EPUB形式で本を作ってみる
小説同人誌(印刷した本)を、購入者特典としてepub形式にして配布したいと思ったので、やってみました。
まずは単純にテキストファイルを何かしらepubに変換するソフトに突っ込めばいける、と考えたのですが、甘かったです。KindlePreviewerにエラーを吐かれてしまいました。変換ソフトの設定事項も無く、ならば自分で一から編集した方が早いと、最初からepub形式のファイルを作ることにしました。ということで、EPUB編集ソフトSigilを使用しています。
説明は、ある程度初心者の方でも分かるように書きました。但しHTMLタグを知っている人へ対象としています。HTMLタグが分からない人は、一から勉強してからでないとSigilでの編集は辛いと思います。
因みに、オンラインで作成するサイト様が幾つかありましたが、400ページ越えの量があるため、最初から断念しました。使える人はそちらを使った方が早くていいと思います。サイトごとに利用規約がありますので、そちらもよく読む必要があります。
※こちらの記事は「Kindleで販売・公開する」ことを考慮しておりません。
その場合は、参考にならない可能性があります。
用意するもの
・Sigil
・Sakuraエディタ(正規表現で置換が出来るテキストエディタ)
・Kindle Previewer
1.各ソフトインストール
下記ソフトをインストールします。
・Sigil
→ https://sigil-ebook.com/sigil/download/
・Kindle Previewer
→ https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G202131170
・Sakuraエディタ
→ https://sakura-editor.github.io/
2.Sakuraエディタでの作業
テキストファイルに本にする文章を入れて作業します。
.epubは、HTMLとほぼ同じタグを使用します。
sakuraエディタの置換を使います。正規表現にチェックをつけ、正規表現が使える状態にします。
「\r\n」(=改行)を「<br/>\r\n」に置換します。
※<br/>は、epub形式での「改行」になります。
【注意】テキストファイルを保存する時は、必ず文字コードを「UTF-8」で保存してください。
3.SigilでCSSを設定
cssファイル(体裁を指定できるファイル)の編集を行います。
とはいえ、一から作るのは大変です。上記にも紹介したオンラインでepub形式変換が出来るサイトさんが公開しているので、それを利用させていただくことにします。
でんでんコンバーター
https://conv.denshochan.com/downloads
スタイルシート - default.zip をダウンロードする。
Sigilでの作業
Sigilを起動
- [ブックブラウザー]の[Styles]フォルダを右クリック。[空のスタイルシートを追加]をクリック。
- 空のスタイルシート「Style0001.css」が開くので、さっきDLした「default_vertical.css」の中身を全てコピー&ペーストする。
CSSファイルの中身で分かっておくべき事は、とりあえず以下1点。
・縦書きにする
html {
-epub-writing-mode: vertical-rl;
}
- CSSを適用します。
①htmlタグを編集し、②headタグの中にcssのファイルを指定します。
<html xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml" xml:lang="ja">
<head>
<title>タイトル</title>
<link href="../Styles/Style0001.css" rel="stylesheet" type="text/css"/>
</head>
4.OPFファイルの編集
[ブックブラウザー]の下の方にある「OEBPS/content.opf」を編集していきます。
- OEBPS/content.opfを右クリックし、[アプリケーションから開く]。前に使ったsakuraエディタを使いましょう。
- 綴じ方向を「右綴じ」へ変えます。(左綴じなら、飛ばしてください)
spineタグを以下に書き換えます。
<spine toc="ncx" page-progression-direction="rtl">
終わったらopfファイルを保存して閉じます。
3. 英語から日本語設定にします。
同じくopfファイルの編集ですが、こちらはツールがあるのでそこから設定します。
[ツール]-[メタデータエディタ]をクリック。
[メタデータを追加]をクリックし、「Language(言語)]を追加。「日本語」を選択してください。
5.本文貼り付け
デフォルトで「Section0001.xhtml」が表示されているので、1章分をコピペします。
ペーストする場所は、<body></body>
の間なのは、普通のHTMLと一緒ですので割愛します。
特殊文字の変換
PDFへの変換等で苦労した方も多いと思うのですが、EPUBも同じくそのままだときちんと表示されない場合があります。
特殊文字をEPUBに対応したタグに変換していきます。
変換する特殊文字
・⁉→⁉
・‼→‼
・—(全角ハイフン)→—
このぐらい変換すれば大丈夫だと思います。人によればもっと色々な文字を使うかもしれないので、そこはご自分で調べて頂ければと思います。
見出しの設定
章ごとに見出しを設定します。
見出しタグを使用し、設定していいきます。
<h1>章タイトル</h1>
これを章の冒頭に入れていきます。そういえば大文字で見出しタグを使うとダメだったので、気を付けて下さい。
人によると思いますが、私は作品集を作ったので、章ごとにファイル「Section001.xhtml」「Section0002.xhtml」と増やしてそこに文章を入れていました。
6.体裁を整える
文章を寄せる
当然ですが、中央寄せや右寄せもタグで入れます。
・中央寄せ
<p style="text-align: center;">中央寄せする文章</p>
・右寄せ
<p style="text-align: right;">右寄せする文章</p>
ルビを設定する
ルビは簡単です。
<ruby>簡単<rt>かんたん</rt></ruby>
詳しくはこちらがとても分かりやすかったです。→https://help.blogpark.jp/archives/52329422.html
7.表紙を付ける
必ず[ツール]メニューから設定しましょう。opfファイルの直接編集だと上手くいきませんでした。(私が設定漏れしてたかもですが)
- 表紙を用意します。
私はでんでんコンバーター様の例を参考に744*1052ピクセルのpngファイルを作成しました。 - [ブックブラウザー]-[Images]を右クリックし「既存のファイルを追加」で上記の表紙ファイルを選択します。
3.[ツール]-[表紙を追加]をクリックします。
「ブック中のファイル」にさっきの表紙ファイルが表示されますので、選択して[OK]します。
8.目次を作成
EPUBには、次の二つの目次が存在します。
・論理目次・・・電子書籍ソフトウェアで自動的にこの目次が表示されます。
・普通の目次・・・目次ページのこと。リンクでそのページに飛ぶ目次です
論理目次を設定
[ツール]-[目次]-[目次の生成]をクリック。
見出しのどこまでを目次として表示するかを設定します。ここはご自分で決めて下さい。
私はH1タグを基準に目次としました。
普通の目次を設定(手動)
[ツール]-[目次]-[目次からHTMLファイルを作成]をクリックします。
[ブックブラウザー]-[Text]の中に「TOC.Xhtml」が表示されるので、これで良ければOKです。
気に入らなければ自分で編集しましょう。
CSSの適用も行って下さい。(headタグのcssのファイルを指定)
9.Kindle Previewerで表示する
epubファイルを保存します。
Kindle Previewerを開き、epubファイルをドラッグします。上手くいけば完成。
エラーが出るようならば、エラーを調べてみて下さい。
確認したソフトウェア
PC版Kindle、GooglePayブックス、iOSのブックで確認をしています。
その他
Kindle for iOSは縦書き未対応のようです。
ネットの海に漂っていた記事を見る限り、Amazon Kindleを出版すると、Amazon側で縦書き対応にしてくれるらしいので、Kindle出版をする方はAmazonに問い合わせてみるのが良いと思います。
皆さまも良い電子書籍ライフを!