#複素数を利用した三角関数の積分
複素数を使って有利関数の積分をするとなると,留数定理を使って解くというのがありますが,今回はそうではなく複素数の性質を使って積分を解いていく感じでいきたいと思います.
厳密性とかすっ飛ばしてやってくので許してください.
##オイラーの公式
$$e^{ix}=\cos{x}+i\sin{x}$$
この公式はテイラー展開によって容易に示せる.
$e^{x}$のテイラー展開は
$$e^{x}=1+x+\frac{x^{2}}{2!}+\frac{x^{3}}{3!}+\cdots\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (1)$$
また,$\sin{x}$と$\cos{x}$のテイラー展開は
$$\sin{x}=x-\frac{x^{3}}{3!}+\frac{x^{5}}{5!}-\frac{x^{7}}{7!}+\cdots\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (2)$$
$$\cos{x}=1-\frac{x^{2}}{2!}+\frac{x^{4}}{4!}-\frac{x^{6}}{6!}+\cdots\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ (3)$$
であり,(1)の$x=i\theta$を代入すると
$$e^{i\theta}=\bigg(1-\frac{\theta^{2}}{2!}+\frac{\theta^{4}}{4!}-\frac{\theta^{6}}{6!}+\cdots\bigg)+i\bigg(\theta-\frac{\theta^{3}}{3!}+\frac{\theta^{5}}{5!}-\frac{\theta^{7}}{7!}+\cdots\bigg)$$
$$\iff e^{i\theta}=\cos{\theta}+i\sin{\theta}$$
ちなみに,$\theta=\pi$のとき
$$e^{i\pi}=1\iff e^{i\pi}-1=0$$
オイラーの等式が得られる.
では,このオイラーの公式を用いて実関数の積分を解いてみましょうか.
##実関数の積分
例1
$$\int\cos{(\log{x})}dx,\int\sin{(\log{x})}dx\ \ \ を求めよ.$$
これら2つのを同時に求めてみましょう.
$$I_{\mathfrak{R}}=\int\cos{(\log{x})}dx,I_{\mathfrak{I}}=\int\sin{(\log{x})}dx,I=\int\cos{(\log{x})}+i\sin{(\log{x})}dx$$
とすると,$$I=I_{\mathfrak{R}}+iI_{\mathfrak{I}}$$であるので,$I$を計算して実部と虚部に分けてあげれば良い.
$$I=\int e^{i\log{x}}dx=\int e^{\log{x^{i}}}dx=\int x^{i}dx=\frac{1}{1+i}x^{1+i}=\frac{1-i}{2}\cdot x\cdot x^{i}=\frac{1-i}{2}\cdot x\cdot e^{i\log{x}}$$
これを整理すると,$$\frac{1-i}{2}x\bigg(\cos{(\log{x})}+i\sin{(\log{x})}\bigg)$$
実部と虚部を比較して
$$I_{\mathfrak{R}}=\frac{1}{2}x\bigg(\sin{(\log{x})}+\cos{(\log{x})}\bigg)+C_{\mathfrak{R}}$$
$$I_{\mathfrak{I}}=\frac{1}{2}x\bigg(\sin{(\log{x})}-\cos{(\log{x})}\bigg)+C_{\mathfrak{I}}$$
$C_{\mathfrak{R}},C_{\mathfrak{I}}$は積分定数$\ \ \ \ $//
例2$\ \ \ \ \ a,bは0でない定数とするとき$
$$\int e^{ax}\cos{(bx)}dx,\int e^{ax}\sin{(bx)}dx\ \ \ を求めよ.$$
これらも同時に求めてみましょう.
$$I_{\mathfrak{R}}=\int e^{ax}\cos{(bx)}dx,I_{\mathfrak{I}}=\int e^{ax}\sin{(bx)}dx,I=\int e^{ax}\cos{(bx)}dx+i e^{ax}\sin{(bx)}dx$$
とすると,$$I=I_{\mathfrak{R}}+iI_{\mathfrak{I}}$$であるので,$I$を計算して実部と虚部に分けてあげれば良い.
$$\int e^{ax}\cdot e^{ibx}dx=\int e^{(a+bi)x}dx=\frac{1}{a+bi}\cdot e^{(a+bi)x}=\frac{a-bi}{a^{2}+b^{2}}\cdot e^{ax}\cdot e^{ibx}$$
これを整理すると,$$\frac{a-bi}{a^{2}+b^{2}}\cdot e^{ax}\cdot\bigg(\cos{(bx)}+i\sin{(bx)}\bigg)$$
実部と虚部を比較して
$$I_{\mathfrak{R}}=\frac{e^{ax}}{a^{2}+b^{2}}\bigg(b\sin{(bx)}+a\cos{(bx)}\bigg)+C_{\mathfrak{R}}$$
$$I_{\mathfrak{I}}=\frac{e^{ax}}{a^{2}+b^{2}}\bigg(a\sin{(bx)}-b\cos{(bx)}\bigg)+C_{\mathfrak{I}}$$
$C_{\mathfrak{R}},C_{\mathfrak{I}}$は積分定数$\ \ \ \ $//
##最後に
しっかり読んでくれた方も,飛ばし飛ばし読んでくれた方もここまで読んでくださってありがとうございます.初めて,Qiitaで記事を書いたので構成が下手くそで読みにくかったと思います.そこは申し訳ございませんでした.
今回の記事で複素数の面白さを少しでも感じてもらえたら嬉しいです.
誤字や不備がありましたらTwitter rime_mathまでお願いします.