Spring MVCで@ControllerAdviceを使用して全コントローラーの例外処理を補足することは一般的ですが、コントローラのコンストラクタで例外がスローされた場合には、@ControllerAdviceがその例外を補足できないという制約があります。

理由

@ControllerAdviceは主にリクエストの処理中に発生する例外を補足するために設計されています。コントローラのインスタンスが生成される前にコンストラクタで例外が発生した場合、その例外はSpringのコンテナによって処理されます。したがって、リクエスト処理の段階に到達する前に例外が発生しているため、@ControllerAdviceの処理範囲外となります。

解決策

Bean Initialization Exceptionを補足する:
Springの@Bean定義でコントローラを定義する場合、@PostConstructを使用して初期化ロジックを実行し、その中で例外を投げることができます。これにより、初期化中の例外を補足することができます。

Custom Handler:
　SpringのHandlerExceptionResolverを実装して、カスタムの例外処理を提供することができます。

Spring Bootの場合:
　Spring Bootを使用している場合は、ErrorControllerを実装してカスタムエラーページを提供することができます。

例

@PostConstructを使用する例:

@Controller
public class MyController {

    @PostConstruct
    public void init() throws Exception {
        // 初期化ロジック
        if (somethingIsWrong()) {
            throw new MyCustomException("Initialization failed");
        }
    }
}

HandlerExceptionResolverの実装例:

@Component
public class MyExceptionResolver implements HandlerExceptionResolver {

    @Override
    public ModelAndView resolveException(
            HttpServletRequest request,
            HttpServletResponse response,
            Object handler,
            Exception ex) {
        // カスタム例外処理ロジック
        ModelAndView mav = new ModelAndView();
        mav.addObject("exception", ex);
        mav.setViewName("error");
        return mav;
    }
}

これにより、コントローラのコンストラクタで発生する例外をキャッチして適切に処理する方法が提供されます。@ControllerAdviceはリクエスト処理中の例外に特化しているため、Beanの初期化やコンストラクタの例外処理には上記のようなアプローチが推奨されます。

コンストラクタにロジックを書いた場合の、JUnitで例外スローさせるテストコード書く場合

コントローラのコンストラクタで例外をスローさせるテストコードを書くことは、@PostConstructを使用する場合に比べて少し難しくなることがあります。しかし、以下の手順に従うことで、コンストラクタでの例外スローをJUnitでテストすることも可能です。

コントローラクラスのコンストラクタで例外をスローする
まず、コントローラのコンストラクタで例外をスローするようにします。

import org.springframework.stereotype.Controller;

@Controller
public class MyController {

    public MyController() throws MyCustomException {
        // 初期化ロジック
        if (somethingIsWrong()) {
            throw new MyCustomException("Initialization failed");
        }
    }

    private boolean somethingIsWrong() {
        // 例として常にtrueを返す
        return true;
    }
}

カスタム例外クラス
次に、カスタム例外クラスを定義します。

public class MyCustomException extends RuntimeException {
    public MyCustomException(String message) {
        super(message);
    }
}

JUnitテスト
JUnitテストでは、Springのコンテキストをロードせずに、直接コントローラのインスタンス化をテストします。

import org.junit.jupiter.api.Test;

import static org.junit.jupiter.api.Assertions.assertThrows;

public class MyControllerTest {

    @Test
    public void whenConstructorThrowsException_thenExceptionIsThrown() {
        assertThrows(MyCustomException.class, () -> {
            // コントローラのインスタンスを作成
            new MyController();
        });
    }
}

テストのポイント
assertThrowsメソッド: assertThrowsメソッドを使用して、特定の例外がスローされることを確認します。
直接インスタンス化: Springのコンテキストを使用せずに直接インスタンス化することで、コンストラクタでの例外スローを検証します。
注意点
DIを使用する場合の注意点: コントローラが依存関係を受け取るためにDI（依存性注入）を使用している場合、直接インスタンス化することが難しくなることがあります。その場合、モックフレームワーク（例えばMockito）を使用して依存関係をモックする必要があります。
Springコンテキストの使用: Springコンテキストを使用してテストする場合、コンテキストの初期化中にコンストラクタで例外がスローされると、テスト自体が失敗する可能性があります。これを防ぐために、コンストラクタの例外処理をテストするための特別な設定が必要になることがあります。

DIを使用する場合の例
もしコントローラが依存性を受け取る場合のテスト例を示します。

import org.junit.jupiter.api.Test;
import org.mockito.InjectMocks;
import org.mockito.Mock;
import org.mockito.MockitoAnnotations;

import static org.junit.jupiter.api.Assertions.assertThrows;
import static org.mockito.Mockito.when;

public class MyControllerTest {

    @Mock
    private SomeDependency someDependency;  // モックする依存関係

    @InjectMocks
    private MyController myController;  // モック依存関係を注入

    public MyControllerTest() {
        MockitoAnnotations.openMocks(this);
    }

    @Test
    public void whenConstructorThrowsException_thenExceptionIsThrown() {
        when(someDependency.somethingIsWrong()).thenReturn(true);  // モックの動作を設定

        assertThrows(MyCustomException.class, () -> {
            // コントローラのインスタンスを作成
            new MyController(someDependency);
        });
    }
}

このように、モックを使用することで、依存関係がある場合のコンストラクタ例外スローをテストすることも可能です。

@PostConstructにロジックを書いた場合の、JUnitで例外スローさせるテストコード書く場合

@PostConstructを使用して初期化ロジックを記述することは、JUnitテストで例外処理をテストする場合にも有用です。@PostConstructはSpringのライフサイクルでBeanが完全に初期化された後に呼び出されるため、このメソッド内での例外スローを簡単にテストできます。

以下に、@PostConstructを使用した初期化ロジックと、その例外をJUnitテストで検証する方法の例を示します。

コントローラクラス
まず、コントローラクラスに@PostConstructで初期化ロジックを追加します。

import javax.annotation.PostConstruct;
import org.springframework.stereotype.Controller;

@Controller
public class MyController {

    @PostConstruct
    public void init() throws Exception {
        // 初期化ロジック
        if (somethingIsWrong()) {
            throw new MyCustomException("Initialization failed");
        }
    }

    private boolean somethingIsWrong() {
        // 例として常にtrueを返す
        return true;
    }
}

カスタム例外クラス
次に、カスタム例外クラスを定義します。

public class MyCustomException extends RuntimeException {
    public MyCustomException(String message) {
        super(message);
    }
}

JUnitテスト
JUnitで@PostConstructの例外をテストするには、SpringExtensionを使用してSpringコンテキストをロードし、例外がスローされることを確認します。

import org.junit.jupiter.api.Test;
import org.junit.jupiter.api.extension.ExtendWith;
import org.springframework.beans.factory.annotation.Autowired;
import org.springframework.boot.test.context.SpringBootTest;
import org.springframework.test.context.junit.jupiter.SpringExtension;

import static org.junit.jupiter.api.Assertions.assertThrows;

@ExtendWith(SpringExtension.class)
@SpringBootTest
public class MyControllerTest {

    @Autowired
    private MyController myController;

    @Test
    public void whenPostConstructThrowsException_thenExceptionIsThrown() {
        assertThrows(MyCustomException.class, () -> {
            // コントローラのインスタンスを取得し、PostConstructが呼ばれることで例外がスローされる
            myController.init();
        });
    }
}

JUnitテスト
JUnitで@PostConstructの例外をテストするには、SpringExtensionを使用してSpringコンテキストをロードし、例外がスローされることを確認します。

import org.junit.jupiter.api.Test;
import org.junit.jupiter.api.extension.ExtendWith;
import org.springframework.beans.factory.annotation.Autowired;
import org.springframework.boot.test.context.SpringBootTest;
import org.springframework.test.context.junit.jupiter.SpringExtension;

import static org.junit.jupiter.api.Assertions.assertThrows;

@ExtendWith(SpringExtension.class)
@SpringBootTest
public class MyControllerTest {

    @Autowired
    private MyController myController;

    @Test
    public void whenPostConstructThrowsException_thenExceptionIsThrown() {
        assertThrows(MyCustomException.class, () -> {
            // コントローラのインスタンスを取得し、PostConstructが呼ばれることで例外がスローされる
            myController.init();
        });
    }
}

テストのポイント
SpringExtensionの使用: @ExtendWith(SpringExtension.class)を使用してSpringのテストコンテキストを有効にします。
SpringBootTestアノテーション: @SpringBootTestを使用してSpring Bootアプリケーション全体のコンテキストをロードします。
assertThrowsメソッド: assertThrowsメソッドを使用して、特定の例外がスローされることを確認します。
この方法で、@PostConstructの例外スローをJUnitテストで検証することができます。テストはコントローラの初期化時に例外がスローされるかどうかをチェックし、初期化ロジックの正当性を確認するのに役立ちます。