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JavaScriptのブラウザ互換性をESLintでチェックする

Last updated at Posted at 2023-10-15

Webサイト制作でトランスパイル環境のない生のJavaScriptを書く機会があり、そこそこ古いバージョンのブラウザでも動くようにLintでコードチェックできたらなーと思って調べてみました。導入手順とかんたんな使い方を紹介します。

環境

  • Node.js v20
  • VS Code v1.82

TL;DR

国内シェア1%以上、かつES6サポートのブラウザをターゲットとした例:

package.json
{
  "scripts": {
    "lint": "eslint .; exit 0"
  },
  "devDependencies": {
    "eslint": "^8.51.0",
    "eslint-plugin-compat": "^4.2.0"
  },
  "browserslist": [
    ">= 1% in JP and not dead"
  ]
}
.eslintrc.js
module.exports = {
  env: {
    browser: true,
  },
  extends: ["eslint:recommended", "plugin:compat/recommended"],
  overrides: [
    {
      env: {
        node: true,
      },
      files: [".eslintrc.{js,cjs}"],
      parserOptions: {
        sourceType: "script",
      },
    },
  ],
  parserOptions: {
    ecmaVersion: 6,
    sourceType: "module",
  },
  rules: {},
  plugins: ["compat"],
  settings: {
    polyfills: [],
  },
};

セットアップ

package.jsonを作成します。

npm init -y

ESLintをセットアップします。

npm init @eslint/config

✔ How would you like to use ESLint? · problems
✔ What type of modules does your project use? · esm
✔ Which framework does your project use? · none
✔ Does your project use TypeScript? · No / Yes
✔ Where does your code run? · browser
✔ What format do you want your config file to be in? · JavaScript
Local ESLint installation not found.
The config that you've selected requires the following dependencies:

eslint@latest
✔ Would you like to install them now? · No / Yes
✔ Which package manager do you want to use? · npm

ESLintのプラグインをインストールします。

npm install -D eslint-plugin-compat

CLIでかんたんにLintが呼び出せるようにスクリプトを追加しておきましょう。

package.json
"scripts": {
  "lint": "eslint .; exit 0"
}

VS Codeエクステンションの追加もオススメします。コードを書くとリアルタイムでチェックが実行されます。

ターゲットを決める

すでに公開済みのサイトであれば、Googleアナリティクスなどを参考にアクセスの多いブラウザやバージョンの目処をつけておきます。

これから公開するサイトであれば、主要なブラウザの最新5バージョンなど制作者サイドでルールを決めるのも良いでしょう。

以降、サイトの訪問を意図したブラウザおよびバージョンを「ターゲット」と記載します。

APIのチェック

Browserslistのサイトで、ターゲットに該当するブラウザとバージョンを確認してみましょう。

最新5バージョンをターゲットとした例:

last 5 versions and not dead

特定のブラウザをターゲットとした例:

Chrome >= 116 or FireFox >= 115

not dead は過去1年間にアップデートされたブラウザのみ対象とします。これを指定しておくと、サポート終了してもなお使われ続けているブラウザを除外できます。

コードベース上のターゲット指定はpackage.jsonで行います。
ここではシェア1%以上をターゲットとしました。

package.json
"browserslist": [
  ">= 1% and not dead"
]

ESLintプラグイン「eslint-plugin-compat」を有効化します。
このプラグインはターゲット指定を読み込んでサポートしていないAPIをエラーとして検出します。

.eslintrc.js
extends: [
  "eslint:recommended",
  "plugin:compat/recommended"
],
plugins: ["compat"],

任意のファイルを作成して、試しにfetchAPIを使ってみましょう。
VSCodeエクステンションによりリアルタイムでエラーが検出されます。

CLIでは以下のようにエラーが検出されます。

記事執筆時点のシェア1%にはOperaモバイル版の「Opera Mini」が含まれ、これがfetchAPIをサポートしていません。 in JP を追加して国内シェアに絞り込んでみましょう。

package.json
"browserslist": [
  ">= 1% in JP and not dead"
]

Opera Miniは国内シェアが低いためターゲットから外れ、エラーは検出されなくなりました。

サイトのターゲットとするべきブラウザやバージョン、それらがサポートするAPI群を記憶しておくことは、人間にとってとんでもなく困難です。Lintでチェックできるなんて最高に便利ですね!

ここでひとつ注意事項があります。
「eslint-plugin-compat」はグローバルに存在するAPI(URLSearchParamsオブジェクトや、fetch関数など)をチェックしてくれますが 言語構文(letやスプレッド構文など)についてはチェックしない ようです。理由についてissueの中で「トランスパイルできるものは対応の優先度が低いから」と述べられています。
https://github.com/amilajack/eslint-plugin-compat/issues/454

試しにオプショナルチェーンを使ってみても、エラーは何も検出されません。

言語構文のチェック

言語構文についてはESLintの設定の中でECMAScriptレベルの指定ができます。browserslistの指定とはリンクしませんが、これだけでも大きな助けとなります。

デフォルトの設定は比較的新しいものになっているので、ES6レベルに下げてみましょう。

.eslintrc.js
  env: {
    browser: true,
  },
  ...
  parserOptions: {
    ecmaVersion: 6,
    ...
  },

オプショナルチェーンはES2020で導入された構文です。ES6では解釈できずパースエラーとして検出されるようになりました。

CLIでも同じエラーが検出されます。

おまけ

eslint-plugin-compatに付随してインストールされる「browserslist」コマンドを叩くと、ターゲットのブラウザとバージョンがリスト表示されます。User Agent Client Hintsと組み合わせてサイト訪問者にブラウザアップデートの補足を表示するなど活用できそうですね。

./node_modules/.bin/browserslist

> and_chr 117
> chrome 117
> chrome 116
> edge 117
> edge 116
> firefox 117
> ios_saf 17.0
> ios_saf 16.6
> safari 16.6

おわりに

思い出せばAPIをひとつずつ Can I use で調べながらコードを書いていた時代もありましたが、機械的なチェックが格段に進化を遂げていて衝撃的でした。ESLintやプラグイン開発者の方々に感謝です!

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