はじめに
AI開発プロジェクトに関しては、すでに開発手法がまとめられており、その内容を参考にプロジェクトの計画・実施をすることができます。昨年度私が携わったAIを活用したデータ分析プロジェクトにおいても、公表されている開発手法を参照しながらプロジェクトを実施しました。問題なくプロジェクト終了できました、といいたいところですが、非エンジニアのお客様とのコミュニケーションについて、さまざまな失敗をし対策を立てて解決してきました。技術的な課題を解決するより難しくプロジェクトメンバー全員で悩む時間が多かったので、今回はエンジニアではないお客様とのコミュニケーションについて経験値をまとめてみました。
どのようなプロジェクトだった?
AIを活用したデータ分析の仕組みを作成し、実際にデータ分析を行いレポートにまとめるというプロジェクトでした。
ある分野でAIを活用して新たな観点でデータ分析をしていきたい、というゆるい感じでプロジェクトが開始されました。要件の明確化と目標設定、AIが検出するデータの定義、統計処理や分析手法の検討、レポート形式や可視化方法を毎週の会議でディスカッションしながら決定していく、という進め方です。会議でのコミュニケーションが非常に重要であったというわけです。
非エンジニアのお客様とのコミュニケーションで有用であったこと
プロジェクトキックオフ時に信頼関係形成開始
- 人となりを知ってもらうアイスブレイク的な話などを用意し、親しみをもってもらい話しかけやすくする
- わかりやすい説明を心がけ一方的に話さず、お客様の発言は傾聴する
- お客様への興味を示し、他人事のような話し方はしない
ビジネス目標に対応したストーリーで説明する
- AIを利用した分析で評価軸〇〇を数値化することで、より高評価の期待できるビジネスプランを作成可能、という内容を作成し分析結果の利用の流れや重要性をわかりやすく説明する
わかりやすい資料作成・説明
- 図や表を用いて説明したい情報を視覚的に提示することで理解を進める
- 複雑な概念を説明したい場合にもなるべくシンプルな図で表す
- ヒアリングの際は適切な回答がすぐ得られるよう、順番や選択肢工夫した資料(ヒアリングシート)を作成する
- プロジェクトの中で重要な成果については強調して説明し、「腹落ちした」状態でお客様社内に成果として説明できるようになっていただく
適切な用語の使用
- 専門用語や技術用語はできるだけ避け、一般的な言葉で説明する
- プロジェクト内で専門用語を使用する場合には説明を実施、用語集を作成しておき、いつでも参照できるようにする
プロトタイプ作成・デモンストレーション実施
- プロトタイプを作成し、デモンストレーションを実施することで、実際の動作や結果を視覚的に示して効果をわかりやすくし、理解を深める
お客様が受け身にならないよう行動をおこしやくする
- 会議にてお客様が質問や意見を発言しやすいような雰囲気をつくる
- 質問にはわかりやすい回答を心がける
- お客様が不明瞭と感じている点があれば積極的に補足説明を行う
- お客様の意見を取り入れるようプロジェクト内で仕組みを作成しておく
- 定期的に実施中ステップでの成果物(説明資料等)に対するフィードバックを確認し、誤解や課題を早期発見できるようにする
おわりに
経験値としてまとめてみると、プロジェクトマネージャーやコンサルタントとして心がけること、エンジニアがやってしまいがちな失敗を防止することが含まれていると思っています。
ビジネス目標によりそい、技術的な側面をわかりやすく説明していくことで信頼関係を築いていきます。その上で目標を共有してパートナーとして協業しながらプロジェクトを進めていけるよう努めることが重要と感じました。同様のプロジェクトを現在実施中ですので、さらに充実させていきたいと考えています。