Dartのジェネリクスは共変である

Dartのジェネリクスは共変

タイトルでオチがついている。Dartのジェネリクスって共変なんだねえ。

The Dart type system | Dart
https://dart.dev/guides/language/type-system#generic-type-assignment

共変って何？

あるクラスTsuperがサブクラスTsubをもつ場合に、

• Tsuperによる総称型にTsubによる総称型を代入できることを共変といいます
  • Dartはこれに該当するということです。
• 対して、Tsuper型の変数にTsub型の変数を代入できないことを不変といいます
  • Javaがこれに該当します。

具体的なコードによる説明

ジェネリクス型に互換性があり、代入ができるということを共変といいます
dartは互換性があるので共変です

dart

List<num> numList;
List<double> doubleList = [];

numList = doubleList; // 代入ができる。これが共変

一見この互換性は便利そうですが、以下のようなリスクがあります。

dart

List<num> numList;
List<double> doubleList = <double>[]; // [];の丁寧な書き方

numList = doubleList; // 代入ができる

// コンパイルこそ通るものの、
// doubleのリストにintをaddすることによって実行時エラーが発生する。
// 変数にnumListって書いてあるから動きそうなのにね。
numList.add(2 as int); // 実行時エラー！

ちなみにJavaはジェネリクス型に互換性がありません（不変）¹

java

List<Number> numberList;
List<Double> doubleList;

// numberList = doubleList; // コンパイルエラー

Flutterにおける身近な共変の利用

例えばこういう画面クラス。
createState()について、MyStateの型はState<MyPage>であるにもかかわらず、State<StatefulWidget>　という戻り値として成立していますね。

State<StatefulWidget> ∋ State<MyPage> であり、State<MyPage> を State<StatefulWidget> として扱ってよいことになっているので、この書き方が許容されます。

dart

class MyPage extends StatefulWidget {
  @override
  State<StatefulWidget> createState() {
    return MyState();
  }
}

class MyState extends State<MyPage> {
  @override
  Widget build(BuildContext context) {
    return Scaffold(body: Text("this is view"));
  }
}

MyPage.createState()の中身を冗長に書くとこういう風になります。

dart

class MyPage extends StatefulWidget {
  @override
  State<StatefulWidget> createState() {
    State<StatefulWidget> returnValue;
    State<MyPage> myState = MyState();
    returnValue = myState; // 共変なので代入ができる
    return returnValue;
  }
}

class MyState extends State<MyPage> {
  // (略)
}

1. この制約を緩めて使いやすくするために、型の設計者はextendsとかsuperとかワイルドカードとかの署名をこねくり回します。 ↩