ラズパイで圧電スピーカーをMIDIで奏でる（HardwarePWMを使う）

内容

以前実装した方法ではソフトウェアPWMを使用しているため、雑音の入った音色が出力されます。調査したところ、ハードウェアPWMを使用することで改善できました。ラズパイの設定変更とライブラリのインストール、ソースコードの修正をします。

ハードウェアPWMを設定する手順

ラズパイの設定変更と再起動

ラズパイの設定ファイルを追記し再起動することで、ハードウェアPWMを有効にします。

sudo vim /boot/firmware/config.txt

/boot/firmware/config.txt

dtoverlay=pwm-2chan

この設定を追加することにより、GPIO18、19にそれぞれPWMのチャンネル0、1が割り当てられます。

• PWM Channel0: GPIO18
• PWM Channel1: GPIO19

※上記の代わりに以下の設定とすることで、ハードウェアPWMを使用するPINをGPIO12、13へ変更できます。

• PWM Channel0: GPIO12
• PWM Channel1: GPIO13

/boot/firmware/config.txt

dtoverlay=pwm-2chan,pin=12,func=4,pin2=13,func2=4

ラズパイを再起動することで、設定が有効になります。

sudo reboot

ライブラリのインストール

ハードウェアPWMをPythonから操作するライブラリを導入します。今回も--break-system-packagesとしてインストールしてしまいます。

pip install rpi-hardware-pwm --break-system-packages

ソースコードの修正

@@ -6 +6 @@
-import RPi.GPIO as GPIO
+from rpi_hardware_pwm import HardwarePWM
@@ -25,3 +24,0 @@
-# GPIO XX の XXの数値でPIN番号を指定する
-GPIO.setmode(GPIO.BCM)
-
@@ -29,2 +25,0 @@
-GPIO.setup(13, GPIO.OUT, initial=GPIO.LOW)
-p = GPIO.PWM(13, 1)
@@ -40 +34,0 @@
-        p.start(50)
@@ -42 +36,3 @@
-        p.ChangeFrequency(freq)
+        # Rpi 1,2,3,4 は chip=0, Rpi 5は chip=2
+        pwm = HardwarePWM(pwm_channel=1, hz=freq, chip=0)
+        pwm.start(50)
@@ -45 +41 @@
-        p.stop()
+        pwm.stop()

ソースコード全体は以下のようになります。

import math
import sys
import time

import mido
from rpi_hardware_pwm import HardwarePWM


def midi_number_to_note_number(midi_number: int):
    """MIDIのnote numberを鍵盤番号へ変換します"""
    # 鍵盤番号: 1:ラ0（A0） = MIDIのnote number: 21
    return midi_number - 20


def onkai(n):
    """鍵盤番号nに応じた周波数[Hz]を返します"""
    # 鍵盤番号は、ラ0（A0）を1とした連番
    # n=1（ラ0（A0））   -> 27.500Hz
    # n=2（ラ#0（A#0）） -> 29.135...Hz
    # n=3（シ0（B0））   -> 30.867...Hz
    # ...
    return 27.500 * math.pow(math.pow(2, 1 / 12), n)


# GPIO 13 = PWM 1 の33番PINに圧電スピーカーの+端子を接続する

# 圧電スピーカーの-端子はGroundならどこでもよい
# 今回は34番PINに接続する


for msg in mido.MidiFile(sys.argv[1]):
    time.sleep(msg.time)
    if msg.type == "note_on":
        # 圧電スピーカー
        freq = onkai(midi_number_to_note_number(msg.note))
        # Rpi 1,2,3,4 は chip=0, Rpi 5は chip=2
        pwm = HardwarePWM(pwm_channel=1, hz=freq, chip=0)
        pwm.start(50)
        print(f"note_on {freq} {msg}")
    if msg.type == "note_off":
        pwm.stop()
        print(f"note_off {msg}")

以下のコマンドで実行します。

python3 midi.py sample.mid

動作環境

• Raspberry Pi 4 Model B Rev 1.5
• Raspberry Pi OS Lite (64-bit)（Debian GNU/Linux 12.2.0 (bookworm)）
• Python 3.11.2
• mido 1.3.3
• rpi-hardware-pwm 0.2.2