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mockito-inlineとPowerMockito の違い

Last updated at Posted at 2024-09-26

Mockito-inline と PowerMockito は、どちらも Java のテストライブラリ Mockito の拡張機能ですが、目的や使い方に違いがあります。両方とも静的メソッドやコンストラクタのモックを可能にするものとして使われることが多いですが、いくつかの違いがあります。

1. Mockito-inline

Mockito-inline は Mockito フレームワークの一部として提供される「インラインモッキング」を実現するためのモジュールです。これにより、追加のツール(例: PowerMock)を使わずに、基本的なモッキングを超えた機能、たとえば final クラスやメソッド、静的メソッドのモッキングが可能です。Mockito-inline は、Mockito 2.1.0 以降で追加されており、インラインモッキングを有効にすると一部の制限されたクラスのモックが可能になります。

できること

・final メソッドやクラスのモック
・private メソッドのモック(リフレクションを使う必要はないが、通常は推奨されない)
・静的メソッドのモック(Mockito 4.0以降)

利点

・シンプルで、特別なツールや複雑な設定は不要
・Mockito の最新機能に統合されている

制限

・一部の高度なモッキング(クラスローダの制御など)は対応できない

2. PowerMockito (PowerMock)

PowerMockito は、より強力なモッキングフレームワーク PowerMock の一部であり、Mockito と統合されています。PowerMockito は、通常の Mockito では対応できない静的メソッドやコンストラクタのモックを実現するために開発されました。

できること

・静的メソッドのモック
・コンストラクタのモック
・プライベートメソッドのモック
・システムクラス(例: System, Thread)のモック
・クラスローダの制御によるより強力なモッキング

利点

・非常に柔軟で、Mockito では対応できないケースにも対応可能
・静的メソッドやコンストラクタのモックが簡単

制限

・セットアップが複雑
・PowerMockRunner などの特定のテストランナーや、@PrepareForTest アノテーションを使う必要がある
・テストのメンテナンスが難しくなる可能性がある

まとめ

・同じことができるか?

一部の機能(例: 静的メソッドや final クラスのモック)は、両者で同じように扱えます。ただし、PowerMockito はより強力で、コンストラクタやシステムクラスのモックにも対応しており、Mockito-inline よりも高度なモッキングが可能です。

・どちらを選ぶべきか?

基本的には、シンプルで効率的なモックをしたい場合は Mockito-inline が推奨されます。より高度で複雑なモッキングが必要な場合、PowerMockito を選ぶのが良いでしょう。ただし、PowerMockito はセットアップが煩雑になる可能性があるため、注意が必要です。

追加情報(2024/11/21)

PowerMock の開発は事実上停止している状況です。GitHub 上の Issue や最新のリリース履歴を見ても、PowerMock は以下のような課題を抱えています:

Mockito 4.x 以降との互換性が公式にリリースされていない

一部の PR がマージされていますが、リリースとして提供されておらず、直接依存するのはリスクがあります。

JUnit 5 への公式対応がない

PowerMock は JUnit 4 に依存しており、JUnit 5 での動作が保証されていません。JUnit 5 に移行したい場合には、PowerMock を使い続けるのは現実的ではありません。

保守が停止している

開発者からの公式コメントの通り、今後の機能追加やバグ修正が期待できない状態です。
https://github.com/powermock/powermock/issues/1117#issuecomment-1477349245

PowerMock の公式対応範囲

最新バージョン: PowerMock 2.0.9(2020年11月リリース)
Java バージョン対応状況:
Java 8: 完全対応
Java 9 ~ Java 11: 対応(ただしモジュールシステムに限定的な対応)
Java 12 ~ Java 17: 公式にサポート外(一部で動作するケースはあるが保証されない)

まとめ

PowerMock を使い続けることは推奨されません。代替手段を考慮し、テスト戦略を見直すことを強くお勧めします。

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