私自身は大枠オンプレのサーバー屋なのだが、最近立て続けにAzure Stack EdgeとAWS Outposts servresの話題を耳にし、あれそういうトレンドなのか?とも思い始めて、ちょっと調べてまとめようと思った。
思い立ったら追記していくかも。
Azure Stack EdgeとAWS Outposts servers、どちらも1~2Uサイズからの物理サーバーを顧客のオンプレに貸し出すというサービスである。
サーバー単位で貸し出しというのが新しく、例えばAWS Outposts(serversじゃない)は以前はラックが最小貸出し単位で、高いし大きいし、あまり食指の動くものではなかった。
代表的スペック
Azure Stack Edge
https://azure.microsoft.com/ja-jp/products/azure-stack/edge/
現時点で、Azure Stack Edge Pro 2のModel 64G2Tがメインストリームだろう。2Uのラックサーバー。
CPUはIntel Xeon 6209U(物理20コア、ベース2.10GHz)で、vCPU 32個をユーザーが利用可能。
同じくメモリは51GB。内蔵ストレージ(SSDだろう)は720GB。NICは10GBase-Tが2ポート、100Gbps QSFPが2ポート。
100G NICは今日オーバースペックかもしれない。
Model 64G2Tがメインストリームだろうとは書いたが、Azure Stack Edge自体はGPU搭載のモデルの方が多く、GPUをより活用したい雰囲気ではある。GPUを使うソリューションで思いつくといってもビットコインのマイニングくらいで、エンプラ用途というのは寡聞にしてぱっとは思い浮かばないのではあるが。VDIか?
AWS Outposts servers
https://aws.amazon.com/jp/outposts/servers/
Outposts カタログ
https://ap-northeast-1.console.aws.amazon.com/outposts/home?region=ap-northeast-1#Catalog
AzureのModel 64G2Tと比較するなら、1UのLMXAD41が性能的に相当か。。?
スペックはEC2容量でc6id.16xlarge。CPUはIntel、vCPU 64個。メモリ128GiB。NVMe SSDストレージ3.8TB。
スイッチ側の必要ポートは10Gbps SFP+。サーバー側のポート冗長性無し(後述)
STBKRBEモデルはCPUがAWS製のARMプロセッサGraviton2だが、もしかしたらオンプレ/エンプラ用のまともなARMサーバーとしては案外初物かも。
価格感
Azure Stack Edge の価格
https://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/details/azure-stack/edge/
64G2Tが月額¥54,313。日本円表示頼もしい。
その他料金が、発送¥47,693。気になるのが他に発生する料金で、「損失、破損、または返品手数料」¥817,590.002とあるが、なんかこの書き方だといかなる理由でも返品するタイミングで81万円掛かる悪徳商法っぽくも読める。もうちょっと、表記改めるか条件詳細を明示したほうが良いかも。
AWS Outposts servers pricing
https://aws.amazon.com/jp/outposts/servers/pricing/
Asia PacificでJapan、LMXAD41の料金がNo Upfrontで$982.43 monthly。CPU個数分高い感じ?
その他で掛かる料金がちょっとよくわからないが、Pricing Exampleを読むに、c6id.4xlarge(CPU16、MEM32G)のEC2インスタンスを4個、36ヶ月動かすとTotal: $96,992.88とのこと。1ドル137円換算で月37万円くらい。あれ、高い?Windows Serverのライセンスが高いのか?ていうか、Total ChargesのWindowsライセンスの価格が4インスタンス分になっていて、計算間違えてるんじゃないの。。?
Outpost server分だけなら月8万円強(All upfront/us-east-1)で、そんなものか。
オンプレサーバーと比較
Outposts serversについて、ハードウェア分だけでいえば毎月1台10万円くらいの価格感で良さそうかな。。?
3年で360万円というと、例えば、Lenovoの2U、Xeon 16コアのサーバーが大体70万円ぐらい、追加でXeon Silver 4314を2ソケット搭載(+20万円ぐらい)、メモリ128GB(+60)、SSD 3.8TB(+60)と10Gbps NIC(+15)、電源ユニット(+10)、vSphere ESXi 3年(+25)とを付けて、カタログ価格260万円ちょっとくらいか?なので、オンプレで普通にサーバー買うよりも、3年使って1.4倍高いくらいだろうか。ちょっとOutposts serversが高く見えるか?Azure Stack Edgeはいい線行ってる?
https://download.lenovo.com/pccbbs/dcgesupport/sg_sr650v2.pdf
導入概要
導入、構築に掛かるドキュメントを読んでみる。
Azure Stack Edge documentation
https://docs.microsoft.com/sl-si/azure/databox-online/azure-stack-edge-pro-2-deploy-prep
Tutorialsに導入手順がStep by Stepで書いてある。割と環境要件厳しい。目についたところでは、
- 電源にUPSが別途必要
- 100Gbpsスイッチ(冗長化して2個だろう)にDACケーブルでつなぐ必要あり
- 外部インターネットへの接続は必要。帯域20Mbpsくらい
Wi-Fiコネクタがついているのがちょっと面白い。何に使うのが良くわからないが。
Preview機能でClusteringもあるらしい。
AWSとの比較で気が付いたが、Azure ExpressRoute経由での接続には言及されていない。ExpressRoute自体あまり使われていないものかも。
(追記) Pro 2じゃなく、Pro Rは100Gbpsでなく10/25Gbps接続だった。
https://docs.microsoft.com/sl-si/azure/databox-online/azure-stack-edge-pro-r-deploy-connect
AWS Outposts servers
Site requirements for Outpost servers
https://docs.aws.amazon.com/outposts/latest/userguide/outposts-requirements.html#server-requirements
Outpost server installation
https://docs.aws.amazon.com/outposts/latest/userguide/install-server.html
総じて、AWS Outposts serversの方が受け入れやすいような印象を受ける。
- 電源冗長。UPSは必要な場合のオプション
- ネットワーク接続は、サーバー側はQSFP1ポートで、スイッチ側がBreakoutしたSFP+の10Gbpsポート2個?らしい?
- AWSへの接続は、Direct Connect経由でも、インターネット経由でも。OutpostがNATの背後に有ってもOK
Azure Stack Edgeは電源非冗長、NIC冗長なのに対して、AWS Outposts serversは電源冗長、NIC非冗長。どういうところからくる設計思想の違いだろう?各クラウドのDC内の物理設計に合わせるとこうなるのか?
故障対応
Azure Stack Edge
GPUモデルの話しかドキュメントにないが、全モデル共通だろう。
前提条件としてVeeamとかでバックアップがとってある事、とか言われてもちょっと困っちゃう。
Recover from a failed Azure Stack Edge Pro GPU device
https://docs.microsoft.com/sl-si/azure/databox-online/azure-stack-edge-gpu-recover-device-failure
ハードウェア障害監視は、検知機構はよくわからないが、FAQを読む限りは必要な時にMicrosoft側からコンタクトしてくれるのだろうか?だったらいいな?
https://docs.microsoft.com/sl-si/azure/databox-online/azure-stack-edge-operational-guidelines-faq#how-do-i-replace-an-azure-stack-edge-device-if-there-s-a-hardware-failure-
AWS Outposts servers
あまりこれと言って言及がない。AWS側で良しなにやってくれるのか?
それっぽいのは下記ページ。
Setup instance recovery or auto scaling
https://docs.aws.amazon.com/outposts/latest/userguide/outposts-optimizations.html#optimize-auto-recovery
まあ、EC2とかVMのバックアップは重要視していないAWSっぽくはあるといえばある。
ハードウェア障害監視という意味では、CloudWatchでメトリクス「ConnectedStatus」があるのみで、男前。
https://docs.aws.amazon.com/outposts/latest/userguide/outposts-cloudwatch-metrics.html