-#{item.id}" %>

・ruby(erb)の文法
・タグヘルパー(button_tag)など、Railsが提供するものの動き
・BEから値をどうやって入手するか( #{item.id}
などの知識が必要になります。 

どうしたかったか

・FEをReactで書きたかった
・BEはAPIに専念したかった
・FE/BEでgitリポジトリを分けたかった

構成

gairyaku1.png

前段にCloudFront distribution を設置し、 1~数画面ずつ移行できるようにする を実現しています。
狙った画面(/func_a)だけNext.jsへ、それ以外は従来のRailsサーバへ送るようにしています。

Next.jsはAmplifyにデプロイしています。
前述のCloudFront distribution でリプレイス対象に選択したパスをAmplifyで受け付けます。

Next.jsのリポジトリ作成

リプレイス後のFE環境となるNext.jsアプリケーションを新規作成します。
create-next-appで新規に作成します。

npx create-next-app --example with-typescript example_app

BEとのデータ交換はGraphQLで行うので、必要なライブラリを入れておきます。

yarn add @apollo/client graphql

pages/_app.tsx を加工

少し脚色していますが、だいたいこんなコードです。

pages/_app.tsx
import { useState, useEffect } from 'react';
import { ApolloClient, InMemoryCache, createHttpLink, ApolloProvider } from '@apollo/client';
import { setContext } from '@apollo/client/link/context';
import { AppProps } from 'next/dist/shared/lib/router/router';

const httpLink = createHttpLink({
  uri: 'https://example.com/api/graphql',
  credentials: 'same-origin' // リクエストにCookieを付与
})
const authLink = setContext((_, { headers }) => {
  return {
    headers: {
      ...headers,
      'x-csrf-token': sessionStorage.getItem('x-csrf-token') // リクエストにCSRFトークンを付与
    }
  }
})
const client = new ApolloClient({
  cache: new InMemoryCache(),
  link: authLink.concat(httpLink)
})

function MyApp({ Component, pageProps, router }: AppProps) {
  const [isLoggedIn, setIsLoggedIn] = useState(false);

  useEffect(() => {
    // ここでapolloを呼ぶ方法が分からなかったので、fetchAPIを使っています
    // もしかしたらFEの人が直してくれているかも
    fetch(`https://example.com/api/current_user`, { credentials: 'include' })
      .then(response => {
        if (!response.ok) return router.push('/login'); // 未ログインの場合はログインページへ

        setIsLoggedIn(true);
        sessionStorage.setItem('x-csrf-token', response.headers.get('x-csrf-token')) // レスポンスヘッダからCSRFトークンを取得
      })
      .catch(error => {
        router.push('/login'); // サーバエラーはログインページへ
      })
  },[router.pathname])

  if(isLoggedIn) {
    return (
      <ApolloProvider client={client}>
        <Component {...pageProps} />
      </ApolloProvider>
    )
  }
}

export default MyApp;

注意すべきは
・Cookie
・CSRFトークン
の2点で、それぞれ解説を書きます。

Cookie

const httpLink = createHttpLink({
  uri: 'https://example.com/api/graphql',
  credentials: 'same-origin' // リクエストにCookieを付与
})

トークン認証でなくCookieで認証します。 

なお、example.com のようにAppサーバとAPIサーバが同じ前提で書いています。

もしAPIサーバがapi.example.com などでサブドメインが異なる場合は、credentials: 'include' を使います。
(Rails側のsession_store設定にも関わります)

CSRFトークン

フルスタックWebフレームワークには大体CSRF対策としてこの仕組みがあると思います。
これを付与せずにPOST(/PUT/DELETE/...)を送るとブロックしてくれる仕組みです。

POST(/PUT/DELETE/...)を送るためには、Railsが払い出すトークンを入手する必要があります。
本構成では、ログイン状態確認のためのリクエスト

fetch(`https://example.com/api/current_user`, { credentials: 'include' })

が成功したとき、

sessionStorage.setItem('x-csrf-token', response.headers.get('x-csrf-token')) // レスポンスヘッダからCSRFトークンを取得

のようにCSRFトークンを取得して sessionStorage に保管します。
その後、

const authLink = setContext((_, { headers }) => {
  return {
    headers: {
      ...headers,
      'x-csrf-token': sessionStorage.getItem('x-csrf-token') // リクエストにCSRFトークンを付与
    }
  }
})
const client = new ApolloClient({
  cache: new InMemoryCache(),
  link: authLink.concat(httpLink)
})

のようにしてapolloが送るリクエストに付与しています。

pages/func_a.tsx を作る

pages/func_a.tsx
const FuncA = () => {
  return (
    <p>
      erbの画面をそのまま再現する
    </p>
  );
};
export default FuncA;

自分はBE担当なのであまり分からないのですが、
・既存アプリからHTML構造やCSSを輸入する必要がある
・メニューの選択など、状態系のコントロールをリプレイス後のコードで新たに考える必要がある
など、悩みポイントは多いようです。

Amplifyへデプロイする

AWS CLI から作成する手順もあるようですが、今回はAWSコンソール画面から作成します。

「Amplify>新しいアプリケーション>Webアプリケーションをホスト」を選択します。

スクリーンショット 2022-09-19 15.53.13.png

Next.jsアプリケーションを管理しているgitリポジトリ・ブランチを選択します。

スクリーンショット 2022-09-19 15.55.58.png

アプリケーション名を命名し、

スクリーンショット 2022-09-19 15.57.40.png

スクリーンショット 2022-09-19 15.59.12.png

プロビジョン〜検証が全て終わったら完了です。
完了後、CloudFrontを開くと、新規にdistributionが作成されていることが確認できます。

スクリーンショット 2022-09-19 16.01.08.png

以上でmainブランチ相当の環境が立ち上がりました。
mainブランチにpushされるとデプロイが走るようになっています。

ステージング環境を立てる場合などは「ブランチの接続」から行います。
「staging」ブランチを選択し確定すると、このように複数環境立ち上がります。
(CloudFront distribution も新たに作成されます)

環境値は「環境変数」メニューから設定できます。
「すべてのブランチ」でデフォルト値を設定したあと、「アクション>変数の上書きを追加する」で特定ブランチのみに適用する値を指定できます。
(画像ではproductionをデフォルトにしていますが、何をデフォルトにすべきかは要検討です)

スクリーンショット 2022-09-19 16.06.17.png

振り分け用CloudFront distribution 設置

スクリーンショット 2022-09-19 15.26.00.png

新しいdistributionを設置し、このように設定しました。

パスパターン オリジン ビューワープロトコルポリシー キャッシュポリシー名 オリジンリクエストポリシー名
/_next/* amplify HTTP を HTTPS にリダイレクト Managed-CachingOptimized -
/func_a amplify HTTP を HTTPS にリダイレクト Managed-CachingDisabled -
デフォルト (*) alb HTTP を HTTPS にリダイレクト Managed-CachingDisabled Managed-AllViewer

オリジン
/_next/* amplifyが自動生成するCloudFront distribution へ送ります。
/func_a amplifyが自動生成するCloudFront distribution へ送ります。
デフォルト (*) Railsが動いているALBへ送ります。

キャッシュ
/_next/* JS,CSS類なので、基本設定である Managed-CachingOptimized を使います。
/func_a 動的ページなので Managed-CachingDisabled を使います。
デフォルト (*) 動的ページなので Managed-CachingDisabled を使います。

オリジンリクエストポリシー名
/_next/* -
/func_a -
デフォルト (*) リクエストヘッダを従来通り渡したいため Managed-AllViewer を使います。

本番反映(DNS切り替え)

あとはDNS切り替えで本番反映します。

gairyaku1.png

Route53で「example.com」のAレコードをALBからCloudFront distribution へ向けます。
Route53の場合はALIASで指定できます。
(他DNSサーバの場合はALIASの代わりにCNAMEで指定しますが、CNAMEはサブドメインしか指定できない仕様があるので「example.com」はNGかもしれません)

TTLが切れて切り替わったら、
https://example.com/func_a
https://example.com/func_b
を見比べて反映を確認します。

最後に

CloudFrontで振り分けた部分、以下機能が担えた可能性がありました。
具体的にどう組み込むかやパフォーマンス面などまだまだ理解していないので、今後調査したいと思います。

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