Web会議の音声をイヤホンで聞きながら録音したい、という場面は意外と多いですよね。とくに職場で他の人がいる場合でも、自分の声とPCからのイヤホンの音声を同時に録音できると、あとから議事録を作成したり、聞き返したりするのにとても便利です。
そこで今回は、BlackHoleとAirPodsなどのイヤホンを組み合わせて、自分の発言も含めたWeb会議の全音声を録音する方法をまとめました。
はじめに
BlackHoleは、Macの内部音声を録音するための仮想オーディオドライバです。
本記事では、Mac M3チップを使用した環境で、BlackHoleとAirPods(または他のイヤホン)を組み合わせて、Web会議の参加者の声+自分の声を同時に録音する方法を紹介します。
1. BlackHoleのダウンロード・インストール方法
1-1. Homebrewを使ってインストール(メイン)
Macでパッケージ管理ツール「Homebrew」を利用してBlackHoleをインストールします。ターミナルを開き、次のコマンドを入力してください:
brew install blackhole-2ch
メモ: BlackHoleには「2ch」「16ch」「64ch」などのバリエーションがあります。
- 一般的な用途(Web会議や配信など)には 2ch で十分です。
- 複数のチャンネルが必要な場合は 16ch や 64ch を検討してください。
1-2. 公式サイトからのダウンロード(参考)
- 公式GitHubからも入手可能です。
- メールアドレスを登録すると、ダウンロードリンクがメールで送られてきます。
- Homebrewが使えない環境や、最新バージョンを確認したい場合にご利用ください。
2. Audio MIDI設定で「複数出力装置」と「機器セット」を作成
自分の声(AirPodsのマイク)とPCの音声(会議参加者の声)をまとめて録音するためには、**複数出力装置(マルチ出力デバイス)と機器セット(Aggregate Device)**の両方を設定します。
2-1. 複数出力装置(マルチ出力デバイス)の作成
-
Audio MIDI設定を起動
- 「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「Audio MIDI設定」で開きます。
- 左下の「+」ボタンをクリックし、**「複数出力装置を作成」**を選択
- 作成された新しいデバイス(例:「複数出力装置1」)に
- AirPods(または使いたいイヤホン)
-
BlackHole
を追加・有効にします。
→ これにより、Web会議アプリが出す音声をAirPods + BlackHoleに同時に出力できます。
イヤホンで聞きながら、仮想オーディオドライバにも音声を流せるようになるわけです。
2-2. 機器セット(Aggregate Device)の作成
- 同じAudio MIDI設定で、左下の「+」ボタンをクリックし、**「機器セットを作成」**を選択
- 作成された新しい機器セット(例:「機器セット1」)に
- AirPodsのマイク
-
BlackHole
を追加します。
→ これにより、**自分の声(AirPodsのマイク)+PC内部音声(BlackHole)**をまとめて
「1つの入力デバイス」として扱うことができます。
3. Web会議アプリ(Zoomなど)の設定
Web会議アプリのマイクとスピーカーを、先ほど作成したデバイスに設定します。
-
マイク: 「機器セット1(AirPods & BlackHole)」
- こうすることで、AirPodsのマイクから出る自分の声がBlackHoleにも回り、録音できるようになります。
-
スピーカー(出力): 「複数出力装置1(AirPods & BlackHole)」
- これにより、Web会議の参加者の声がAirPodsで聴こえつつ、同時にBlackHoleへも出力されます。
4. QuickTime Playerでの録音設定
4-1. 新規オーディオ収録を選ぶ
- QuickTime Playerを起動し、画面上部の「ファイル」メニューから**「新規オーディオ収録」**を選択。
- 録音のウィンドウが表示されたら、オプション(または録音ボタン横のドロップダウン)を開き、
**マイク(入力デバイス)として「機器セット1」**を選択します。
ポイント: ここで**「BlackHole」単体ではなく「機器セット1」**を選ぶ点に注意してください。
そうしないと、自分の声とPC内部音声が同時に録音されません。
4-2. 録音開始
- Web会議に参加した状態でQuickTime Playerの録音を開始すると、**会議の参加者の声(BlackHole経由)+自分の声(AirPodsマイク)**が一括で録音されます。
5. 構成まとめ
- Zoomのマイク: 「機器セット1(AirPods & BlackHole)」
- Zoomのスピーカー: 「複数出力装置1(AirPods & BlackHole)」
-
QuickTime Player(新規オーディオ収録):
- 入力デバイスとして「機器セット1」を選択
これで、
- イヤホン(AirPods)で会議音声を聴きながら
- QuickTime Playerでは「自分の発言+会議参加者の声」を丸ごと録音
することが可能になります。
6. 使う上での注意点
-
ボリューム調整
- 「複数出力装置」を使うとMac標準の音量調整が使えない場合があります。
- 必要に応じて、Audio MIDI設定で個別に音量を調整してください。
-
事前テスト録音
- 設定が正しいかどうか、Web会議前に短時間でテスト録音をしておくことをおすすめします。
-
プライバシーに注意
- 会議の録音は、関係者の同意や会社の規定に従って行ってください。
参考リンク
- BlackHole公式GitHub
- 内部音声収録の参考記事(スピーカー設定例ですが、スクリーンキャプチャが参考になります)
以上の方法を使えば、Mac(M3チップ)を利用した環境でWeb会議の音声をAirPodsで聞きながら、自分の声を含めて録音できます。ぜひ活用してみてください。