はじめに
Amazon Q Developer CLI(以下 Q Dev)に新しく実験的に追加されたtangent modeを知っていますか?
私はこれまで、Q Devを使っているときに、途中ちょっと違うことを聞いたり、確認したいときなどにいちいち新しいセッションや、Workフォルダを作っていたので、Q Devのchangelog(これも新機能ですね)を読んだときに、この機能いいのでは?と思ったので早速検証してみました。
tangent modeとは
tangent modeは、現在の会話状態をチェックポイントとして保存し、そこから一時的に別の会話コンテキストに分岐できる機能です。
tangent modeがリリースされて間もなく、tangent tailという、分岐先の会話を保持しておく機能も追加されました。
機能の有効化方法手順
tangent modeは事前に有効化が必要です。
主な有効化の手順は2パターンあります。
パターン1:CLI設定での有効化
q settings chat.enableTangentMode true
パターン2:/experimentコマンドでの有効化
/experiment
表示されるメニューから「Tangent Mode」を選択してONにします。
実際の画面表示例:
⚠ Experimental features may be changed or removed at any time
? Select an experiment to toggle ›
❯ Knowledge [OFF] - Enables persistent context storage and retrieval across chat sessions (/knowledge)
Thinking [OFF] - Enables complex reasoning with step-by-step thought processes
Tangent Mode [ON] - Enables entering into a temporary mode for sending isolated conversations (/tangent)
Todo Lists [OFF] - Enables Q to create todo lists that can be viewed and managed using /todos
実際に検証してみた
実際に簡単な指示で、それがどのように引き継がれるかの検証をしてみました。
Phase 1: メイン会話で返答のスタイルを指示する
ユーザー: これ以降関西弁で返事をしてください
Amazon Q Developer: はい、わかりました!これからは関西弁で返事させてもらいますわ。
指示通り関西弁で返事をしてくれるようになりました。
なんだかちょっとエセっぽい関西弁な気がして面白い…どれくらい正しく方言に対応できるんでしょうね。
Phase 2: tangent modeでコンテキストを分岐
ユーザー: /tangent
システム: Created a conversation checkpoint (↯). Use ctrl + t or /tangent to restore the conversation later.
Note: this functionality is experimental and may change or be removed in the future.
↯ > 以降英語で返して
Amazon Q Developer: Sure! I'll respond in English from now on.
tangent modeに入り、プロンプトに
↯
マークが表示され、分岐状態が分かりやすく示されています。
英語で返して、と指示したので、英語で返事をしてくれています。
Phase 3: Save/Load機能の検証
ここで、この会話をsaveしてみます。
期待する動作としては、saveしてtangent modeを抜けたら関西弁に戻るはず!
↯ > /save english_test
システム: ✔ Exported conversation state to english_test
↯ > /tangent
システム: Restored conversation from checkpoint (↯). - Returned to main conversation.
ユーザー: 今日は何日?
Amazon Q Developer: 今日は2025年9月20日(土曜日)やで!
関西弁に戻りました!!!
コンテキストが分岐していた間の指示はメインの会話には引き継がれていないことがわかります。
⚠️ 重要: tangent modeから抜ける時は /tangent
コマンドを使います。/quit
を使うとQ Dev自体が終了してしまうので注意してください!
次に、loadのテストをします。
ユーザー: /load english_test
システム: ✔ Imported conversation state from english_test
↯ > 今日は何日?
Amazon Q Developer: Today is September 20th, 2025 (Saturday).
load後、何も指示しなくても英語で返事が返ってきました!
検証で分かったこと
- メイン会話の指示がtangent modeに引き継がれる
- 元の会話に戻ると、メイン会話のスタイルが復元される
- /saveで会話の状態を保存し、/loadでそれを呼び戻すことができる(=単なるtmpではない)
終わりに
今回の検証で、tangent modeの基本的な動作を確認することができました。
使い慣れないと、今どっちのモードなのか、今の指示は継続するのかがわからなくなりそうなので、積極的に使っていって慣れたいと思います。
気軽に試せる機能なので、皆さんも触ってみてください!